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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第2章 辺境の地ローランドル

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第26話 次の街へ







「おっ。しばらく帰って来ないから旅に出たのかと思って鍵かけたんだ」


いつもの納屋は鍵が掛かっており、宿の店主に聞くとそう答えた。


「どうする?また納屋にいくか?今なら部屋空いてるぜ?」


安くしとくよとスキンヘッドがきらりと光る。


少し迷ったが(くだん)の依頼の報酬でかなり補償もでて懐が暖かかったので1部屋借りる事にした。


部屋は2Fの角部屋で簡易的な机が一つとベッドが一つあった。窓が2つあり、外の風景がよく見えた。


少女は荷物は机の上に置き、ベッドにさっそく寝転がるが結構硬かった。


仰向けになると腕で瞼を覆った。


クラウディがここローランドルへ来てもう20日くらい経っていた。


所持金もかなりまとまった金額ある。そろそろ次の街へ向かうべきだろう。


────もっと強くならなければ


少女は苦戦した戦いを振り返った。狭い洞窟での戦闘とはいえ油断もしていなかったし、体調も万全の状態だったはずだった。客観的に見て苦戦する要素は無かった。


だが、いくら元男のときの戦いの技術が使えるとは言っても女性の身体では再現が難しいのも確か。女性の身体は柔軟性はあっても、鍛えても男性の時ほど筋肉がつかないしリーチも短い故微妙な差異が生じるのだろう。


それを補う生命石ももっと使っていかなければならなかった。


ふと洞窟で感じた自分の不安な状態を思い返す。元男の時も似た事はあったが、武器に触れると落ち着く事ができていたはずだった。


────あの武器はこの世界にはない


いつも腰に下げていた何か、剣だったと思うが、ただの剣ではなかったとそんな気がする。


────そういや属性武器……そろそろ出来たか?


スコットに頼んでいた武器の製作はどうなっているか明日確認しようとその日はそのまま眠りに落ちた。







「おう、出来てるぞ」


次の日クラウディがスコットの鍛冶屋へ行くと奥へ引っ込んで布で包まれた細長いものを持ってきて、カウンターの上にそれを置いた。


得意げに腰に手をやり、少女にあけるよう指示するドワーフ。


彼女が布を取るとそこには緑の反った刃を持ったシミターがあった。柄の部分は金色で大した装飾はないが、鍔の所に例の宝石が埋まっていた。そこから伸びる血管のような筋が刀身に馴染むよう入り込んでいる。


「名付けて『ヴェノムフリッカー』てとこかの」


手に取るとかなり手に馴染んだが、禍々しさが感じ取れた。怪しい刀身に危険を感じたクラウディは側にあった鞘にすぐに納めた。


「試し斬りはいいのか?」


彼は店内にいつの間にか準備したカカシを指差した。


「いやい────」


見ただけで素晴らしい切れ味なのはわかり断ろうとしたが、ドワーフが目を輝かせているのを見て仕方なく『ヴェノムフリッカー』を構えた。


カカシに一呼吸で2回掌を返して3方向から斬撃を加える。


カカシは少しの間姿を保っていたが、剣を鞘に納める頃に三分割されて床に転がった。


感嘆の声を上げるドワーフ。


「むふーさすがだの!」


彼は少女の背中を上機嫌に力強く叩いた。叩くたびに華奢な腰がガクンガクンと前後する。


「本当にいいのかもらって」


少女は背中をさすりながら言った。


「もう作ってしもうたしな。貰ってくれんと困る」


それじゃあとクラウディはインベントリに短刀をしまい、金を払う。


「むっ……お前さんインベントリ持ちか」


少女は彼のことを信用し切っておりインベントリは隠さなかった。金を受け取りながらドワーフはそれを見て眼を光らせた。


「ワシを信頼してるんだと思うが、インベントリはかなり貴重だ。いくら信用しても出来るだけ隠しておけ。まあワシには必要ないから何とも思わんが────それを持ってるだけで襲ってくる輩はごまんといるから」


────迂闊だったな


少女は話を聞いて頭を掻いて頷いた。


「スコット……そろそろ街を出ようと思う」


ドワーフがカカシを片付けるのを見ながら少女は言った。


次の目的地も決まっており、金もある程度あるならここにとどまる必要はなかった。


「ん?そうか、寂しくなるな」


一瞬間があるが淡々とドワーフは答えた。


「どこに行くんだ?」


「レイボストン」


「…………レイボストンか」


妙な間を置いたあとドワーフは唸った。


「お主のような女子は絶対に女である事は隠し通せよ」


「…………それで相談なんだが、一緒に来れないか?」


少女が言うとピタリと動きを止めた。


「そうしてやりたいがワシにはやらなきゃならん事がある。お主にもあるようにな」


────なるほどそうきたか


そう言われてしまえば少女は無理強い出来なかった。同じように自分が言われれば断らざるを得ない。


信頼出来る彼を連れていければ旅がグッと楽になると思っていたクラウディは昨晩、色々文句を考えていた。しかしそれは無駄に終わったようだった。


「『ヴェノムフリッカー』をワシと思って持っとれい」


ドワーフはやや落ち込んだら様子の少女をみてガハハと笑った。


「いつ出るんだ?」


「数日内には」


彼は少女を抱き寄せた。


「そうか、いつでも帰ってこい」


「ああ、助かる」


少女も屈んで身長を合わせると背中を叩いた。







その後いくらか下ランクの討伐クエストをこなして数日過ごした。所持金が50万ユーン程になる。潮時だ。


朝、陽がまだ登っていない頃、宿にて、少女は荷物をまとめると1階に降りた。結局まともに泊まったのは最後の数泊だけだったが最初の宿として名残惜しい。


「またこいよ」


宿屋の主人と挨拶して外に出た。


ギルドのルビアにはすでにあいさつは済ませてありそのまま門へと向かった。パーティを組むことを勧められたが、同じ目的地に行くものはおらず、自分の為に他者を振り回すわけにいかない為断った。


門の外には検問を待っている人がいくらか並んでおり、その横を誰にも気づかれずに通り抜けて外に出た。


いくらか進んで振り返るとちょうど行列が進み始めたみたいだった。


この間まであそこに並んでいたと思うと自然と表情が緩んだ。


クラウディは再び前を向くと南東へ向かった。

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