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第25話 Dランクへ







その日の遅くまで仕事をしていたギルドの受け付け嬢のルビアは、ドアの前に立つクラウディに気づいた。


ルビアは入ってこない冒険者に首を傾げる。やがてドアを開けて入ってきたかと思ったらその場に倒れるのを見て短い悲鳴を上げた。


「どうしたの?!」


慌てて駆け寄るが、混迷状態で頻呼吸に高熱と症状を確認した彼女は周りに僧侶がいるかと声をかけた。


「はい!」


運良く遅くに訪れていた冒険者の僧侶がおり、回復呪文を唱える。


やがて効いてきたのか呼吸が正常になった。そのまま少女は眠ってしまい、何が何やらわからないルビアは僧侶冒険者に礼を言い、倒れた冒険者を抱えた。


────う、重い


そのままカウンター奥の仮眠室に運んで横たえた。





次の日クラウディの意識が戻り事の顛末を聞くと、ルビアは急いでギルド内で捜索隊を組み件の洞窟へ確認に行かせた。


以下報告書

────────

冒険者クラウディが受けた依頼の件について

炭鉱に出現するホブゴブリン1体の討伐であったが、ゴブリン族が短期間で炭鉱を洞窟に変えて群れを形勢。炭鉱に向かった当人がゴブリン11体、ホブゴブリン1体、ゴブリンメイジ1体を討伐。


迷い込んだ冒険者2名を救出するが、うち一人はゴブリンより撲殺。もう1人は暴行被害のち自害。

────────


クラウディ本人の話で一時冒険者を殺害したのはクラウディ自身ではないかと疑いがかかったが、状況的に道理に反し意味のない行動としてすぐに疑いは晴れた。


「ごめんなさいね。こちらの不手際で……まだ新人なのに……それも女の子なのにね」


少女は綺麗な服に着替えさせられており、晒しを巻いていたのがバレて必然的に女という事がルビアに知られてしまった。


「迷い込んだ人もせっかく助けたのに」


「……別に大丈夫だが」


元男は確かに女性の自害には驚きはしたが、気に病んではいなかった。何故なら元男の時から死は常に隣にあったもので珍しいものでもなかったからだ。


むしろあの程度の敵に遅れをとった事に腹立たしさを覚えていた。


「いいえ、何で男装してたか知らないけどケアはさせてもらうわ」


────そんなやばくみえるのか?


「だからその件は────」


再度否定しようとしてやめる。


「そうだな。悲しい……だから俺が女である事は黙っていてくれ。頼む」


「…………わかったわ。本来ギルドは偽名や性別を偽るのを公認しないけど。理由があるなら話は変わるわ」


少女はむしろ利用出来ないかと考え、公認してくれるのはありがたいことだった。


「今後偽名や性別を偽ったことを咎められたら私に連絡するよう言って頂戴。証人になるから」


「助かる」


少女は苦労と引き換えに強い味方を手に入れたのだった。







クラウディの希望もあってこの話は内々に留められ、モンスターの討伐のことのみ周囲に知れ渡った。それでもEランクが成したとは思えない成果であり、少女のランクが上がるのは必然であった。


「はい、Dランクおめでとう!」


ギルドカードをが緑から赤へと変化し手元に戻ってくる。


今回は内々の事なので祝ってくれる人やヤジを飛ばすものが周囲にはいない。


クラウディは落ち着くまで軟禁状態であった為外に出ると伸びをした。


「何かあったら言ってねクラウディ」


ルビアが側まで来ており少女の肩を抱いた。


────こいつも過保護だな……


ルビアは少女が身じろぎすると離れ手を振った。

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