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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編
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第194話 見覚えのある小人







5階層はモンスターが、階段とは反対側の方へと向かっていたので以降は遭遇せず、4階層に上がる階段へ到着する。そこを登って途中のセーフポイントで少し休むことにした。


部屋は少し散らかっていたが別パーティはおらず。


水分だけ摂り、30分ほど休むとまた上の階へと登っていく。


アイラはその(かん)目を覚まさず。


4階層では他のパーティが戦ったあとなのか、死体が増えており、ここでも特にモンスターに遭遇することなく3階層へと戻ることができた。


洞窟から石壁の規則正しいダンジョンへと通路が変化する。


そこから地上までいくらかモンスターと遭遇するが雑魚モンスターであり、クラウディ単身で難なく撃破し外へと出た。


外に出ると陽が上まで登っておりちょうど昼時だろう。


「カイザック、アイラを宿まで頼めるか?出来れば宿で待っててくれるとありがたい」


「俺が?この筋肉と?はっ断る」


「……礼はする」


その言葉に彼は片眉を上げた。


「へぇ、それは楽しみだな────んん?」


カイザックは少女に近づくとその顎を指で挟んでクイっと上げた。


「いいから、頼んだ。俺は寄るところがある」


クラウディは彼の手を払うと変化しているスライムに道案内を任せ、向かったのを確認するとその場を後にした。


その足で再びポーター斡旋所へと向かう。前回訪れてから4日経っていた。受け付けの子供は『3日後に空く』と言っていたが流石に空きはなくなっているだろう。それでもやはりガイドポーターは欲しかった。


斡旋所はダンジョンから近いので5分ほどで到着し中に入った。正面に顔を向けると先日受付を担当してくれた子供がカウンターに暇そうにしているのが目に入る。


「先日ポーターの雇用で来たんだが……もう空きはないか?」


話しかけると、彼は相手が誰か気づいて苦笑いし、名簿をパラパラと捲る。が、少しして閉じて首を振った。


「うーん、遅かったね。1日キープしてたんだけど君来ないからさぁ……少し前に別のパーティが雇って行っちゃってまた待ちになるよ……」


それを聞いてやはりダメかとがくりと項垂れる少女。期日までに来なかった自分が悪いのだ。仕方ないだろう。


「うっ……そうか……いつぐらいに空くとかは?」


再度尋ねるとまた名簿を捲る受け付けの子供。少し唸ると1週間後と返答する。


────1週間……


「1週間といっても、あくまで契約が切れるポーターだね。再雇用する場合が多いからあまり期待は出来ないんだよな……」


呟くように言いため息をついた。同じような客が多いのだろうか、うんざりしたような表情である。


それでも取り敢えず1週間後で該当ポーターを抑えてもらったほうがいい。その間は何とか自力で6階層を攻略するしかない。


「それじゃあ────」


「あのー、ポーターの斡旋所ってここだよな?また雇ってもらいたいんだけど……」


少女がポーターを抑えてもらえるよう発言しようとした時、横の方から声がした。


顔を向けるが誰もおらず、視線を下げるとカウンターの子と同じくらいの背格好の子供が、台に乗って身を乗り出していた。


ベレー帽を被った子供から尖った耳が見え、その声も聞き覚えがあった。


「あれ、お前……」


「身分証はこれで……名前は────ん?……あ」


クラウディが声を上げるのを聞いて顔が向くと子供のような男は驚いた顔をした。


彼はベルフルーシュにて、アイラの紹介で出会った雑貨屋の小人だった。


────確か……リーグット族の……ティ、ティリオと言ったか?名前……


「お前は確かアイラのパーティの……え~」


クラウディはなんとか思い出せたものの眼下の小人は首を捻った。


「クローだ」


「そうそう、クロークロー!偶然だな!」


「何でここに?」


「いやぁ話せば長くなるんだけどさ────」


リーグット族のティリオはあの後、店を経営していたがどうも客足が良くなく、金があるうちに移転しようとしたらしい。アーベルは冒険者が多いのでより稼げるだろうと思ってのことだった。


しかし実際にはどこもテナントはいっぱいで出店を出すにもなかなかスペースがない。なので空くまで当面引く手数多のガイドポーターとして働くことにしたのだそうだ。


「べ、別にお前らを追ってきたわけじゃないからな!」


見つめているとティリオは急に顔を背けた。


「お話し中悪いけど、どうすんの?雇用契約するの?」


「あ、ああ!しばらく雇ってもらえると助かるんだ!ちなみにアーベルダンジョンに潜った経験はあるから覚えも早いぜ?」


クラウディは彼らが話すのを見てピンと頭に良い事を考えた。


少女は小さなリーグット族の肩に手を置いた。


「俺が雇おう」


「…………え?」

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