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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編
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第190話 バウトホッパー







先頭を歩く女戦士は先程えらい目にあったのにずっと上機嫌で鼻歌まで歌っている。


「単細胞で扱いやすいやつだろあいつ」


カイザックが側に来てニヤニヤしながら少女に耳打ちする。


「それには同意だが……あまりからかうな。後が怖い」


「ははっ。お守りは大変だな」


「……」


クラウディはため息をつき、地図に目を落とした。先程の場所から進んで、縮尺から考えてあと30分も歩けば下層への道に出るはずだ。


何もなければいいがと思っていると、フラグを回収するように大きなバッタが草むらから出てきた。


体高50cm体長1m程の体躯で足の筋肉が発達しているのか人の足ほどに太い。


口には鋭い牙が生えておりクラウディたちに気づくとギチギチと音を立てた。すると別の草むらからも同じ音が聞こえ出した。


「気をつけろ結構いるぞ」


カイザックが警告する。クラウディはすでに剣を抜いており、身構えていた。ラビラビ同様突進による攻撃が主だろう。


案の定、バッタは足を折りたたむとものすごい速さで突進してきた。少女は肩を引くが避けきれず、防御として眼前に構えていた剣に当たって弾き飛ばされた。


────硬った!


同時に反対の剣で斬りつけていたが、昆虫の外骨格はかなり硬く、斬り裂けない。


剣の力を使えば両断も出来るだろうが、今は使うところではないだろう。


アイラも他の草むらから出てきたバッタと交戦しており、中々捉えられず倒せないでいるようだった。


クラウディは襲いくるバッタの突進を屈んで避け視線を走らせる。今確認できるのは目の前に3匹、アイラの方に4匹。


カイザックの方には2匹だ。彼も突進を避けてはいるが矢が弾かれるのか短剣を握っていた。


「どうするカイザック?!このままじゃジリ貧だろ!」


「アイラの側に行け!」


2人は女戦士の側に行き防御体勢をとった。情報屋が戦士に何か囁く。するとアイラは舌打ちし頷いた。


「クロー!スキルを使ったら飛んでくれ!」


アイラはそういうと斧を担ぎ片手を前に出して構えた。


「『挑発』!」


スキルを発動すると敵の顔がアイラの方へ向き一斉に向かっていく。クラウディは言われた通り思い切り飛び上がった。ほぼ同時にカイザックも地面を蹴った。


直後、アイラは思い切り足を振り上げた。


「『地鳴り』!!」


地面にめり込むほど強く地面を踏み締め、辺りに振動が伝わっていく。それを受けた昆虫はブルブルと震えその場から動けなくなった。


「今だ!処理するぞ!腹と首を狙え!」


カイザックが着地すると動けない敵に突進する。クラウディも別個体に斬りかかった。


昆虫は関節が弱い他、腹が柔らかい。少女は2匹の頭と胴の僅かな隙間に剣を入れて切断し、さらに2匹の腹を斬り裂いた。


バッタは頭を失ってもなお動こうとする個体もおり、驚いたクラウディは切断面から刃を入れて突き上げた。流石にそこまですると痙攣して動かなくなる。


辺りを見回すと他の2人も敵を倒したようだった。


「なんだ、このバッタは……頭落としても動くやついたぞ」


クラウディは剣に付着した緑色の血液を振り払い、布で綺麗に拭き取りながら言った。


「ばった?……こいつらはバウトホッパー。1個体だとCランク。群れならBランク相当なモンスターだ」


バウトホッパー────

最大1.5mにまで成長する大型のバッタ。後ろ脚が異常に発達しており、突進してその牙で獲物を仕留める肉食昆虫。外骨格はハンマーや斧が有効。関節は弱く、頭は横からの衝撃に弱い。時折突進に失敗し直線からズレると衝撃で首が取れて自ら死んでしまうこともある。


「本来なら大楯で受ければ勝手に死んでくれたりするんだが……相性が悪かったな」


説明をしたあとカイザックは死骸を突いた。


「だったら私が『金剛』で受ければよかったんじゃね?」


アイラはいつもなら多少汚れようが気にしないが、緑色の体液は嫌なのか地面に座って拭いていた。


「それも考えたが、そんな事言ったらすぐブチ切れるからな。脳筋女は」


「カイザックが言うとムカつくんだよ」


────あ、また始まりそう……


クラウディは喧嘩が始まりそうな雰囲気になって来たのを感じたので、話題を逸らそうと使える素材について聞く。


「バウトホッパーは牙と後ろ足だ。足はすぐ取れるが、牙はちょっと難しいか……道具がない」


カイザックは死骸の牙を触り首を振った。少女は言われた通りバッタの足を捻りながら引っ張ると簡単に取れたので驚いた。


元男の世界でも昆虫の脚はすぐにバラバラになったものだが、この大きさでも変わらず弱いのは何故なのかと脚を眺めながら首を傾げた。


敵の脚を全て採取すると一行は再び歩き出し、ついに下に降りれそうな道を見つけた。

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