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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編
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第189話 ミミック







何事かと正面に目をやると、なんと箱の口が開き女戦士を挟んでいた。その口には鋭い牙がいくつも生えているように見える。


「いてててて!!なんだこれ!?あたたた!!」


アイラが痛みに呻き、箱ごと激しく暴れる。


それがモンスターであることに遅れて気づくクラウディ。慌てて駆け寄り、箱を剣で斬りつけるが頑丈なようで弾かれるだけだった。


箱の上部分を掴んでこじ開けようとするもびくともしない。カイザックに助けを求め、顔を向けたが彼は手を叩いて笑っていた。


────笑い事じゃないだろ


「カイザックてめー!笑ってんな?!殴る!絶対殴る!」


クラウディは早く助けねばと思っていたが、アイラは意外と余裕があるのかいくらか追加で悪態をつく。


「クロー!手斧、手斧だしてくんね?!」


どうしようもなく眺めていると彼女がそう言い、クラウディはアイラの腰に下げてあるインベントリを弄った。


────なんかごちゃごちゃしてるな……これか?


ごちゃついたインベントリから手斧を取り出すと彼女の飛び出た手に渡す。するとスキルを使い筋肉が盛り上がった。


「『破断』っ!!」


攻撃スキルを宝箱の蓋にぶつけて吹き飛ばす。そしてアイラがドサリと地面に尻餅をついた。


上半身にヌメヌメした体液がベットリとついていた。腹部に宝箱の歯形がついてうっすらと血が出ているが大したことはなさそうである。


「ミミックじゃねーか!こらくそカイザックてめー!!」


アイラはポーションを飲んで立ち上がるとカイザックに詰め寄った。


「わざと開けさせたな?!なんのつもりだああ?!」


カイザックの方はニヤニヤとして呑気にタバコに火をつけようとしていた。その様子に頭に来たのか女戦士が殴りかかるが、さらりと躱した。


その後も攻撃をひらりひらりと躱し続ける。


「やれやれ、落ち着け中身はちゃんとあるだろ?」


「は?中身?」


アイラはピタリと動きを止め宝箱の方を見た。近くにいたクラウディは彼の言葉を聞いて事切れた宝箱モンスターの中身を覗いた。


2人の争いに目を向けていたので気づかなかったが、確かに何かきらりと光る何かがある。


宝箱の底の方に手のひらサイズの穴が空いており、二重底になっているようで手を突っ込めば取れるだろう。ただし箱の中はモンスターの体内になっているのか、粘液やら臓器やらがあり正直触りたくはない。


少女が躊躇っていると確認しにきたアイラが迷いなく手を突っ込んだ、手の感触を確かめながら動かし何か掴んだのか引き抜いた。


「うお!金貨袋!」


手にはジャラジャラと音を立てる硬貨袋があり、中を覗くと金貨と銀貨が詰まっていた。


「まだあるな」


アイラはさらに宝箱に手を突っ込み次々と中身を出していく。


ミミック────

ダンジョンに多く生息する擬態型のモンスター。宝箱だったり袋だったり擬態して気を引かれて近づいた生物を捕食する。底にある穴は排泄穴であり、捕食した可食部位以外のものを排出するためのもの。故に底には冒険者の持ち物などが溜まっていく。


「不思議な生き物だな」


クラウディはカイザックからミミックについて説明を受けながら、草の上に落ちている宝箱の蓋をひっくり返した。上顎なのか肉壁があり、牙が生えていた。


アイラが箱の中身を全部出したようで喜ぶ声が聞こえた。


入っていたのは、硬貨袋(大2小6)しめて37万ユーン、よくわからない指輪が2つにナイフが3本、短剣1本、あとはボロ切れが幾らかとガラクタだ。


「な、なあこれ貰っていいだろ?」


「俺に言うな、リーダーに聞け」


カイザックに言われ、アイラはクラウディの方を見た。キラキラと輝いている目にたじろぐ少女。


「え、いや別にいいんじゃないか?頑張ってたし」


女戦士は金だけ握りしめており、少女がそういうと喜んで硬貨袋に頬擦りした。他のものには目もくれてない。


「あとは要らないのか?」


「金がありゃいーよ!」


クラウディはナイフと短剣、謎の指輪を拾うとインベントリにしまった。カイザックは特に何も言わず、何かいるかと一応聞いたが、ゴミはいらないと返答した。


少しその場で休憩し、アイラが草むらで体を拭いて着替えると一行は再び出発した。

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