表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編
188/209

第187話 合わない2人







階段まで来ると迷わず降りて行く。下まで降り切ると洞窟との石壁が綺麗に分かれ、土の地面を踏んだ。


「へぇ、ここから洞窟なんだ」


アイラが辺りを見渡した。他のパーティは今のところ見えず、洞窟内は静かであった。


クラウディは辺りの灯りでは足りずカイザックにランプの火を灯してもらい借りると4階層の地図を開いた。


上の階層と違いクネクネとミミズが掘ったような細い道が描き込まれており、現在地を確認すると歩き出す。


ボンズとの事件があった所は敢えて通らず少し遠回りの道を目指した。


「クローはここまで来たんだよな」


アイラが少女の隣に来て興味本位で聞く。


「ああ、残念ながら敵が多すぎて途中で引き返すことになったが……それも仮面のせいだったんだがな」


「どのくらいいたんだ?」


「数えてないな……全部で2、30匹ぐらいいたか?」


思い出しながら数えるが戦闘に夢中でそれどころでは無かった。


「オーガもいたんだろ?」


「オーガは別で倒したから……」


「オーガといえば4階層のフロアボスだな」


不意にカイザックが口を挟んだ。


「やっぱりそうか……」


クラウディはダンジョンの説明を受けた時に各階層のフロアボスについても聞かされていたので、オーガについてはもしやと思っていた。


流石にあれが何匹も群れに混ざって襲ってくるとどうしようもない。


ただボスは誰かが倒すとしばらく湧かないというので違う可能性も少しはあった。


女戦士はそれを聞いてつまんねーのと呟いた。


────いや、オーガは戦っただろ


フイル村で上位種のオーガメイジを倒したのだ、その下のオーガなど相手になりもしないだろう。


一行がいくらか進んでいるとゴブリンの群れに遭遇する。


ゴブリンが3体とホブゴブリン、ゴブリンメイジが1体ずつだ。クラウディたちを見るや否や襲いかかってくる。


少女は素早く剣を構えたが、アイラが我先に突っ込み瞬く間に横並びのゴブリンを大斧の一振りで上下に分割して倒し、ゴブリンメイジは呪文の詠唱の途中でカイザックに射止められる。


残るはホブゴブリンだが、恐れをなして逃げるのをカイザックが矢を射た。しかしアイラがそれを斧のヒラで弾いて、ぐるりと斧を回すとその勢いで敵を背中から斜めに両断した。


「おい、最後の必要あったか?」


「はあ?なんかやったの?わかんなかったわぁ~」


アイラの白々しい物言いにカイザックは片眉を上げた。そして近づいて無言で間近に見下ろす。


「やっぱりてめぇとは合わねーわぁ」


怒ったような笑ったようななんとも言えない表情のカイザックにメンチを切る戦士。


カイザックは何も言わないが心なしか怒っている気もした。


────喧嘩するなよ……


クラウディはため息をつき、剥ぎ取りを手伝うようアイラに声をかけた。こういう時は取り敢えずお互い離しておくべきだろう。あの双子のドワーフのように軽く済む感じがしないのだ。


少し間があるが舌打ちして応じるアイラはぶつぶつ文句を言いながらも手伝ってくれた。


その後も歩を進め、中程に来ると別のパーティがモンスターと戦っているのが見えた。


前衛が2人と後衛が2人、少し離れた所に僧侶と荷物を持ったポーターがいる。敵はゴブリンとホブゴブリンが3体ずつ。


メイジはいないのでそこまで苦戦するものでもなさそうだが、前衛が危なっかしく動くので後衛が中々反撃に出れないでいるように見えた。


「……カイザック、1匹くらい減らせるか?コッソリ」


「バレないようにか?お前らしいな……」


クラウディがカイザックに頼むと彼は矢を(つが)えてホブゴブリンの足に放った。矢は真っ直ぐに飛んでいき、足を射抜く。不自然にバランスを崩す敵に前衛の冒険者はここぞとばかりに剣を振り下ろして倒した。


さらにゴブリンを一体、カイザックが胸を射抜いて倒すと、そこからは形勢が逆転し、後衛も反撃し事なきを得る。


援護があったことには気づいていないようだった。


クラウディたちは見届けると少し遠回りし5階層への階段へ向かう。


「まさかと思うが、これからもあんな事をしろとは言わないよな」


カイザックが少女の側に来て言う。


「……さっきのは気まぐれと思ってくれ」


「私はクローのそういうところ好きだぜ?」


カイザックを押し退けクラウディの肩に腕を回すアイラ。少女としては先程の援護の理由としては寝覚が悪いからという方が正しかった。


ただそれをカイザックに言うと何か言われそうなので気まぐれと答えたのだった。この先同じようなことがある度に援護していてはキリがない。


冒険者はそれなりの覚悟をしているのだろうし、本来なら見捨てるのが定石なのだろう。


『最後まで助けないのなら見殺しにして欲しかった』


不意にそんな言葉が思い出された。誰かが元男に放った言葉でそれには男は何も言えなかった。


────誰かのフォローはあったと思うが


少し痛む頭を振り、アイラの手から逃れた。


一行は先に進み少し勾配が急になっている細い洞窟を見つけた。縦横2mくらいだろうか。


「もしかしてこれ、下層に行くやつ?」


アイラが細い洞窟をのぞきながら言う。クラウディは周りを見ながら地図と比較し間違いないと口を開いた。


「この坂を下ると5階層に行くようだ」


少女はランプを目の前に掲げた。細い洞窟内には灯りがなく延々と下に続いているように見えた。


ずっと見ていても仕方ないので、一行は少女を先頭に坂をゆっくり下って行った。


足元が不安定でやや危なっかしいが、特に問題なく降りていく。


50mほど潜った時に地図に載っていない横穴を見つけた。


「?なんだここ」


灯を照らすと真横に少し狭いトンネルが続いている。先は暗くなって見えない。


「……あー行ってみるか?」


何か知った気なカイザックの発言にアイラとクラウディは顔を見合わせた。知っているなら言えよと思う2人であったが彼の言葉に乗り、横穴を進んでいった。危険はないのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ