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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編
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第184話 ルーベニア魔法商店②







中に入るとゴポゴポと液体を煮詰めているのか、魔法のコンロで瓶を炙っていたり、謎の生物が足元を彷徨っていた。危うく踏みそうになる2人。


物がありすぎて足の踏み場もないが、店主は急いで雑に物をどかすと椅子を魔法で浮かして用意して座らせ、自分は窓際の机の席についた。


そして下に置いてある袋を触った。おそらくクラウディたちが納品したであろうマンドラゴラが詰めてある。


「さて、この度はマンドラゴラの採取ありがとうございました。私はこの店を経営しているルーベ────ルーベニアへようこそ!いつもあなたの近くに!魔法商店ルーベです⭐︎」


説明の途中で何を思ったか急に声音を高くし、妙なセリフと共にピースサインをするルーベ。


冒険者2人が呆気に取られていると、我に返って赤面する。


「し、しまったつい商売癖が……」


しばらく沈黙が続く。


「あー……それで何か用事があったのか?えーとルーベ?」


「ご、ごめんなさい!そうですね!マンドラゴラの採取ありがとうございました!まずは感謝を」


ルーベは焦って慌てて頭を下げた。クラウディはなかなか進まないので、それはいいから要件をと催促する。


「あれだけの量、しかも質がいいので採取方法を知りたくてですね」


「採取?普通に生息地のやつを抜いただけだが?」


「マンドラゴラは悲鳴をあげるはずです。その効果は知っていると思いますが」


マンドラゴラの悲鳴にある『恐怖』効果。それは聞いたものに死をもたらすと言われている。確かに離れていてもその効果は凄まじかったものだ。もっとも、アイラには『死』は届かなかったようだが。


「私は戦士だからな!効かねーよ!」


抜いた戦士の張本人が得意げに腕組みした。そんな馬鹿な、と困惑するルーベにクラウディがマンドラゴラ採取の経緯を詳しく説明する。


「え?!あの『レスター』にも遭遇を?!……いやこれだけの量、姿を現しても不思議じゃない……か」


口元を抑えながらぶつぶつと何かつぶやく魔法師。


「戦ったのなら何か部位を採取とかしてませんか?」


「……いや流石にそんな余裕は」


「あるぜ」


ルーベとクラウディは素早く戦士の方を向いた。彼女はインベントリから白い皮のついた何かの肉塊を取り出す。インベントリ内で保存していたので今し方採取したかのようにみずみずしい。


「お前、いつの間に……」


「クローが全裸になって引っ込んでる間に拾ったんだ。一応ダメージは入ってたしな」


「全裸は余計だ……なんでよく分からない生き物の肉を」


『レスター』の溶解液にやられたシーンを思い出して片眉を上げる。


「クローが料理してくれると思って」


「えぇ…………おぇっ」


クラウディは流石に気持ち悪い生き物の肉なんか料理はしたくないなと、少しえずいた。


「あ、あ、あ、そ、それ良ければ売ってくださいませんか?!」


ルーベが2人が話していると涎を垂らしながら手を伸ばした。まさに喉から手が出るほどという感じだ。


別にいいけどとアイラが渡そうとするが、クラウディは手で制した。


そこまで欲しいのなら流石にただ売るというのは勿体無い。


「いくらで買う?」


「え?え、相場は……その大きさと鮮度だと10万……いや15万くらいかな?でも私なら20万出します!」


「まじ?!売る売る!!」


アイラが目を金のマークに変えて飛びつこうとするが、クラウディはなんとか抑えた。


「話は変わるが、呪われた装備の解呪はどのくらい費用がかかる?」


急に話題が変わり困惑の表情をするルーベ。


「ものによるけど……相場は1万~」


────1万から……か


クラウディは仮面を外しルーベに見せた。


「え、女の子?」


驚いた表情をするが、仮面を渡すとさらに驚いて地面に落とした。


「これ、呪われてる……」


「え、何?クローの仮面呪われてんの?まじ?」


「はい、強い呪いじゃないけど。分からないくらい巧妙に隠してある。多分『呼び声』の黒魔術かな」


「黒魔術?」


黒魔術────

精神操作、呪いや状態異常、禁忌の技が多いとされる魔法。職業に『黒魔法師』があるが発現するとその時点で敬遠されることが多い。


「これをどこで?」


聞かれて忘れたと答えようとしたが、ふいに商人の名と姿を思い出す。確かニコニコと笑う姿が特徴的な若い男だった。


────呪われた物を売るとは酷いやつだな


少女は次会う機会があれば問い詰めてやろうと決めた。


「────レダという商人から買った」


「レダ?どこかで聞いたことあるような……?」


思い出そうと首を捻るルーベ。クラウディはそんなことよりと先程の話に戻そうとする。


「さっきの肉を売るが、それの解呪を頼む。もちろん変声機能は無くさないよう。それで15万でどうだ?」


それ聞いてルーベは唸った。もしかしたら相場より高いのかもしれない。しかし20万のところを15万にしたので多少は色をつけてくれるのではないだろうか。


「解呪自体は難しくないけど……う~ん、まあいいです。それでいいですよ」


クラウディは頭の中で拳を突き上げ、仮面を預けた。


────これで仮面も解決。あとはカイザックだな


解呪もそこまで時間がかからないらしいが、ただ待つのも勿体無いので、クラウディは話は終わったと言い外に出ようとした。


「あ、ちょちょどこ行くの?!マンドラゴラの話をもうちょっと聞きたいんだけど!どっちか残って!」


クラウディは戦士とどうしようかと顔を合わせた。


「じゃあ勝った方がカイザックな」


「ん?!」


「じゃーんけーんぽん」


前に教えたじゃんけんを突然行うアイラ。反射的にクラウディは応じてしまうが、これまた反射的に勝ちに行く。


結果は戦士がグーで少女はパーだった。


「じゃあ私が待ってるぜ」


「え────」

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