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アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編
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第170話 『ガイド&ポーター斡旋所』







クラウディは鍛冶師にダンジョンについて聞いたが2人は内部のことはあまり知らないらしく、『ガイド』に聞けば良いとアドバイスされた。


ただ、『ガイド』がどこにいるかまでは聞いておらず、とりあえず本通りの出店がある所まで戻ってきていた。


本当なら、情報屋であるカイザックが側にいれば早いのだがどこにいるのか皆目検討がつかない。アーベルは広いので探すのも億劫だった。


どうしようかと歩いていると先日ダンジョンの地図を買った出店が目に入る。


「あら、また来たのか。いらっしゃっい」


店の前に立つと店主が顔を上げた。他の店が呼び込みやらしているが、この店は全くその気がないように見えた。


「どうだい?地図は役に立ってる?」


「まだダンジョンに行ってない」


「そうかい。なんか買ってくか?補充もしてないから大したものはないけど……」


見ると確かに商品は減って行くばかりで残りの品も少ない。水筒や小さめの荷物袋、日持ちする携帯食が幾らかとアーベルの地図。


────正直欲しいものはないな


「携帯食を3つとそこの飲み物をくれ」


店主はまたかと苦笑いし、昨日ももらった出店の横にかけてある飲み物と携帯食をクラウディへ渡した。少女も600ユーン払う。


「あと『ガイド』を探してるんだがどうしたらいい?」


自然な感じで尋ねるとアーベルの中心方向を指差した。


「ここからダンジョン方面に本通りを歩いて行くと荷物のマークのある看板が左手側にある。そこに『ガイド』はいると思うが……人手不足気味だから雇えるのはいないかもな」


「まじか……まあ取り敢えず行ってみる。助かった」


「ああ、頑張れよー」


店主は離れる冒険者に手を振り、クラウディは本通りに沿って歩いて行った。


本通りは人通りが多くて余所見をしているとぶつかりそうになる。元男の世界では多少ぶつかってもなんともないが、この場所では冒険者が多く武器にぶつかりでもしたら痛いだろう。


ただでさえ女の身体なのだから下手したらひっくり返るのではないか?


左手側の建物を見ながらぶつからないよう15分ほど歩いて行くと荷物の絵柄のある看板が目に入った。『ガイド&ポーター斡旋所』と書いてある。


かなり大きい建物で煉瓦造りである。木製のドアを押して入るとL字のカウンターが目に入り子供が書き物をしていた。


いくつかテーブルがあり、冒険者の姿らもちらほら見える。どのテーブルにも似たような格好の人間が1人ついていた。


「すまない、『ガイド』を探してるんだが……」


書き物をしている店員の前に立っても気づかないので少女は声をかけた。鳥打帽のような物を被った少年は顔を上げると一緒ぎょっとしたが、ギルドカードを提示すると安堵するように息を吐いた。


妙な仮面を被った人間が急に目の前いたら叫ばれてもおかしくはない。


「え、えーと『ガイド』か『ポーター』ね」


「『ガイド』と『ポーター』?」


「知らない?ダンジョンは初めてか?『案内と荷物運び』の奴のことだよ。ここにいる奴らは『ポーター』か『ガイド』のスキルを持ってるんだ。稀に両方とも持ってる奴もいいるけど」


首を傾げる冒険者に店員は身振り手振りで説明する。


基本的に『ポーター』は体力があり、収納拡張スキルで荷物を運ぶが、『ガイド』スキルはないため頭に知識を詰め込んでガイドの役も担う。『ガイド』はマッピングスキルを使用して地図を描いたり、巧みな方向感覚で案内をする。こちらは身体を鍛えて『ポーター』の役割も担っているらしい。


────ティリオだったか?あいつも確か……


いつかベルフルーシュでアイラに紹介してもらったリーグット族の商人も確か『ポーター』だったはずだ。


なんとなく想像できたクラウディは、理解した旨を伝えると店員は続けた。


「とにかくここでは俺らがそれをやってんの────って説明はしたけど今空きがないんだよなぁ」


広間のテーブルにいる契約中の社員を見てため息をつく。


「急ぐ感じ?3日後には1人空くけど」


「できるだけ急ぎたいが……ソロで潜るのは危険か?」


「……あんた色からしてCランクだろけど……んー2階層くらいまでなら地図さえありゃ大丈夫か?あんまりおすすめは出来ないけど。安全に行くならやっぱり『ガイド』か『ポーター』、それとパーティは必須だぜ?」


手を広げて苦笑いする少年。


「了解。3日後来たら良いんだな?」


「早い者勝ちだから要るなら早めにこいよ」


クラウディは斡旋所を出るとため息をついた。


「3日後か……」


急ぐ必要はないが腰に武器が揃ってないと不安になる少女は一旦宿に戻ることにした。


そろそろ泥酔アイラは起きているはずで、一連の流れを話せばきっと来てくれるはずだ。


そうでなくても何かしらアドバイスはくれるだろう。


────アドバイスはあまり期待してないが


宿に戻ると期待して部屋のドアを開けた。


しかしアイラの姿はすでになかった。

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