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第156話 トロント町







それから2日間、一行は代わる代わる御者を担当し夜には野営をしつつ歩を進めていた。


馬を進めているとちらほらと人が歩いていたり、別の荷車等が見えてくる。そして2日目の昼ぐらいに山の麓へ到着した。麓にはローランドルほどは広くないが町があり、一行は立ち寄った。


アーチ状の門兼看板に『トロント町』と書いてある。


検問等はなく、御者であるクラウディが入り口の見張りに会釈すると特に何も言われることなくすんなりと入れた。


そして入るや否や戦士と情報屋は荷車から飛び降りどこかへ向かおうとする。


「待てお前ら!どこにいく!」


馬を止めて慌てて2人に声をかける。


そのまま行ってしまうかと思ったが、意外にも示し合わせたかのように2人は顔を見合わせると戻ってきて手を差し出した。


「??」


「かーちゃんお金!」


いつもより甲高い声で唇を突き出して言うアイラ。


「誰がカーチャンだ……なに金?……ああ」


────そういや渡してなかったな……


エルフの森での報酬を渡してなかったなと思うがそのまま全部渡すとすぐになくなるだろう。そこでいくら必要か聞くと5万というので必要な分だけ渡す。


カイザックには、絶対大金を懐に持ってるだろうが満額渡した。


それを見たアイラが何か言うかと思ってチラリと視線を向けたがすでにそこにはおらず。情報屋に再び視線を戻すも彼も姿を消していた。


────あいつら……


勝手な行動をする2人にため息をつき、荷馬車を止められそうな場所を探した。


町を歩く人に荷馬車が停められる場所を聞くと町の入り口付近に停めていいそうなので、引き返してみると端の方に確かにロープを繋げられる杭が打っておりそこに荷馬車を置いて馬を繋いだ。他にも何台か荷馬車が停まっており、どれも行商人の物のようだ。


どれにも荷物を守っているのだろう、屈強そうな見張りがついていた。


クラウディは自分たちの荷物はどうするかと思い、誰も見てないことを確認してインベントリにそのまま突っ込んだ。町を見てまわりたかったし全部は手に持ってはいけない。


────馬は、流石に大丈夫だよな?


そのまま町中へ足を向けるがやはり不安なので一旦戻り『プリムスライム』を外に出し、『生命石』を通して自分の姿に変身させた。もちろん仮面ありの男装バージョンである。


「俺がいない間、馬たちを守れ」


インベントリからスコットの短刀をニ振り渡すと偽クラウディは頷き腰に下げた。


一抹の不安があるが取り敢えず人の姿があれば大丈夫だろう。


少女は再び前を向き足を前に出した。が、その瞬間に密かに隠していたナイフを手の内に取り出し、偽クラウディに斬りつけた。


スライムはわかっていたかのように短刀を目にも止まらぬ速さで抜き、防いだ。金属音が鳴る。


「おぉ……さすが」


カイザックの言う通りマナを込めると戦えるようだった。金属音を聞いて何人かが様子を観に来る。


少女はナイフを下げ、偽クラウディにさらにいくらか細かい指示をするとその場を離れた。


スライムは剣を鞘に収めると荷車に座り待機した。


その後身じろぎ一つしない仮面の冒険者に、先程の剣のぶつかり合いを見た人もあって近づこうとする者は誰1人いなかった。

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