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第130話 ダークエルフ①








暗闇の中、クラウディはカイザックの背中にアイラを預けて先頭を走ってもらった。後方からは笑い声と共に敵が迫ってきている。


「なんだ、あいつらは!?」


「ダークエルフだ!逃げるぞ!」


カイザックも荒い息をしながら出来るだけ足を速く動かす。正面を走ってはいるが真っ暗で一瞬見えた方向を頼りにしているだけなのでやはり遅く、徐々に追いつかれている。


後方から呪文の詠唱のようなものが聞こえ、激しい雷撃が飛んできた。クラウディが慌てて飛び退くと地面を抉る。


続けて先程の雷撃で見えた敵の先頭が剣を振るのを感じ、身を屈んで避けると頭上で刃が空を切る音が聞こえた。


少女は後方に左のシミターを突き出して敵の胸辺りを突き、刺さる感触を感じると敵を蹴り飛ばした。


だが、蹴り飛ばした方向から何かが飛んできて肩に突き刺さる。


「ぐっ」


クラウディはもう一度閃光を炸裂させた。


敵の目が眩んでいるのを確認し、肩に刺さった矢を引き抜くと再び後退する。闇が降りる前に、同時に進行方向も確認して出来るだけ距離を離した。


生命石のマナの残量的に閃光はあと1回か、小魔法1回が限界だった。


「カイザックいるか!?」


「さっきの横穴に向かう!」


前方20mから声がし、カイザックが予備のランタンを取り出したのか明かりが見えてクラウディは安堵した。


2人は全力で走り先程の横穴まで来た。が、アイラが気を失っており全員通るのは困難だった。


背後から敵の気配が近づいている。


「上の方へ行くしかない」


カイザックはそう言い再び走り出した。


もし行き止まりなら詰むが考えている余裕はない。クラウディは走りながらポーションを飲んで肩の傷を塞いだ。


さらに10分ほど走るが、徐々に洞窟が狭くなっていく。人工的な作りがなくなり足元に岩が突き出したりしていてつまずいた。


敵も追いついてきており、矢を放ってきていた。殿のクラウディは狭い洞窟に合わせてシミターを短刀に持ち替えたい所だったが、そんな暇はなく、シミターで何とか弾いていく。


再び呪文の詠唱が聞こえ今度は大きな火の玉が飛んできた。


────くそ


逃げ場所がなくクラウディは『生命石』で土壁を作って慌てて離れた。火の玉が衝突し辺りに散らばる。


『生命石』の光が消えた。


敵の振る刃が足元を何度も掠る。カイザックのもつ明かりを頼りになんとか弾いて応戦するがそう長くはもたない。


と、不意に明かりの光量が減ると矢が飛んできて再び少女の肩を貫通した。


ランタンが壊れたのか、カイザックに何かあったのか、考えが目まぐるしく回る。


どのみちこのままでは死ぬ。クラウディは一か八か剣の力を発動させて一掃しようとした。剣の力が尽きるまでにそれが出来なければ終わりだが。


その時グイッと背後から服を引っ張られて地面に転がった。その瞬間に水たまりに入ったのか全身がずぶ濡れになる。


────雨?


外に出たようで雨が降っており少女の体を激しく打ち出す。


素早く見回すと洞窟は森のすぐ外に繋がっていたようで、正面にエルフの森があった。


カイザックはアイラを背負ったまま森の方に体を向けていた。


背後から例のダークエルフたちの嘲笑う声が聞こえる。


「カイザック!」


クラウディは彼の側に行き剣を構えた。周囲には闇はなく地上ならば勝ち目はあるかもしれない。


「やめろ。この雨の中、相手がダークエルフなら勝ち目はない…………分かれよ。洞窟内じゃやつら面白がって雑魚魔法だけだったろ。外に出たらデカい呪文を使うぞ。今の状態じゃ勝てない。こいつもこんなだしな」


彼が背中で気絶するアイラを背負い直し、言いたいことを理解した少女は剣を下げた。しかし相手は追ってくるだろう。


「ならどうする……」


カイザックはため息をついた。そして背後の森に再び目を向けた。


「『エルフの森』に入る」


まあ、それしかないだろう。森に入れば身を隠すところも多い。2人は追っ手の姿が見えたところで森に足を踏み入れた。

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