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第126話 地下洞窟の調査1-①







次の日一行は朝食を摂るとすぐに野営を片しカイザックを初手で御者として馬を歩かせた。


ちなみに昨夜の事はまるで無かったかのように彼はクラウディに接した。


「え、じゃあバレちまったのか?せっかく時間稼いだのに」


昨夜のことをアイラに説明すると大丈夫だったかと心配するとともにカイザックの背中を睨みつけた。もちろんカイザックが『遊び』といった出来事は伏せておく。


「悪いな……まあ特に何にも無かったから」


「それはまあ意外だったけどさぁ……あ、じゃあ今後は私のとこで寝るのか?」


「いや、今まで通りカイザックと寝る」


満面の笑みを浮かべたアイラだったが、クラウディが方針を変えないことにこの世の終わりみたいな残念そうな顔となる。


「え~、何でだよー私のとこに寝てくれよー。抱き枕になってくれってー」


────俺はペットじゃないんだぞ


クラウディはそう思いながらも情報のやり取りの為もあることを伝えて、アイラを説得する。


「じゃあ万が一なんかあっちゃいけないからテント近づけるわ」


「いやそれはやめてくれ」


正直アイラのいびきはうるさいので極力離れて欲しいクラウディは速攻で断った。


その日は少し遅れ気味だったので夜になるまで進んでから野営をすることにした。森は抜けて街道から少し逸れた原っぱにテントを貼る。


食事を簡単に済ませると夜はもう遅いので就寝する事になった。


カイザックは特に何もせずすぐに寝てしまい、クラウディも眠った。


ただアイラが見張りの交代で起こしに来た後、彼も目が覚めるのか、起こされた少女が横になったままぼんやりしているといつの間にか背後に来ており、少女の背中から前に腕を回してきた。


グイと引き寄せられて密着する。


「見張りに行くんだが」


その姿勢のまま動かない彼にいう。


「俺様が寝るまで動くな」


────えぇ……


クラウディは仕方なくそのまま身じろぎせず抱き枕のように固まった。カイザックは服の下に手を入れて腹をさする程度のことはするが10分もすると寝息が聞こえてきた。


彼を起こさないよう身体を離すと外に出た。


「出てこねーからまた寝たかと思ったぜ……またそっちに行こうかと思ってた」


クラウディはその声にびくりとした。アイラがテントから顔を覗かせていた。


キチンと起きたことを示すと彼女は欠伸をして中に入った。すぐにいびきが聞こえてくる。


その日も特に何もなく。


それから3日ほど馬を歩かせると一行の眼前に再び鬱蒼とした森が見えてきた。


「カイザック、あの森か?」


馬を操作するクラウディが荷車で横になっている男に声をかけると彼は起き上がった。


「ああ、このまま入り口まで行くとその近くに拠点みたいなのがあるはずだが」


1時間ほどさらに歩かせ森の入り口らしきところで止まった。3人は馬を休ませ辺りを見渡すがそれらしきものは無い。


「中じゃねーの?」


アイラが森の中に続く道を覗きながら言った。森は何とも言えない不思議なものを感じた。ただの森では無いことがわかる。普段森は鬱蒼としたものだが異様に明るいのだ。


「馬鹿、この『静寂の森』は別名『エルフの森』だ迂闊に近づくと捕まるぞ」


「馬鹿ってゆーな馬鹿!あんだよ別にいーんじゃねーの少しくらい。拠点なんか見当たんねーし」


確かに中の可能性もなくも無い。しかしカイザックは首を振った。


「この森には入らない。いうことを聞け。またレスターみたいなことになるぞ」


「じゃあどうすんだよ」


カイザックは取り敢えず左右どちらかでもいいから途中まで森に沿って行くことを説明した。


じゃあ、とアイラが左を指差し、そちらに馬を歩かせる。


────エルフの森か


まだ姿を見たことがないクラウディはどんな種族なのか気になった。小説などでは美しい見た目だとか、弓や魔法が得意、あとは寿命が非常に長いというのが多い。


30分ほど歩を進めているといかにも『急増でこしらえました』と言わんばかりの、今にも崩れそうな小さな小屋が目に入った。


「もしかしてあれか?」


アイラが小屋を見つけたのか呟いた。馬を近づけると中から軽装の二人組が出てきた。1人は鎧を纏った中堅の男。ヘルムも被っていて顔は見えない。もう1人は背の高い女性。服装から魔法師だろうか。耳が隠れるほど深く被った帽子の下から長い金髪が覗いている。


一行は近くまで来ると荷馬車を止めた。


「地下洞窟の調査依頼を受けた冒険者だ。そちらは?」


クラウディがそういうと2人は安堵した表情をして互いに顔を見合わせた。少女たちに中に入るよう仕草をし2人は先に小屋に入った。


一行も馬を小屋のそばに止め、荷物を持って中入った。

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