第6話 盗賊のアジトを暴け
盗賊たちはソウスケの圧倒的な力を目の当たりにし、完全に戦意を喪失していた。
「くっ……! なんだ、こいつは……!」
「バドーさん、どうします!?」
仲間の1人が動揺しながらリーダー格の男――バドーに助けを求めた。
バドーはソウスケを睨みつけ、そして歯ぎしりする。
(……こりゃダメだ。こいつ相手にやり合っても勝ち目がねぇ!)
彼はすぐに撤退を決意した。
「チッ……! 引くぞ!」
「バドーさん!?」
「馬を出せ! ここにいても無駄だ!」
バドーの命令で、盗賊たちは一斉に馬に飛び乗り、村から撤退していった。
「待てっ!」
リリが悔しげに叫んだが、ソウスケはそれを静かに見送っていた。
「……追わなくていいのですか?」
カエデが心配そうに尋ねる。
「今は追わないほうがいい。敵の拠点を突き止めない限り、またすぐに戻ってくる」
ソウスケの言葉に、リリはハッとした表情を浮かべた。
「だったら俺が行く!」
「リリさん!」
モミジが慌てて制止しようとするも、リリは弓を背負い、すぐさま夜の闇へと走り去っていった。
村に訪れる安堵と感謝
「やった……! 本当に盗賊を追い払ってくれた……!」
村人たちは歓喜と驚きが入り混じった表情を浮かべながら、ソウスケたちを見つめていた。
「本当に助かりました……!」
「まさか、あんな簡単に……!」
彼らの視線には、畏敬の念が込められていた。
その時、村の奥から1人の老人がゆっくりと歩いてきた。
「村長……!」
村人たちが道を開ける。その中央に立っていたのは、額に包帯を巻き、杖をついた壮年の男性だった。
「お主が……盗賊を追い払ってくれたのか?」
「まぁな」
ソウスケが軽く頷くと、村長は深く頭を下げた。
「本当に、礼を言う。私は以前の襲撃で盗賊に重傷を負わされ、しばらく寝込んでいたのだ……」
「なるほどな。それで今まで姿を見せなかったわけか」
「うむ。そして……お前たちもよく頑張ってくれたな」
村長はカエデとモミジにも優しく微笑みかける。
「いえ、私たちは何も……」
「ですが、これで少しは村の平和に貢献できたでしょうか……?」
2人が謙遜しながら答えると、村長は頷いた。
「もちろんだ。お前たちが力を貸してくれなければ、村は今ごろどうなっていたかわからん」
そして村長は改めてソウスケを見つめ、静かに言った。
「しかし、奴らはこれで終わりではない……また襲ってくるだろう」
「だろうな」
ソウスケも同意する。盗賊たちは明らかに組織的に動いており、単なる山賊とは違う。必ず報復に来るはずだ。
その時――
「見つけたぞ……!」
夜の闇から、息を切らしたリリが戻ってきた。
「リリ!」
カエデとモミジが駆け寄る。
「盗賊のアジトを見つけたぞ!」
「どこにあった?」
ソウスケが尋ねると、リリは地面に簡単な地図を描いた。
「村から北東に進んだ森の奥だ。小高い丘に囲まれた谷の中に、奴らの拠点がある。どうやらそこが、親玉の根城らしい」
「なるほど……隠れやすい地形だな」
ソウスケは腕を組んで考え込む。
「突っ込めばいいというわけではなさそうですね」
モミジが真剣な顔で呟く。
「そうですね……相手の戦力もわかりませんし、慎重に動くべきかと」
カエデも緊張した表情を浮かべた。
「ですが、このまま何もしなければ、また奴らは村を襲います」
リリが拳を握りしめる。
「だったら、俺たちで叩くしかない」
「……そうだな」
ソウスケは静かに頷いた。
「ただし、正面からぶつかるのは得策ではない。まずは奴らの戦力を探り、奇襲を仕掛ける。カエデ、モミジ、お前たちも協力してくれるか?」
「はい、もちろんです!」
「私も……できることは精一杯やらせていただきます!」
2人は力強く頷いた。
「じゃあ、決まりだな」
ソウスケは立ち上がり、冷たい夜風を浴びながら静かに言った。
「――盗賊どもを根こそぎ潰す」
闇に消えた盗賊たちを追うべく、4人は行動を開始するのだった。