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討伐隊の歓迎 2

「こんなところで立ち止まってどうしたのかしら」


 後ろから声をかけてきたのは、たった今別れたばかりのララルトだった。近くにガドの姿が見えないということは、既に別行動というわけだろうか。ララルトはメートが宿なしであることには全く気が付いていない。顔見知りが、通行の邪魔になるところで立ち止まっていれば、声もかけるだろう。


「ああ、いや、宿屋とかってこの村にあるのか?」


 彼は恥よりも夜を超える場所を探す方が優先されて、彼女の文句か何かを言われるかもしれないことを承知の上で、彼女のそう訊いた。彼女は、きょとんとした顔をした後に、口角を上げて笑顔を隠し切れないというような表情になった。馬鹿にされるだけで、情報を得られないという可能性まで考えながら、彼女の返答を待っていた。


「あらら、そんなこともわからずに、格好つけて出ていったんですか? まぁ、旅人だというのなら、仕方のないことかもしれないわね。……まぁ、一緒に討伐に出たわけだから、その、一緒に来てもいいわよ?」


 メートは彼女が宿を準備してくれるのだと思ったのだが、それを考えれば、彼女と共に同じ家に住むということだろうか。彼は勝手にガドも一緒なのだと思いながら、彼女の言葉に賛同した。彼女はそう、とだけ返事をすると、さっさと歩きだす。メートは彼女についていくことにした。その間にも、本当に彼女と共にガドが一緒に棲んでいるなら、邪魔になる可能性の方が高いだろうなとか、そこまで長居するつもりもないから少しくらいなら世話にならせてほしいなとか、適当なことを考えていた。


 村の中でも討伐隊の建物から離れた場所に彼女が住んでいる場所があるようだった。この村の言えば、砂漠の家らしく、石のようなものでできているようだった。窓の代わりなのか、窓枠のような場所には木製の格子が嵌められていた。砂漠で温度が高いため、通気性を優先しているのかもしれない。


「ど、どうぞ。部屋は開いているから、遠慮することはないわ」


 彼女の様子が少しおかしいことには気が付いていたが、ここで遠慮して家の中に入らないというのは失礼だとも考えて、彼はララルトの家の中に入った。家の中に入るともう一つドアがあって、それを開ければ、リビングのような空間に繋がっていた。近くにキッチンもあるようで、そこにはメートも知っているフライパンなどの調理用の器具も並んでいる。それを見れば、ララルトも料理をするということはわかるだろう。そして、リビングのような部屋にはドアが三つほどあった。そのうちの一つには、ララルトと書かれたプレートがかかっているドアがあり、そこが彼女の部屋なのだと分かった。それ以外の部屋にはネームプレートはかかっていなかった。リビングには八人分の四角いテーブルがあり、その周りには椅子が並んでいた。彼女以外にもここを利用しているのがわかるのだが、その者たちの部屋がどこにあるのかはわからない。


「あなたの部屋はこっち」


 ララルトがリビングに入ってきて、彼に声をかけた。メートは素直に彼女が行く方向についていく。彼女が移動する先にはリビングの端の死角になっている部分にドアがあった。それを開ければ、そこは階段になっていて上に上がることが出来そうだった。彼女がその階段を上がっていたので、彼もそれに付いていくことにした。その先には廊下があって、そこにはドアが七つほどあった。全てのドアにプレートはかかっているが、そこに名前が書いてあるのは一つだけで、ガドと書かれていた。そして、そのドアから、ガドが出てきた。討伐に行った時のようなごつい恰好ではなく、涼し気でラフな格好をしている。そして、彼はメートと視線が合うと、驚いたような様子だったが、何も言わなかった。


「ああ、ガド。しばらく、この人もここに住まわせることにしたわ。すぐに喧嘩を吹っかけてはダメよ」


「……まぁ、なんの装備もしてないし。こういう時まで喧嘩しないよ」


 一緒に討伐に行った時とはまるで別人のような落ち着き具合だが、ララルトが騒いでいないということは、いつものこと、というやつなのだろう。彼も特にけだるげな様子のガドのことを気にしないことにした。むしろ、喧嘩を吹っかけてこない今の彼は好印象でもあった。


「それで、メートの部屋はここね」


 彼が案内された部屋はガドの部屋の隣の部屋だった。階段を上がってすぐ近くの部屋だ。ガドが一番端の部屋で、その隣の部屋でもある。どの部屋であっても特に文句はなかったため、彼は素直にその部屋の中に入った。部屋の中は長方形で一人暮らし用のあまり大きくはない部屋だった。広さ的にはクミハ達に住まわせてもらった部屋と同じくらいだった。今の彼からすれば、十分すぎるほどの部屋だった。

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