魔獣討伐隊の二人 5
村に入るころには、既に日も落ちて昼の蒸し暑さもほんの少しだけ落ち着いていた。三人はそのまま討伐隊の建物の中に入っていく。
建物の中には、メートが最初にこの建物に入ってきた時よりも人が多くいた。入ってきた三人に、視線が集中する。それはメートがいるからではないようで、三人にほとんど平等に視線が向けられているように、メートは感じた。建物の中に入ったところで、そこから誰にどういえばいいのかわからないメートはその場で迷っていたのだが、ララルトとガドが動き始めたので、それに続いていく。ララルトの行く先にはアカリがいて、彼女は昼も見た端末を操作しているようだった。そして、その隣には背が高く、筋肉が付いているのがわかるような姿の男性が立っていた。その男性が持つ雰囲気から、その人が魔獣討伐隊のリーダーだと思えた。そして、ララルトたちが近づくと、アカリとその男性が彼らに気が付いていた。
「ああ、無事でしたか。少し心配しておりましたが、戻っていただけで一安心ですね」
アカリにそう声をかけられているところを考えると、ララルトとガドはこの時間には既に戻っていることが多いのだろう。心配されるくらいだから、討伐隊の中でもそこまで戦闘能力も高くはないのかもしれない。
「……この人のおかげで生きて帰ってこられました。それだけです」
ララルトは少し不服そうだが、メートはそれを聞いても特に思うことはなかった。最初から好かれているような態度ではなかったし、おそらく実力でも見てやろうと連れだしたら守られてしまったのだから、不服に思うのも仕方のないことかもしれない、とメートは勝手に彼女の心を予想していた。
そして、その後、いくつか報告をして、討伐した魔獣を見せなくてはいけないようだった。彼は討伐したサソリの装甲を床の上に出す。
「これはバイファスコルピオンの装甲ですか……。これに狙われてよく生きて帰ってこられましたね……」
アカリは凹んだその装甲の形を見るだけで魔獣の名前を特定していた。そもそも、ここらにそういう装甲を持つ魔獣がそれだけなのかもしれないが、すぐに名前が出てくるあたり、この討伐の頭脳であることは間違いないだろう。
「この人が一人で倒してくれたんです。それで何とか生きて帰ってられたんです。この人がいなければ、ガドと一緒に死んでいました」
ララルトが報告するたびに、その声が無機質なものになっているような気がしていた。それでも、メートは既にその話には興味がないようで、周りにいる討伐隊に視線を移していた。討伐隊といっても、衣装に統一性はなく、武器も様々なようだった。しかし、どのメンバーも原始的な武器を使用しているようで、現代的な武器を持っているような人はいないように見えた。見た目だけでは、原始的な武器だが、戦闘時には他の機能もある可能性もある。それに、この村に入ってくる前に戦った女性は銃を使っていたのも思い出す。おそらく、戦闘した女性が出てきた村はこの村なのだろう。そして、銃を使っていたということは、この町にもそれがあるのかもしれないが、可能性として高いのはこの狭間に落ちてきたものを使用していただけという可能性もある。落ちてきたときに既に持っていたものの可能性もあるのだろうか。とにかく、この村で銃を探してみるのを、目的の一つに考える。
彼がそうしている間に、ララルトとアカリの間で話は進み、サソリの装甲は討伐隊が買い取ることになったらしい。その額は交渉することもなく、既に決まった額があるようだ。彼はそれに疑問も抱くこともなく、最初にアカリにもらったカードを差し出して、その中にお金にかわるものを入れてもらった。その額で何をどれだけ買えるのかは全くわからないが、とにかく多少は買い物もできるだろう。
「ついてきてくれてありがとう。とりあえずは、これでパーティ解散にするわ。それじゃあね」
ララルトは淡白な言葉を残して、ガドと共に建物の外に出ていった。取り残された彼は討伐隊の視線が集中していることに気が付いていた。それもあまり心地の良い者ではなく、殺気や恨みとまでは言わずともその方向にある視線を無遠慮に突き刺されているのが分かった。メートはなぜそこまでの視線をよこすのか全く理解していなかった。
「……悪いが、俺にも名前を教えてくれ」
彼が討伐たちのリーダーだと考えていた男性に肩を掴まれて、そう問いかけられた。彼は特に気圧された様子もなく、彼に自己紹介をした。彼の予想通り、目の前の男性は討伐隊のリーダーであるようだった。




