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魔獣討伐隊の二人 4

 彼はサソリに何度も攻撃を加えていく。その連撃は確実に相手の胴体にダメージを与えていて、魔獣の体はかなり凹んできていた。しかし、魔獣の動きが鈍ることはなく、彼の攻撃をその強力な尻尾で防御していた。


 その様子を見れば、装甲を凹ませる程度では相手のダメージになっていないようにも感じていた。どこかにダメージを与えやすい場所があって、それを見つけなければ、相手の致命傷を与えられないのだろう。そして、これだけ見える場所に攻撃してもダメージが与えられないとなれば、おそらく地面と接している胴体の下の辺り、腹とでもいえる場所が弱点になっているのかもしれない。そう予想しても、胴体の下部は地面と接していて、直接攻撃が届くような場所ではない。そして、砂の壁もいい加減、持たないだろう。


 彼は相手が振るう尻尾をハンマーでガードしながら、土の魔法を使うことにした。サソリの下にある砂がせり上がり、サソリが彼よりも上に移動する。サソリは戸惑ったように、足場で足を動かしているが、彼が作り出した砂の足場から下りることが出来ないようだった。相手がそうして戸惑っている間に、彼はハンマーを捨てて、槍を作成する。その先端をドリルのような螺旋で作成して、ひねれば貫通力が多少高まるような槍だ。彼はそれを両手で握り、斜め上にいるサソリの方へと向ける。相手の位置が高くなれば、必然的に彼はサソリの胴体の下面を狙いやすくなっていた。サソリは未だにその足場の上で戸惑っている。落下すれば、簡単に危機の回避になるだろうが、落下すれば死んでしまうかもしれないという本能に下かがっているのかもしれない。そして、彼は槍を捻りながら前に出した。彼の作り出した砂の足場を貫通して、サソリの胴体に到達する。槍の先端は簡単にサソリの体に入った。彼はさらに槍を捻りながら押し込んだ。しかし、その途中で槍は止まって、何か固いものにぶつかっていた。それが装甲だと気が付かずに、彼は数度、引いては押してを繰り返す。そして、その後にようやく、それが装甲だと気が付いてやめた時にはサソリの魔獣は既に死んでいるようだった。そして、砂の足場と壁の魔気もなくなり、彼が使っていた砂は全て砂漠の砂に戻っていた。そして、彼の前にはサソリの魔獣の死骸だけが落ちていた。


 彼が作り出した槍がサソリに突き刺さったまま、それを引きずりながらララルトとガドの方へと移動する。どうやら、ガドは起き上がれるくらいには回復していたようで、上半身を起こしていた。ガドが近づくメートに気が付いて、魔獣の死骸を引きずっているところを見て、驚いていた。彼の表情の変化にララルトももちろん、気が付いて彼女もメートの方を向いた。


「ま、まさか、一人でバイファスコルピオンを倒したというの?」


「まぁ、多少手間取ったけど、なんとかな。こいつ、固すぎてこんな倒し方しかなかったんだが、これでも資源になるか?」


「それはなると思います。その堅い装甲が資源そのものなのよ。でも、そもそも、スコルピオンを退治できるだけで功績になるわ」


 メートは功績には対して興味はないようで、ふーんというような態度だった。彼だけがことの重大さに気が付いていないようで、二人は呆れた様子であった。


「まぁ、いいや。そろそろ疲れたし、村の方に戻れるか」


 ガドが動けなければ、村に還ることはできないと考えていた彼は二人にそう聞いた。ガドは膝に手をついてゆっくりと立ち上がっていた。外していた腰につけていた鞘と剣とつけようとしたのだが、今の状態では明らかにその武器を装備しながら砂漠の中を歩くことはできないさそうだった。彼は結局、剣を腰につけるのをやめて、剣先を引きずりながら動くことにしたようだ。盾はどうするのかと思ったが、放置して移動を始めようとしたので、彼が盾について訊くと、盾としては既に使い物にならないと言って、その場に捨てるようだった。そのため、彼が盾をもらっていいか聞くと、ガドは二つ返事で了承したため、彼は袋の中に盾を押し込んでいた。その袋にも二人が驚いていて、その袋の機能ついて説明しても、二人はあまり理解していないようだった。それもそのはずで、彼だってどういう原理で、見た目以上に中にものが入るのかを理解していないのだ。それは穏やかな森の村の人たちも知らないのだから、原理など知るはずもない。とにかく、使えるし、入るから使っているのだ。それ以外のことはわからないのは当然だ。


 そして、三人は砂漠を歩いてきた分を村の方へと引き返す。小さいながらもまだ村が見える位置なので、帰れないということはないだろう。そのまま、三人は村へと戻ることにした。

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