魔獣討伐隊の二人 2
メートはサソリの方に再び近づいていく。相手は近づかれると離れるという行動パターンであることが分かったが、その行動をするということは、近づかれたくないということだろう。
今度はメートと距離を開けるように移動しながら、彼の方へと勢いよく液体を吐き出していた。しかし、直線的な攻撃を回避できないわけもなく、彼は簡単に回避しながら前に出る。その度に魔獣は離れようとしていた。いい加減、相手の攻撃方法が同じであり、毒液の攻撃にも慣れてきていた。
魔獣の移動する速度が速く、彼の足では相手に近づけない。さらに、砂漠という環境が足運びの妨げになっていた。思うようには前に出ることが出来ず、相手に近接攻撃が届くまで近づこうとすれば、相手の方が移動速度が速く、相手が離れる速度の方が速いのだ。
接近戦にこだわらずとも、攻撃できる手段はあるが、相手のあの硬そうな装甲を貫通できるのかどうかの判断が付かない。おそらく、レーザーの魔法を使えば、魔獣の装甲も貫通することもできるだろうが、魔法発動する前に相手の射撃の方が先にメートの到達するだろう。そのため、迂闊に強力な魔法を使う準備をすることはできない。そして、そうしている間に、ララルトとガドを守るために建てた砂の壁が解除されて、砂漠の砂に戻る。既に、二人からは離れているとはいえ、視界からいなくなっているわけではない。彼も目視で確認できるところに二人はいて、ガドは未だに横になっているように見える。そろそろ起きてもいいような気もするが、このサソリの射撃の勢いのままに背中から衝撃を受ければ、まだ目を覚ますのは無理なのだろう。そもそも、気絶していれば、自らの意思で起き上がるということはできないのだ。ララルトも彼の近くからは離れるつもりもないようだ。メートはこの戦闘において、二人が助けてくれないことを理解した。少なくとも、ガドがすぐに起き上がるということがなければ、この戦闘に参加することもないのだろう。
彼は最初から二人に期待していたわけではないが、一対一という状況でなければもっとできることが増えるだろうにとも考えていた。しかし、参加するつもりのない者を無理に戦闘に参加させたところで、戦力になるとは思えない。砂の壁を再び立てるということもせずに、サソリの方へとまた近づいていく。サソリはその分逃げようとするが、今度はサソリの進行方向に砂の壁を立てていた。全方位を囲っているわけではないため、サソリは器用に壁を避けて離れていく。彼は立てた壁の後ろに隠れる。その位置から、サソリと自分の間にある道に大量の砂の壁を作り出していた。彼から広がるように壁が徐々に広がっていく。サソリは自身に壁が近づいてくると、後ろに移動していた。壁を破壊するという手段をとるわけではないようだった。彼は壁の後ろに隠れながら、前に出て相手の様子をうかがっていた。壁が広がる速度よりも彼が移動する速度の方が速く、サソリは壁が近づいてくる速度に合わせて後退しているため、メートはサソリに手の届くところまで移動することが出来ていた。
彼は壁の後ろで両手で持つ重いハンマーを作り出していた。その距離まで近づけば、相手の周囲に正確に壁を作り出すことが出来る。サソリの周囲から、サソリにしてみれば唐突に砂の壁が一気にサソリよりも高く伸びていた。壁が作り終わってから、彼は壁から出てハンマーを振り上げる。サソリは後ろに逃げようとしたが、壁にぶつかる。左右に動くもどちらにも壁があり、壁のない場所には既に彼がいる。逃げ場を失ったサソリは尻尾を振り上げる。彼は持ち上げたハンマーを振り下ろした。振り下ろしたハンマーは相手の尻尾にぶつかり、そこで止められてしまった。彼はそこからさらに下にハンマーを下げようとしたが、尻尾はそこから動かず、ハンマーを下に下げることはできなかった。彼がハンマーから手を離すと、相手は重いはずのハンマーを弾いて、彼に返すような軌道を描いていた。
サソリを囲う壁を作ったため、相手を逃がしたくなくて、彼はあまりそこから動けなかった。ハンマーが飛んできても、それをぎりぎりで避けていた。彼の後ろで砂を巻き上げながら、ハンマーが砂漠に落ちた。次の武器を作ろうとしたのだが、動きは相手の方が先だった。ハンマーを弾いた尻尾を再び振り上げていて、それを見た目には無防備な彼に振り下ろす。彼は少し身を屈めて、砂の壁を作り出して尻尾が叩きつけられるのを防いでいた。そして、ハンマーのお返しといわんばかりに、相手の尻尾を砂の壁から柱を生やして、はじき返していた。




