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魔獣討伐隊の二人 1

 サソリは少し離れたところで、先のとがった尻尾を持ち上げていた。その先端を彼らの方に向けている。メートは二人をかばうように、正面に立つ。相手は魔獣であり、攻撃を躊躇することはない。尖った尻尾の先から、何かが発射されるのを彼は見ていた。その場で回避をしてしまえば、後ろにいる二人に当たることは確実で回避は選択できない。彼は何とか綱の壁を作り出して、その攻撃をガードしようとした。


 相手が射出したものが、その壁にぶつかると、その壁を貫通するギリギリで止まった。あと少し砂の壁を薄く作り出していれば、相手の攻撃が貫通していたということだろう。彼は相手との位置取りが悪いことを理解していたが、その場所からすぐに動くことはできなかった。少なくとも、ガドが動ける状態なのかどうか、それがわからなければその場所から動いて攻撃することは難しい。魔獣にすぐに近づける距離であれば、近づいて気を引くこともできるだろうが、すぐに近づけるというほどの近さでもない。視界の中では近い方ではあるだろうが、戦闘中に移動する距離として離れていると感じる距離だ。移動している間に、相手の尻尾の射撃が当たる可能性も考えると、その場所から動くというのは得策とは思えなかった。彼は、とりあえず、砂の壁を厚くしていれば、相手の射撃からも身を守れることはわかっているので、多少の持久戦はこなせるだろうとも考えていた。


 砂の壁を作り出して、周囲の砂漠に自身の土の魔気で常に壁の砂を補給するように移動させる。周囲の砂に込めた魔気が切れるまでは、彼も砂の壁の状態を気にすることなく、行動できるようになる。彼は後ろを見て、二人の状態を見ていた。


 ガドはあおむけで倒れていて、ララルトは彼に何かを飲ませていた。彼の背中にあった盾は彼の隣に置いてあり、その盾には紫色の液体がべっとりとついていた。そして、盾が多少凹んでいるのも見ればわかるほどだった。衝撃だけがガドに伝わっていて、相手の射撃自体は彼の体までは届いていなかったようだ。それだけでも安心だが、その衝撃のせいですぐには動けないようだった。彼は砂の壁を残したままであれば、相手の近づいても、二人に攻撃されても砂の壁によって守ることが出来ることに今更気が付いた。彼が壁の横から体を出すと、相手の尻尾がメートの方へと向いた。そして、すぐに彼に向かって紫の液体が飛んでいく。彼はそれを簡単にかわして、前に出る。守る必要がないとなれば、簡単に前に出ることが出来るものだと思いながらも、メートも盾を創造していた。腕をカバーする程度の大きさのもので、ガドが持っている盾よりもかなり小さいものだ。それを創造している間に、相手は再び液体を飛ばしてくる。彼は盾を離して、その場に残してそこに液体が当たるようにして、盾よりも前に、すっと出てくる。徐々にサソリに近づいていく。そして、それを数度繰り返せば、メートがサソリに近接攻撃が届くくらいには近づくことが出来ていた。彼は片手で握れるくらいのハンマーを創造していた。その間に、サソリも動き出して、彼と距離を取ろうと後ろに移動していた。正面を向いたまま、平行に移動する。スムーズすぎる移動であり、その動きには生物間がなかった。彼は片手で振り回せる程度のハンマーを創造し終わり、それを装備するころには、また距離を詰めなければいけない距離にはなっていた。少なくとも、ハンマーが届く距離にはいないというわけだ。彼が近づこうとしたところで、相手は再び射撃を開始する。片手で持てるくらいの大きさと重さのハンマーであるとはいえ、何も持っていないときよりはその動きはどうしても遅くなる。彼は相手の射撃した液体とすれ違うという狙いでハンマーを投げていた。ハンマーは縦に回転しながら、相手の方へと飛んでいく。ハンマーよりも相手の攻撃の方が速かった。しかし、直線的にしか飛んでこない液体は既に、見切っていて、彼にはその射撃は当たらない。ハンマーは多少山なりで飛んでいき、サソリに向かって飛んでいく。魔獣はそのハンマーを攻撃であることを理解していて、尻尾を持ち上げて、ハンマーが自身に当たる前に、尻尾を振り下ろした。ハンマーの硬度では相手の尻尾には勝てず、彼が投げたハンマーは砂の中に埋められていた。


「意外と、馬鹿じゃないのか? 殺気がわかってるのか」


 単純な攻撃で倒せるほど弱い魔獣ではないということを理解したが、それで戦闘を放棄するほど、相手との戦闘力に差があるというわけではないとも思った。まだまだ攻撃手段はありそうだが、彼自身はまだ相手に負けているとは思えなかった。

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