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メート、黄砂の村へ5

 前に出たガドは魔獣が近づいてくるのを待っていた。大きな盾を構えたまま、じっとしている。その後ろで多少緊張感を持ちながらララルトも彼と同じように戦闘の開始を待っていた。さらにその後ろで観戦を決め込んでいるメートは砂漠の熱の中、何も動かない状況をじっと見ていた。二人は自分たちの戦う準備ができたとしても、相手に近づいて先制攻撃を叩き込むというような行動はしないようだ。迂闊に近づかないといえば、そう考えることもできるかもしれないが、二人はおそらくここらの魔獣の討伐もこれが初めてというわけではないだろう。それなのにも関わらず、戦闘スタイルが待ちであることは、悪い意味で驚きだ。しかし、彼は特に二人に何か言うわけではなかった。二人のその戦闘スタイルは二人にははまっているようだし、無理に変更して大怪我をしては意味がない。生きていてこそ、次につなげられるのだから。


 そして、ようやく四足歩行の魔獣、スウェースエナが二人を自身の攻撃範囲に捉えていた。待ちの戦闘であるだけあって、二人は相手が先に行動するのをじっと待っている。魔獣は二人の考えていることなどどうでもいいかのように、先制攻撃を仕掛けてくる。魔獣は警戒心の一つもなく、彼に攻撃を開始する。ガドはその大きな盾で危なげもなく、相手の体を受け止めた。そのまま、彼は盾で相手の体をはじき返し、巨大な剣の剣先が砂に触れながら、未だに宙にいる相手の体を両断するかの勢いで振るう。巨大な剣を振るうのは迫力はあるものの、剣を振る速度はそこまで速くはないため、簡単に回避されていた。しかし、剣を回避するために相手は大きく回避せざるを得ないため、相手との距離が開く。その瞬間、相手の背中に砂でできた壁が出現していた。ララルトがガドが剣を振るのに合わせて、先に壁を作っていたようだ。スウェースエナは壁に自身の足を当てて、壁を蹴って彼の方へと跳ぶ。相手のその動きは、ガドはわかりきっていたようで、相手の体が飛んでくる位置に剣がぶつかるようにふるうと、相手は回避も防御もできずに、巨大な剣の刃を受けて、胴体が真っ二つになっていた。そうなってしまえば、凶暴でタフな魔獣と言えど絶命する。真っ二つになった胴体が地面に落ちて、ぐちゃりと音が鳴った。そして、砂の壁も砂漠の中の砂に戻り、そこに残ったのは魔獣の死体だけとなった。


 戦闘が終わり、ガドがメートの方に振り返り、どうだ、と言わんばかりの誇らしげな顔を見せてくる。ララルトはそんな彼を見ながら、ため息をついて、両断された死体に近づいた。


「こんな倒し方じゃ、ほとんどお金にならないわ……」


 そういいながら、ナイフで死体を解体していた。ガドも剣を鞘に納めて盾を背負ってから、ララルトと同じように魔獣の解体を始めた。どうやら、砂漠の村では魔獣も資源の一部というわけらしい。メートにはこの暑い中、毛皮が何の役に立つのかわからなかったが、それでも解体しているところを見ると、役には立つということなのだろう。さらに内臓を取り出して、肉と骨に分ける。そのうち、内臓は火の魔法で焼却してしまっていた。毛皮と肉、骨を回収している。


「一匹だけならこれくらいかしら」


 ララルトは未だ多少不満そうだが、それを口に出すことはないようだった。ただ、ガドはその態度で既に察しているようで、メートも彼女の不満を感じ取っていた。そのまま、さらに砂漠を探索するのかと思えば、ララルトが彼の方に振り返った。


「今日はここまでにするわ。暗くなってから帰るのは危険だから」


 確かに村から離れた状態で、暗くなってしまえば、周囲も見にくくなり、村に戻れなくなれば次の日まで砂漠の上を彷徨うことになるかもしれない。メートはララルトの言うことに素直に従い、村に帰ることにした。三人は進んできた時とは真反対の方を向いて再び歩き出した。


 しばらく、歩くとガドが急に進行方向とは反対に体を向けた。その瞬間、盾を背負っているガドの背中に何がぶつかったようだ。その衝撃で、ガドが前のめりに倒れて膝をついた。何が起きたのかわからないが、何かに攻撃されたことだけはメートでも理解できた。咄嗟に屈んで周囲を見る。視界に入ったララルトはガドの容態を見ているようで、彼女も身を低くしているようなものだった。周囲を見ていた彼は少し離れたところに人間と同じかそれより少し小さいくらいの大きさのサソリのようなものがいるのに気が付いた。砂漠の砂の色と同じ体色で、ガドが攻撃を受けたおかげで、相手の位置を把握できたといえるだろう。ガドはすぐには立てなさそうで、ララルトも彼の手当てをしなければいけないらしい。どう考えても、逃げる準備をする方が先だと思ったが、二人は違うらしい。結局、彼も二人を置いて逃げることはできず、その魔獣と戦闘することにした。

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