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メート、黄砂の村へ 3

 メートは特に何もせず、アカリの言葉を待っていた。アカリは端末を操作している。


「あ、そうだ。すみません、お名前を伺っておりませんでした。最後になってしまいましたが、お名前を教えていただいてもよろしいでしょうか」


「あぁ、メートだ」


 「メートさん、ですね。わかりました。では、この村に滞在する間は、この魔獣討伐隊のゲストメンバーさせていただきます。この村から出ていくときは、報告をお願いします。また、村付近に魔獣が出現した場合のみ、この魔獣討伐隊に加勢していただくことになりますので、覚えておいて下さい。それ以外は何をしていても問題ありませんが、この村に住む人たちからクレームが入れば、即時拘束させていただきますので、それも覚えておいてください。お話を聞いていただいてありがとうございました。質問があれば、受け付けますが、何かありますでしょうか」


 アカリは支持を少し早口で話していたせいで、彼はいくつか聞き逃していたような気がするが、結局は魔獣が出たら協力しろ、村人に迷惑をかけるな、の二点を守っていれば問題ないだろう。穏やかな森の村よりも社会的な村なのだろう。この魔獣討伐隊が村を仕切っているのかもしれない。いや、どちらかといえば、警察のような役割となのかもしれない。


「あー、その、なんだ。とりあえずはこの魔獣討伐たちに協力はするんだが、仕事や金銭はどうしたらいいかを聞きたいんだ。まずは水が欲しいんだが、それを買うための物は一つも持ってないから、できるならすぐにでも仕事に出たいんだが……」


 メートは少し困った表情で、彼女にそういった。アカリは特に驚いた様子もなく、彼の話を聞いていた。そもそも、この黄砂の村に旅人が来ること自体が、魔獣討伐隊ができてからは初めてのことなのだ。旅人に対する対処なんてものはたった今できたといえるだろう。狭間に落ちてきた者は旅人と自称することはないのだ。アカリは彼の言う穏やかな森の村という場所も知らない。黄砂の村に旅人が来ないということは、この砂漠の外の情報は一つも入ってこないということになのだから。


「仕事ですか。とりあえずは、このカードを渡しておきます。これの中にこの村の金銭データを入れることが出来るものです。これで買い物のやり取りをしてください。これを読み込むための器具は商人の申請をしている人には必ず支給していますので、オアシス付近の店なら必ず使えます。あとは、村人同士で物々交換しているみたいですが、それも自由です」


 アカリから、オアシス付近で見たカードのようなものを彼も受け取る。そのカードは灰色で石のように見えるが、見た目よりもかなり軽い。そのカード表面には数字のゼロが書かれていた。おそらく、それがそのカードの入っている金銭の量というわけなのだろう。それに付いてもアカリから教えてもらう。払うときはただそのカードを出すだけでいいらしい。


「旅人ということで、少し支給しておきます。仕事もしていただけるようですし、こちらの信頼の証として渡しておきますので、使ってください。それと仕事をするときには私かリーダーに話しかけてほしいんですけど、リーダーは今いないので、のちに紹介します。とりあえずは、私に話しかけてもらえば、仕事内容をお伝えしますね」


 そのまま、彼女に今日の仕事について教えてもらった。そのまま、彼女と話していた部屋から出ていく。部屋を出ると、建物の中にはメートをここまで連れてきた女性が立っていた。アカリが出てくるとその女性が二人に近づいてくる。


「話は終わりですか? この人、連れてってもいいです?」


 彼女はアカリにそう言って、アカリが許可を出すと、彼女はメートの腕を引っ張って彼を連れていく。彼の腕を引いていくと、この建物に入ってきたところで声をかけてきた背丈の男性も合流して、その建物の中のテーブルを囲んで座った。


「旅人、だと少し話しにくいですね。まずは自己紹介からしましょうか。ララはララルト。魔法を使って魔獣と戦ってます。そして、こっちは――」


「自分で名前くらい言える。ガドはガドっていうんだ。旅人っていうんだから、強いんだろ? 早く戦ってみてぇー!」


 ガドは成人しているとは思えないほど、子供っぽくそんなことを言っていた。ララルトはその様子を冷めた目で見ているが、すぐにメートの方に視線を移していた。おそらく、メートの自己紹介を待っているのだと思い、彼も自己紹介をすることにした。


「俺はメート。この狭間をの中を旅する旅人だ。戦闘もそれなりにこなせると思うが、あまり期待はしないでほしいな」


 メートが自己紹介をしても、彼女はすぐに話し始めなかった。

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