復讐のための旅 3
アスターは黄砂の村の出口に来ていた。周りは少しだけ明るくなっていた。彼女は少しだけ明るくなった黄砂の砂漠に足を踏み出した。村の中もほとんど地面は砂で、彼女の足の感触は特に変わらない。彼女は特に惜しげもなく村を出た。村を出たところで、特に何か感じることもなく、彼女は砂漠を行く。彼女の視界の中には当然、砂しかなく、それ以外に動くものはまだ見えない。彼女がもし、後ろを振り返れば村が見えるだろうが、彼女は後ろを振り返ることもなく、前に進んでいく。魔獣が出ない範囲というのは、まだ村が近い証拠である。
彼女がさらに砂漠を歩いていると、遠くに犬のようなものがいるのが見えた。魔獣討伐隊がパトロールする範囲外に来たのだということを察して、彼女は片手に銃を構える。スウェースエナ程度が一匹いるだけなら、彼女のマジックガン一つで相手できるくらいの強さしかない。今の彼女にはできるだけ戦闘を避けようという気は一つもなかった。スウェースエナが彼女に近づいてきても、彼女はマジックガンを構えて、ただただ無感情に発砲して魔獣を討伐していく。討伐隊ではないため、殺した魔獣の処理は必要ない。サンドワームがいつか食べて処理してくれるだろう。魔獣の皮をはいだり、肉をそいだりする必要はなくなったのだ。
さらに砂漠を進んでいくと、太陽も上がってきた。太陽が出てくれば、周りの温度が上昇していくのを肌で感じていた。それを感じても彼女が進む足は止まらず、先に進んでいく。しばらく進んでいくと、彼女に視界にはスウェースエナでも、サンドワームでもない人型の影を見た。遠くから見ても、明らかに明らかに変な格好をしている。布を体に巻いているように見える。さらに武装もなさそうだ。彼女はもう一丁のマジックガンも手に持って、その人物に近づいていく。彼女の中にはその相手を割けるという選択肢はなかった。相手もアスターに気が付いたようで、手を挙げて友好的な態度で近づいてくる。
近づいてくる人物はだった。男性というよりは男子というような風貌だが、その見た目とは裏腹に、戦闘経験が豊富というか戦い慣れをしているような雰囲気を感じ取った。彼女もなぜ、目の前の弱そうな男からそこまで強そうなイメージを受け取ったのかは全くわからない。彼女にとって妙な人間を警戒しないわけにはいかなかった。彼とすれ違った瞬間に後ろから不意打ちされる可能性だってある。もし旅人だといったとしても、こんな砂漠に自ら入ってくるほどのものがこの狭間の世界の中にいるとは思えなかった。
「すみません、俺はこの世界を旅しているのですが、ここらに村はありませんか?」
男が彼女に話しかけた瞬間に、彼女は銃口を男の方に向けた。男はぎょっとしたような表情で驚いて、両手を挙げていた。アスターは相手がそんな様子でもマジックガンを下すことはなかった。
「何者だ」
「ああ、いや、だから旅人だって。メートっていうんだ。別に悪いことしようなんて思ってないんだって。その銃口をさげてくれないか」
メートは焦った様子だったが、アスターから見れば、その驚きもうさん臭く見えていた。
「うさん臭いな。確かにここから北上すれば村がある。だが、お前をそこに行かせるわけにはいかないな」
彼女はそういうと、銃口を彼に近づける。メートはこの相手と話しても、聞く耳を持っていないことを悟っていたが、この場所から逃げることもできなさそうだということも理解していた。彼は土の魔気を操って、砂を足場にして柱のように上に伸ばしていく。そして、土の魔気が残っている間に、柱を構成していた砂に再び魔気を放出して、さらに柱を横に伸ばして足場にした。メートはその上を走って移動する。もちろん、アスターがそれを許すはずもなく、彼女は砂の柱に向かって、二丁のマジックガンを放つ。彼女の正確な銃撃はメートが作り出した柱も簡単に砕いて、柱の上を走る彼を魔法弾が襲う。
「実弾じゃないのか……? これは俺も使える魔法に見えるな」
銃声も少なく、柱に当たった瞬間に爆発して砂で作った柱が崩れる。彼の走っている足の下にある砂は土の魔気がある限りは空中で会っても崩れることはない。だが、彼女の放つマジックガンの弾丸が着弾して爆発すれば砂に込めていた土の魔気は付近とで柱を維持することはできなくなって柱の形を維持できなくなるのだ。砂漠であれば、常に砂を供給で来るため、柱は無限に伸ばせるといっても過言ではない。メートの魔気の量もすぐに切れるようなものでもない。柱を作り続けていれば村につく方が先になるだろう。




