行方不明の先 3
相手はリーダーの手をかいくぐり、彼から離れていく。そして、同じ拠点にいるペースの方に近づいていた。彼女の真上に移動していて、そこから落下すれば、彼女の体に短剣を突き刺すことが出来るような位置だ。そして、アカリの視界にも相手が映っている。落下しながら攻撃するという攻撃方法である以上は、空中で一度停止して、そこから落下してくる。アカリが近くにいて、相手が空中で止まる前に、端末を操作してペースと自分の周囲を取り囲むように半透明の水色の球体が出現していた。相手はそれを理解することもなく、落下してペースに刃を突き立てようとしていた。しかし、その球体より下には刃も入らず、相手の体も下に進まない。それに驚いている間に、相手の体が横に吹っ飛んでいった。相手の体を吹っ飛ばしたのは、ずっと狙いを定めていたアスターだった。
相手は拠点の壁の方へ飛ばされていた。壁にぶつかる前に床に着地する。そこからそこにいる四人を見ていた。相手は壁を蹴り、勢いをつけて宙を進む。ペースとアカリには手に出せないことを理解すると、アスターの近くに移動していた。彼女の足元に移動していた。彼女の視線と相手の視線が交差して、一瞬時が止まったかのような時間が通る。先に動いたのは相手の方で、相手の短剣が彼女の足首の辺りを切りつける。アスターはそれを後ろに少しだけ移動して回避する。それと同時に、相手の銃口を向けて放つ。相手はその銃弾も気にせず、体に掠ったまま前に出てくる。彼女は後ろに下がりながら、相手の向けてマジックガンを撃ち続けていた。相手の体には確実に当てているのだから、少しはひるむかと思ったが、そういうわけではないらしい。だが、彼女はそれでも表情を変えず、相手がさらに接近してくるのを見ながら、相手が短剣を動かした。彼女はそれを銃身で受けていた。相手の反対の短剣もすぐに前に突き出されていたが、それももう片方の銃口を向けて、短剣を弾く。相手の姿勢がかなり低くなり、そのから地面すれすれに腕を伸ばして、彼女の腹部を狙ってアスターの体に沿って上る。彼女は銃身で抑えていた短剣を弾いて、相手から離れる。相手の短剣を回避して、相手は立ち上がり、ふわりと飛んだところで今度は彼女の上から、彼女の肩の辺りに両手のナイフを突き立てようとしていた。彼女は斜め上にいる相手に銃口を向けて撃った。相手のナイフの片方を弾いて、もう片方の銃弾は相手の肩甲骨の辺りにぶつかり、空中でバランスを崩した。短剣は彼女の触れることはなかった。相手が床に着地するとほとんど同時に相手に発砲するが、相手はその銃弾もものともせずに、再び前に出てきていた。
だが、相手はそれ以上前に出ることはできなかった。足を掴まれた相手は後ろにいる相手を確認するまでもなかった。動けるのはアスターを除けば、一人だけなのだから。相手は自身の足を痛めるのもお構いなしに、体を捻って下半身もそれに合わせて回転する。足を掴み続けるのは難しく、足からリーダーの手が離れていた。
「くっ、これじゃ埒があかねぇ」
相手は立ち上がり、次の行動を一つも起こさなくなった。身を屈めて次の行動に移ろうとしているのと、同時にアスターは片方のマジックガンの上部カバーをスライドしてレーザーモードに変化させる。魔獣相手では魔気を貯めなければ、ダメージにならないが、人が相手なら少し魔気がたまるだけでダメージを与えることが出来るだろう。
相手は跳び上がって、拠点の壁に移動しようとしていた。相手が床に着地した一瞬、アスターはトリガーを引いた。極細のレーザーが相手の向けて発射された。相手が跳び上がると、当然足が一番遅れて上昇するだろう。彼女の放ったレーザーは相手のふくらはぎを貫いた。貫通せずとも、ふくらはぎに穴をあけていた。細くともレーザーの衝撃で相手は跳び上がって着地しようとした先とは別の場所に向かっていた。天井にぶつかりそうになりながら、相手は天井に手をついたまではよかったが、そこから落下するしかなかった。天井は建物の二階であり、何もせず落下するならかなりの距離を落ちることになる。もちろん、ただの人であっても討伐隊であってもその距離を何もせずに落下して無事ということはないだろう。死なずとも骨くらいは折れるだろう。その距離を相手も何もできずに落ちるしかない。アスターは相手の銃口を向けながら、空中で何かしないかを監視していた。だが、相手は空中でできることもなく、姿勢を制御しようとするも、落下の距離が短いため、体の方向を変える程度しかできない。そして、相手は地面に叩きつけられていた。




