行方不明の先 2
筋肉質な男の死を伝えると、激高した男を前にアスターは戦闘を覚悟していた。彼女のいる場所が魔獣討伐たちの拠点であるため、アスターの近くにはリーダー、アカリ、ペースが近くにいた。リーダーはすぐにでも動けるが、アカリはペースの治療中であり、その二人はすぐには動けない。
「おい、お前が殺したんだろ?」
怒気を放ち、拠点の中に入ってくるやせ型の男。手には短剣を左右にそれぞれ短剣を二本ずつ持っていた。そして、拠点に入ると同時に、一歩踏み込んでアスターに一瞬で近づいてくる。その勢いのまま、彼女に短剣を振るう。彼女は何とかそれを避けたが、今その攻撃を回避できたのは、相手が単調に真っすぐ進んでくるだけの攻撃だったからだ。そのタイミングもわかりやすかっただけだ。
相手は激高したまま、彼女の攻撃を続ける。その攻撃は何度も何度も繰り返されて、回避しづけられているのが奇跡だと思えるほどの攻撃だった。彼女は数度の回避してから、大きく真横に飛びのいた。背後に壁が迫っている気配があったため、そうするしかなかったのだ。それ以上下がれないという状況になっては相手の攻撃を回避できないと思ったのだ。彼女は横に回避すると相手は壁に短剣をぶつけていた。短剣の刃が当たった場所に斜めに傷跡が付いていた。そこでようやくリーダーが相手の動きを理解したのか、彼女に加勢しようとしていた。
建物内で大きな武器は震えないため、リーダーは武器を持たずに戦おうとしていた。相手は真横に避けたアスターのように近づいていく。アスターは既に相手の銃口を向けていた。引き金を引いて真帆の弾丸を発射する。だが、相手は素早い動きで銃弾を簡単に回避していた。銃弾をすれ違うように回避して、アスターに近づいていく。その速度で彼女の肩の辺りに順手で持った短剣を突き刺そうとしていた。アスターの前にリーダーが立ちはだかり、相手の手首の辺りを横から握り、思い切り引っ張った。そして、上に持ち上げて下に思い切り叩きつけた。予想外の攻撃だったようで、相手は全身を床に叩きつけられていた。
「うはっ!」
体を叩きつけられた相手は口からそんな音を漏らしていた。リーダーはまだ腕を握ったままで、再び持ち上げようとしたところで、相手の腕がその拘束から抜けていた。今度はリーダーの方へと狙いを変えて、短剣を振るう。しかし、手を前に出せば、それだけ腕を掴まれる可能性があるため、相手は攻めあぐねているのも事実だった。相手がリーダーに集中している間に、アスターは射撃しやすい位置に移動して、相手を狙うことにした。リーダーに当たる可能性もあるが、彼女は自身の射撃には自身があった。それにそもそもリーダーと反対側に立つようなことをしなければ、リーダーに誤射する可能性はかなり低いだろう。
相手が動いている中、彼女は射撃を開始しようとした。だが、相手は彼女が何をしようとしているのかしっているのか、リーダーを壁にするように移動して、射撃させないようにしていた。彼女は舌打ちをしたものの、リーダーに明らかに当たるような射線で撃つことはできなかった。リーダーも相手の素早さに苦戦しているようで、全く決着がつく気配がなかった。相手は激高しているように見えて、思考は冷静なようであった。アスターもリーダーも気が付かなかったが、相手は近くにいたアカリとペースのことを視界に入れていた。相手は自身の相方を殺されたため、その復讐の機械を狙っていた。そして、相手は眠っている女が自分たちを狙っていた女であることには気が付いていた。その女が相方の腹を刺したことも知っていた。こんな奴らに会い方が負けるはずがないと任せたのが悪かったのだ。だから、少なくとも今相手をしている女か、眠っている女は殺してやろうと考えていた。それもどちらか片方だけだ。目の前で殺されれば、少しは自分の復讐心も満たされると強く考えていた。だが、相手の計画はそう簡単にはいかなかった。
素早く逃げ続ける相手の前にリーダーが常に引っ付いていて、逃げることも攻めることもそう簡単にはさせないようにしていた。アスターは何度か射撃をしていたが、相手のそれが当たることはなく、拠点の壁にぶつかっていた。魔法の弾丸は衝撃や込められた魔気の影響が出る。そのため、壁には火の魔気の焦げ跡がついていた。しかし、その焦げ跡もずっと残るというわけではなく、そこに込めら得た魔気がなくなれば焦げ跡もなくなる。その焦げ跡が、拠点にいくつもついていた。それだけの攻撃を当てようとしても相手には全く当たらない。一度目に外で戦っていた時は明らかに本気で戦っていなかったのがよくわかる。しかし、二対一であるため、いずれは相手の体力が先に切れるだろうと考えていた。




