悪を許さず 4
ベッドの陰から出てきた相手が振るうナイフを、彼女はマジックガンで受け止めて、振り払う。相手が後ろに飛びのいたところで、相手の銃弾を撃ち込もうと銃口を向けるも、既にそこにはいない。かなり素早い相手であることだけは確かだが、力自体はそこまでつよくないのか、力を抑えているのか。
今、ベッドの下から出てきたことで、あいての背丈がある程度見えた。体を曲げて素早く近づいてきてはいたが、アスターと同じか小さいくらいの背丈だった。相手はすぐには攻撃してこない。またベッドの陰に隠れて、隙を伺っているのかもしれない。彼女は銃口を相手のいるであろう場所に向けたまま、彼女は発砲を躊躇っていた。相手が先に動けば、それに合わせて発砲して攻撃できるが、自分から先に発砲した場合、必ず自身に隙ができてしまう。暗殺者がその隙を逃すとは思えない。彼女だってその隙を逃すようなことはしないだろう。マジックガンをもう一丁、取り出せばその隙もある程度は消すことはできるだろうが、左の銃に手を伸ばすことも隙になるだろう。つまり、相手が動かなければ彼女は次の行動に移ることが出来ないのだ。
彼女はじっと待っていると、相手の方が痺れを切らして動き出す。地面を這うようにしてベッドから出てきて、低い体勢のまま、彼女に近づく。ナイフを逆手に持ち、彼女の体を真っ二つにするかのように、下から真上に切り上げる。彼女はそれをぎりぎりで回避して、狙いを定めることもなく、正面に向かって銃弾を放つ。銃弾は相手の胴体に当たり、相手は壁の方へと吹っ飛んだ。しかし、壁に足と手をついてそのハンドを殺して、再び彼女に切りかかる。その間に、彼女は左手にマジックガンを装備する。銃口を相手に向ける前に、相手のナイフが彼女の目を狙っていた。彼女は軽く屈んでナイフを回避して、上を通り過ぎる相手の腹にさらに銃弾を撃ち込んだ。その銃弾も確実に相手の腹に衝撃を与えているのは間違いない。
相手は寝室の床を転がって、リビングの方へと抜けていく。寝室のドアは閉めていないため、すぐにリビングの方へと出ていく。彼女はそれを追って、寝室から出ていった。マジックガンを構えたまま、相手の背後から射撃する。それはただの牽制であり、その攻撃が当たるとは思っていなかった。しかし、その銃弾は確実に相手の背中を捕らえていて、相手は前のめりになって転んだ。魔法の銃弾の衝撃も流せないような者が暗殺者として雇われているということになるが、どう考えても未熟な暗殺者である。しかし、彼女はそれも何かの作戦だと考えて、ゆっくりと近づく。いきなり起き上がって反撃をしてくるかもしれない。彼女は倒れた相手に近づくと、相手は半譚して跳び上がって彼女に向かってナイフを横に振るう。短い動きで、そのまま反対にナイフを動かして、もう一度反対へ。今度は突きも交えて、連撃をかけてくる。だが、彼女にとってはその全てが見えていて、動きが素早いというだけで、動きが読みやすく回避もしやすい。たとえ、動作の予測ができなくとも、どこに攻撃しようという意思が見えていて、攻撃を回避することは難しくない。そして、その相手の動きがなぜわかるかといえば、彼女も同じことをしていた記憶があるからだ。あのやせ型と筋肉質な男の二人組がこの世界で育てた暗殺者かもしれない。動きを見ればその可能性が高いだろう。
彼女は相手の突きをマジックガンで受け止めて弾き、相手の手が上に上がったところで、弾いたマジックガンとは反対のマジックガンの銃口を相手の胴体に向けて発砲。相手はそれを回避することもできずに、もろに直撃する。火の銃弾であり、熱と衝撃を腹部に受けて、相手はそれをかばおうとしていた。その隙も与えず、続けて発砲する。相手は銃弾の衝撃で後ろに下がるが、アスターは容赦なく相手の銃弾を撃ち込んでいく。そのまま、リビングの壁まで追い込んで、それからも続けて発砲する。銃弾を撃ち込むたびに相手の体が痙攣して、ついには相手の体が動かなくなった。そのまま、壁に背を預けたまま力なく地面に座り込んだ。銃口を相手に向けたまま、彼女は相手をじっと見ている。
彼女は銃口を相手に向けたまま、乱暴に足で相手を床に倒れさせる。相手は声も出さず、そのまま倒れている。どうやら、本当に気絶か脂肪化しているらしい。それでも相手から銃口を逸らさずに、相手の顔を覆っているものを取った。その下にある顔は全く知らない顔だった。少なくともこの町の住人ではなさそうだ。そして、どうやら気絶しているだけで死んでいるわけではないようだ。彼女は気絶したそれを抱えながら、また拠点に戻ることにした。




