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行方知れず 1

 アスターは見て回っていない村の路地裏や家の裏、人目に付きにくい場所を見て回ることにした。そのどこかにいればいいが、おそらくはそういう場所にはいないだろうと思っていた。路地を通る人の中には、もちろん怪しいものだけではない。区画も整理されていない状態で、家を増やしているのだから細い路地の通りに入口がある家もある。そういう家に住んでいる者たちは必ず、路地を通らなければ家にはたどり着かないだろう。大人だけではなく、子供たちもその道を通っているようで、彼女の横を通り過ぎていく。拠点で聞いた行方不明の子供はこういう場所も通っていたのだろうか。そうなれば、大人が探し回っても見つけられない場所で過ごしている可能性もある。路地を通るならばと、多少行方不明の子供がいることも頭に入れておきながら、二人の男性を探す。あの二人を目にすれば一発でわかるだろう。あの二人は見かければどう見ても目立つ二人組だった。武装しているのにも関わらず、真珠討伐ではないとすれば、この黄砂の砂漠に落ちてきたものである可能性が高いだろう。彼女がこの町で見たことのない二人である以上は、そう考えるのが妥当だと思ってしまう。人数もそこまで多くはない村なのだから、毎日村を見て回っている魔獣討伐隊が顔も知らない村人というのがいるとは思えないのだ。どう考えても怪しい二人組である。


 アスターがあの二人を気にしているの理由は単純なもので、この世界に落ちてくる前にあの二人のような人物を見たことがあるからだった。知り合いというわけではないが、彼女が一方的にあの二人の顔を知っているというものだろうか。あの二人は、彼女のいた世界では、町に入り人をさらって奴隷として売りとばす悪党だったからだ。その人物と同一という可能性がある限りは、放っておくわけにはいかない。黄砂の砂漠には奴隷を売買している場所はないはずだ。そもそも、奴隷という発想自体生まれていないだろう。黄砂の村が発展せず、人数も少ないせいで、奴隷を使うという発想自体が生まれていない。だが、あの悪党どもが奴隷の商売を始めれば、この村にその悪い文化が生まれてしまうかもしれないだろう。おそらく、あの二人は言葉巧みに、この村に人を売りつけるはずだろう。金だけあればいいという悪党だ。売った後のことなどはどうでもいいはずだ。



(つまり、行方不明の子供は、あいつらに攫われていたのか? あの小さなわら袋の中に子供がいたのか?)


 彼女の頭の中で情報が繋がっていくが、それは彼女の中にある情報だけを組み合わせたときにそう考えられるというだけものだ。実際にそうというわけではない。彼女もそれくらいは理解しているのだが、どうしても今回ばかりは、悪い予感が膨れ上がっていた。この推理が合っているような気がしてならないのだ。


 その後、村の中を探索して、あの二人組を探していたのだが、日が傾き始めても、二人を見つけることはできなかった。村の中はほとんど探したはずだが、探している者たちは見つからない。夜になれば、探すのも困難になるだろう。一度、帰るしかないと判断して、彼女は家に帰ろうとしていた。


「あれ、姐さん? こんな時間までどうしたんですか? 仕事はしないって……」


 ペースが多少駆け足で、路地を移動していた。


「もしかして、姐さんも子供探してくれてたんですかっ?」


 ペースは期待に満ちた顔でアスターに詰め寄るが、アスターは面倒くさそうな表情で一歩後ろに引いた。


「いや、たまたまだ。家への近道だっただけだな」


「そうですかぁ。じゃあ、うちは子供探してますので、また明日!」


 ペースはそういうと、また駆け足で路地を去っていった。体力が有り余っているのか、昨日の戦闘を経て、一晩寝れば、全回復というわけなのか、彼女は今日も元気だった。しかし、まだ子供が見つかっていないというのが、どうしてもあの男二人が誘拐したという可能性が大きくなってきている気がしてならない。


 彼女は家に帰るのをやめて、夜もあの二人組を探すことにした。元から夜の方が悪事を働きやすいと考えていたため、夜に探した方が見つかるだろうと考えていたのは事実だった。ただ、視界は悪く、路地に入れば、たいまつもないし、月光もたいして役に立たないほど、薄暗い場所になるだろう。もし、彼女の知る誘拐をしている二人組であれば、夜の視界の利かない状態での活動にも慣れているはずだ。彼女だって夜の戦闘をしたことがないわけではないが、相手の方が経験が上であることは明白だ。相手に見つからないように、相手を尾行して、相手の潜伏場所を探すことができれば、誘拐している者たちかどうかはわかるのだ。やるしかない、と彼女は決意していた。

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