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緊急討伐 4

 銃口を巨大なサンドワームに向けながら、彼女のために倒れた皆の魔気をもらい、アスターはそこに立っていた。マジックガンの白いゲージは自然の魔気を取り込んで、少しずつ赤いゲージを増やしている。それと同時に、サンドワームも近づいてきている。動き自体は遅くとも、その巨大な体では進む速度も普通のサンドワームよりも速い。相手が自分たちを認識しているのかはわからないが、相手は止まる気配はない。既に村を補足していて、それを狙って進んでいるのかもしれない。異常な大きさの魔獣だ。基本的には魔獣は生物が群れを成している場所に攻撃を仕掛けることはないが、全てが異常である魔獣にはそういう異常な行動を起こしている可能性の方が高いだろう。


 徐々に近づいてきている魔獣を彼女は銃口を向けながら、じっと見ていた。マジックガンのゲージが赤に染まるのもあと少しだ。だが、それがたまる前にサンドワームが彼女のいる場所に到達するだろう。だから、最大出力ではないとしても、マジックガンを撃たなければいけない。できる限り魔気をためて放ちたいとは思うが、待ち続けて手遅れになってはいけない。


 彼女はついにマジックガンの引き金を引いた。銃口の正面にマジックガンよりも大きな火の玉が銃口の正面に作り出されていた。地面につきそうなほど大きな火の玉は銃口の前でどんどん縮んでいく。そして、小さくなると同時に火の玉の色を白へと変えていく。玉が放つ光も強くなっていく。そして、圧縮された火の魔気の塊から、勢いよくレーザーが発射された。既に日の落ちた砂漠の中に、白い道がつくりだされた。レーザーが相手に到達したのは一瞬で、レーザーが伸びていく過程は誰に一人として認識できていない。ただ、まばゆい光は、アスターに魔気を託した者たちの希望だ。


 レーザーは巨体に直撃する。縦長の体にレーザーがぶつかり、一転に熱を与えて、溶かし進む。太いレーザーは相手の体の幅の半分くらいの直径を持っていて、それが当たってサンドワームも歩みを止めるしかなかった。レーザーの進む衝撃を受けて、進むことが出来なくなったのだ。そして、あまりのダメージに巨大なサンドワームは横に倒れて、砂の上に体を横たえる。それだけのダメージであることは間違いない。討伐隊の、意識のある者たちはそのレーザーでサンドワームを倒したと思ったことだろう。その者たちの心には歓喜が呼び起されていたはずだ。それだけの威力の攻撃を叩き込んだ。それだけは間違いない。だが、アスターはその程度で倒せたとは思っていなかった。次にできることなどもうない。魔気はなくなり、最大出力に近い威力で撃ったマジックガンは数分間、レーザーモードは使えない。魔法の弾丸ではあの巨体を止めることはできないだろう。彼女はレーザーの出力が終わったマジックガンを持っていた手を下した。ペースはそれをそれ以上何もする必要がないからだと思っていたが、アスターの表情はすぐれない。彼女だけは、アスターの微妙な表情の変化を読めるようになっていた。


「姐さん……」


 彼女の表情を見れば、ペースもどういう状況なのかを察してしまった。それが今の自分たちの最後の抵抗だということだ。それ以上は何もできない。これで、相手がまだ動くなら、諦めるしかない。


 そして、アスターが予想していた通り、巨大なサンドワームは体をレーザーで焼かれて、体の一部がなくなっても、体を起こしていた。討伐隊の者たちも、再び絶望の中に落ちる。いや、絶望ですらないだろう。ここまでやったのだから、悪い最期じゃないだろう。と、そう考えていた。むしろ、自分たちが勇敢で、最後まで戦えたことが誇らしいと、すがすがしさすら感じていた。アスターはその場に立ったまま、マジックガンの銃口を相手の方に向けた。カバーを後ろにスライドしても、レーザーモードにならないことを確認してから、再び銃口を相手に向けた。何もしないよりはましかもしれない。絶望する前に、最後まで何かできるかもしれない。彼女だけは、ひざを折ることはなく、その場に立っていた。


 そんな彼女たちに近づいてくる足音が聞こえてきていた。何かが走ってくる音。人が近づいて切るのか、他の魔獣が出てきているのか。人なら逃がさなければいけないし、魔獣ならここで終わる未来が少し早くなるかもしれない。だが、抵抗せずに死んではやらないと覚悟を決める。


「よくやったな。遅れてわるかった。もう、休んでていいぞ。いいところは、俺がもらっていく」


「お疲れ様でした。ここまで参戦できず、申し訳ありません。すぐに治療しますから、少しだけ待っていてください」


 アスターの横から二人の人が走り抜けていた。すれ違いざまに、少し振り返り、二人とそれぞれ自分勝手に話しながら、前に出る。巨大なサンドワームに討伐隊のリーダーとアカリが向かっていく姿を彼女は見送るしかなかった。

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