黄砂の村 4
アスターはマジックガン二丁を正面に構えながら、銃口を魔獣の方へと向けて、引き金を引く。火の弾丸は確実に相手の胴体に当たっていた。ペースが三匹をまとめているところに、銃口だけを向けて、狙いも定めず、火の弾丸を発射した。ペースはアスターの斜線からすでにどけていて、弾丸は三匹にそれぞれ一発ずつぶつかった。三匹とも、銃弾の衝撃でバランスを崩して、そのまま砂の上を滑る。ペースは立ち上がろうとする一匹に短剣を振るう。彼女の刃は相手の首に深い傷をつけ、そこから血が噴き出した。彼女は相手の血液で体が汚れるのを嫌がって、相手から切りつけた傍からすぐに離れていた。残りの二匹が、首を切られた魔獣と同時に立ち上がろうとしていたため、残りの二匹は胴体に銃弾の後をつけながら、立ち上がる。立ち上がったところでは足元がふらふらとしていたが、すぐにペースに向かって二匹の魔獣が走りだす。
アスターが最初に撃った魔獣もたちがっていて、アスターに向かって走ってきていた。魔獣は彼女の手前でジャンプして彼女に飛び掛かる。その姿を冷静に見ながら、片方の拳銃上部を後ろにスライドさせた。すると、グリップ部分の後ろ側、彼女の視界にあるその部分に白いゲージが出現した。ゲージの下部の辺りから、ゲージが赤くなっていく。そのゲージが赤に染まっていくのを見ながら、相手が近づいてくるのも同時に視界に入れていた。彼女は静かに、焦ることもなく、銃口を相手に向けていた。ペースの視界にはアスターがもう少しで攻撃を受けるところに見えた。
「しかたない」
アスターがそんな呟きを漏らすと同時に、マジックガンの引き金を引いた。ゲージはまだ半分もたまっていないくらいだ。だが、彼女が引き金を引くと同時に、銃口には火の玉が出現して、そこから指先ほどもないほど、細いレーザーが射出された。かなり細いが、それはレーザーである。飛び掛かってくる相手の顔面を貫いて、そのまま体に真っすぐ一本のオレンジ色の線が入る。相手の体を抜けると消滅していたが、それでも目の前の魔獣を倒すには十分な威力だった。肉の焦げたような匂いがして彼女は顔をしかめていた。魔獣は彼女の目の前に落ちて、それきり動かなくなった。アスターはすでに倒した魔獣のことなんかすでに気にも留めておらず、再び上部をスライドさせた。すると、グリップの後ろにある白いゲージは消えていた。彼女は再び引き金を引くと、火の弾丸がペースの戦っている魔獣に向かって射出された。弾丸は外れることなく、魔獣の一匹の頭にヒットした。頭を撃たれた魔獣はその衝撃で頭が吹っ飛ばされて、その頭に胴体が付いていき、再び相手は砂の上を滑っていく。ペースがそれについていき、確実に魔獣を殺すためにまた首に短剣を突き立てて切り裂いた。最後に残った魔獣は飛ばされた魔獣に止めを指すために移動したペースに飛び掛かろうとした。獣と同じ爪で彼女を切り裂こうとしているのか、前足を彼女に向けて振るおうとしていた。しかし、魔獣がペースがいるはずの場所に爪を振るっても、既にそこに彼女はいない。魔獣の腹部には深い切り傷が付いていた。魔獣が鳴き声を上げたのは、その傷が体に三つついてからだった。何度も同じ場所を切り裂いていれば、いずれそれが深い傷となるのは当たり前のことだが、同じ場所に攻撃し続けるというのは難易度の高い技術だろう。彼女はそれを三匹を相手にしながら、そのうちに一匹にその技術で攻撃していたのだ。そして、それを理解しているかのように、アスターは深手を負っていない魔獣を殺したことになるだろう。
「ふー、いいコンビネーションでしたね、姐さん!」
ペースは二やかにそう言いながら、短剣から血が滴っていた。血で汚れていたのは短剣だけで、彼女の服も肌も髪にも血は一滴もついていない。アスターは彼女の言葉に何も返さずに、手だけを出した。ハイタッチというような手の角度ではなく、手のひらを上にして何かを要求するかのような手の出し方。
「姐さんはいっつも冷たいなぁ。……はい」
そういって、アスターに手渡したのは、ナイフだった。彼女はそれを受け取って、魔獣に近づいた。そして、首のあたりに刃を当てて、何度も前後に動かして、首を切り落とした。彼女がそうしている間に、ペースも他の魔獣に近づいて、アスターよりも手早く、魔獣を解体し始めた。魔獣とはいえ、この過酷な環境ではそれさえも資源に回される。毛皮、肉、骨等ほとんどの部位が加工すれば何かに使えるのだ。アスターはやる気がなさそうに解体をして、ペースは手早く進める。その結果、アスターが一匹にかまっている間に、他の三匹をペースが解体してし待っていた。




