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黄砂の村 1

 強い日差しが地面に敷かれた砂を焼く。熱された砂のせいで、気温自体も高くなっていた。常に汗をかくような気温だが、湿度は低い。その中で生活する者たちには、既に慣れた気候であり、その環境でも村を作り、そこでそれぞれが生活をしていた。その村はオアシスを取り囲むようにして作られている。村の中の家は石造りで、風通しがいい。その家が何件がまとまっていて、それ以外には、木の枠組みを作り、天井を厚い布で天井を作った露店があった。商人たちはこの炎天下でも活気のある声で、呼び込みやら商品の説明やらをしていた。


「今日も暑いな、アスター!」


「そうだな。だから、なんだって話だが。毎日、飽きもせずによく言えるな」


「はっはっは! こいつは会話の《《はいり》》だ。だから、俺は何度でも同じ話をしてんだ。まぁ、そういう話はどうでもいいか! はっはっ!」


「はぁ、暑苦しい。今日はこれをもらうよ」


 木で組まれた露店には食料が並んでいて、そこで暑苦しいテンションの店主と、全くそれとは正反対の客が話していた。特に雑談ができないほど、忙しいというわけではない店だが、つぶれない程度には売り上げを出している店だった。


 店主は働き盛りの男性で、短い茶色の髪に、細い目。見た目にはこわもてと言えるだろうが、彼は常に豪快に笑っているため、こわもても台無しだった。しかし、その笑顔が気安さになり、彼は商人として成功している言えるだろう。


 その反対に、店の前にいる客は女性だった。赤い髪をポニーテールにしている。瞳は赤く攻撃的な色をしている。背が高く、スタイルが良い。この暑さの中でも太ももを隠すほどの長さの赤いコートを前を開けた状態で着用している。縦じまのワイシャツがスタイルの良い体のラインに沿っていた。ワイシャツの上から三つ分のボタンが胸の豊かさゆえに止めることが出来ていない。太ももの上までしかないジーンズのような素材の短いパンツをはいており、健康的な色の素足が露出している。その左右の太ももにはそれぞれ、一つずつホルスターが括り付けられていて、そこには銃が一丁ずつ入っていた。


 彼女は店主の気安い言葉にも笑いもせずに、必要なものだけを買って露店から離れようとしていた。しかし、それを転出がちょっと待て、と止めた。女性はそれを無視することはなく、彼の方を振り返る。


「ほら、これももってけ! な、いつも買ってくれてるからサービスってやつだ。遠慮すんなよ?」


 店主は先ほどよりもいい笑顔で、彼女に果物を渡そうとしていた。彼女はため息をつきながら、彼からその果物を受け取る。


「お礼は言っておくよ。ありがと。だが、こんなことばっかりしてたら、商売にならないだろ」


「いいんだよ。お得意様にしか渡しちゃいない! まぁ、感謝してくれるなら明日も買いに来てくれよ、な?」


「わかったよ。そうやって人を餌食にしてるわけだ。……じゃあな」


 女性は店主から受け取った果物を持った方の手で、そのまま店主に向けて手を挙げて、別れの挨拶とした。サバサバしたような人だが、店主は彼女のことをいい人だと感じていた。彼女はくれば多少はサービスしたくなるくらいには彼女の人柄を気に入っているのだ。


「ゴグルさん。ほら、これをもらうよ」


「はいはい!」


 店主はまた他の人とも雑談を交えながら商売をしているのだった。




 ゴグルの店から離れたところで、女性はもらった果物にかじりついた。みずみずしい果汁が噴き出て、口の中を潤すとともに、彼女の口の周りも汚す。さらに、砂漠で売っているものであるため、ここらでは買ったものはいくら綺麗に見えても、一度水で流すというのが習慣になっているのだが、彼女は水の魔法も使わずに、その果物にかじりついていた。案の定、砂が多少ついていて、じゃり、と口の中に砂の感触がしたが、彼女はそんなことも気にせずに、果物にかじりついて、咀嚼している。ここらでしか取れない果物で、砂漠の外ではあるが、一番近い村とはその果物で交易もしているのだ。彼女はそれを知っているが、交易自体は彼女にはあまり関係がない。彼女のこの村での仕事は、魔獣からこの村を守ったり、村の食料のために周囲の魔獣を狩りに行ったりするものだ。今日の彼女の仕事は魔獣狩りである。食料を持ったまま、仕事に出るわけではないので、彼女は一旦、荷物を一旦家に置いて、再び外に出る。家に入るだけで日差しが当たらなくなるため、少し涼しいと感じるため、家の中にずっといたいと思ったのだが、そういうわけにもいかないのは彼女だってわかっている。だから、彼女はすぐに外に出て、家にいたいという未練を断ち切っていた。

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