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狭間の旅の始まり 3

 両側から迫る石の壁は一瞬止まる。彼はその時になってようやく、自分が壁の間に入っていて、潰されるかもしれないという危機意識を持ち始めた。彼がそのことを認識している間に、石の壁が再び動き始める。先ほどはなぜ止まったのかわからないが、停止してくれたおかげで、彼は逃げるための道を選ぶことができた。彼の思考は一瞬で、もはや、彼自身が何を思考しているのかは自覚できない。彼は後ろの通路ではなく、正面の扉を選択する。石の壁によって、片方のドアは開けない。まだ開けそうなドアを押して、同時に体をその中に滑り込ませる。何か罠があるかもしれないと頭によぎったのは、そのドアをくぐっている最中で、その思考を自覚するときには既に体はドアの向こう側にあった。


 体が床にぶつかり、口からう、という音が漏れる。両目をつぶり、両手を地面についた。体を持ち上げて、立ち上がる。目を開けて、周囲を見渡した。ドアの先に貼ったのは石でできた部屋だ。壁には等間隔で松明がかけられている。その火は揺れることもなく、消えそうもない。その部屋の中心には水色に発行する煙のようなものが入った水晶のおかれていた。それが何なのかなんて見当もつかない。その部屋には、まるでこの部屋で誰かが研究していたかのような雰囲気を感じ取れた。既に老朽化してい机や椅子。薄汚れてボロボロになった紙。拾上げれば、すぐに崩れ去るだろう。中にはガラスがはめられたままの棚もあるが、ほとんどのガラスが割れて地面に落ちている。


 彼は周囲を確認していると、彼も意識しないうちに水色の煙が入った水晶に近づいていた。なぜ、それがこんなに自分の近くにあるのかと疑問をいただいたが、それを考えている間に、彼はその水晶に触れていた。そして、触れていることに気が付いたときに、その水晶から手を離したのだが、既に水晶にひびが入っていた。その隙間から煙が外に漏れ出てくる。彼の体は思考を挟まずに、その煙を吸い込んでしまった。吐き出そうとしても既に体の中に取り込まれたそれを吐き出すことはできない。全身に力が入らなくないって行くような気がするが、膝から崩れ落ちるということもなく、彼はその場に立ったままだった。驚きと不安のせいで、多少気分が悪いのをその煙のせいだと思い込む。なぜ煙を吸ったのか、その疑問が頭に残ったまま、彼はその場に立ち尽くす。何が起きたのかを分析することもできないまま、無意味な時間が過ぎていく。多少、気分がよくなったのは、驚きがなくなったからだろうか。彼が改めて部屋を探索することにした。


 壊れていない椅子を探して、そこに座れれば多少は気分が悪いのも治せるかと思い、椅子を探すもどれも、足が壊れていて、地面に立たせることはできないようだった。かろうじて、太い脚をもっているテーブルのみがバランスを取って、そこに立ったまま残っているが、それが崩れるのももうすぐだろう。彼は多少吐き気を感じながら、周りに落ちている紙を拾おうとした。しかし、やはり、長い時間が経過して老朽化しているため、紙は少し持ち上げただけで、持ち上げたところから崩れていく。崩れてしまえば、そこに何が書いてあるかなんて読めるはずもない。彼は散乱している汚れた紙は無視して、他の場所を探索する。棚の方へと行くと、そこには数枚の紙が束になっているものを発見した。間の紙なら多少は見れるかと思い、その紙束に触れる。触れただけで、一番上の髪は破れた。そのまま、紙を崩して下の紙に触れるも全ての紙がボロボロで読める状態ではない。たった今自分が吸った煙が何なのかもわからないまま、彼は部屋の中をさらに探索する。すると、また部屋の壁の一部に小さな段差を見つけることができた。先ほどとは違い、この部屋の扉は入ってきた場所にある二つのドアだけだ。その段差がスイッチであれば、そこからどこかに移動できるようになっているはずだ。そう考えて、彼はその隠してあるスイッチを押した。カチリと音がして、石がこすれるような音と共に、そのスイッチの隣の壁が上に持ち上がっていく。彼は石の壁が持ち上がり、自身がくぐることができるくらいに持ち上がると、その下をくぐり、先に進む。その先にも石でできた通路が続いていた。松明も等間隔で並べられていて、彼の行く先を照らしている。


 その石の通路を進んでいると、その通路が上に向かっているような角度が付いていることに気が付いた。地上に続いているのかと思ったが、先ほどの石の壁のトラップを考える限り、そう単純な造りではないような気もする。どちらにしても、彼は進むという選択肢しかないのだ。

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