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狭間に落ちる 7

 彼は先ほどと同じように、森の木々の下に隠れながら巨体に向かって、爆発弾をスリングショットにセットして放つ。相手の巨体に対しては外すはずもなく、何発も連続で放ったとしても、巨躯を相手に外すことはない。


 体表面とはいえ、連続で爆発を起こせば、体毛に火が付いた。その火は徐々に爆発弾が当たる度に大きくなっていく。そして、爆発弾が別の場所に当たり、相手の体の他の場所にも火がついていく。相手は火が付く度に、その火を払っていたが、彼が放つ爆発弾は相手が火を消すよりも、速く連続で放たれる。そのため、相手の体には火が広がり、さらに消さずに残っている火が体毛を伝ってさらに広がっていく。


 相手は真上を向きながら、重低音の鳴き声を森の中に広げる。それは痛みからなのか、ただのいら立ちからなのか。相手は体の火を消すのをやめて、自身に火をつける敵を探し始めた。だが、木の下に隠れている彼をそう簡単に見つけられるはずもなく、相手は二足歩行で少し移動しては、まだ木のある場所を踏みつけて、木をへし折り、その下に何かいないかと探し回っているようだった。彼は相手が移動すると同時に移動して、相手にみつからないように木の下に隠れていた。そして、その位置から爆発弾を相手の方へと飛ばしているのだ。だが、彼の使用しているスリングショットは拳銃などに比べて飛距離はない。そのため、彼は相手から遠くに逃げることはできなかった。


 相手の体に火が回り、最初に火のついたところは既に燃えるものもなくなって、火が消えていた。相手の姿は痛々しく、体毛と肌が焼け焦げて、やけどの跡も残っていた。それでも、彼は爆発弾を生成して、相手に向かって飛ばしていく。爆発弾をいくつ生成したかもわからないが、走って移動しながら爆発弾を超能力で生成する。超能力の連続使用にも体力を消費するため、彼は超能力の使用の限界が来ていた。爆発弾もあと十発ほど作れるかどうかというところであった。動いているせいで、彼の魔気も回復はしていない。つまりは、次にレーザーの魔法を使えば、それだけで瀕死状態になるだろう。この森の中で一人、気絶してしまえば、この戦闘の結果がどうであろうと、彼は死ぬだろう。こんな森の奥に誰かが来るとは思えない。つまりは、もうレーザーの魔法を使ってのとどめという選択肢は消えた。彼だって死にたいわけではない。その方法をとる必要がないかもしれない策を思いついた今、わざわざ瀕死になる選択肢は取らない。


 レーザーの魔法のように強い魔法を使えば、気絶するというだけで、弱い魔法はまだまだ使えるというわけである。気絶するギリギリまで魔法を使えば、おそらく目の前の巨大な鹿の魔獣をしとめることができるだろうと考えたのだ。残り十発程度の爆発弾も併せて使えば、相手を戦闘不能くらいにはできるはずだ.相手が動けなくなれば、魔獣を倒すのも難しくないだろう。巨大な魔獣であっても、急所というのは他の生物と変わらないことが多い。ましてや、動物をモデルにしている魔獣であれば、弱点は元になっている動物と同じである可能性がかなり高いのだ。


 彼は木々の下から、さらに爆発弾を十発全部、相手の方へと放った。全ての球が相手の体に当たり、相手が再び重低音の鳴き声をあたりに響かせていく。彼はその場で風の刃の魔法を発動する。弱い魔法ではあるが、その数を増やす。風の魔気が固まって、素早く刃を形成する。いくつかの刃が相手の方へと飛んでいく。相手はそれに反応も見せずに、未だに爆発弾を放った彼を探しているようだった。彼が発動した風の刃が相手の腕の周りに形成する。刃は相手の腕の付け根の辺りに回り込み、肩の辺りを一周するように刃が並ぶ。風の刃は同時に相手の腕を切断する。流石に相手も痛みが強いせいか、鳴き声を上げた。だが、いくら鳴こうとも、風の刃が止まることはなく、相手の腕に刃が食い込んで行く。魔気がなくなるまで前に進もうとする刃の端がやがて重なり、相手の腕を切断する。大きな腕が地面に落ちて、地を鳴らす。その間に、彼は今度は足を切断するために、風の刃の魔法を放つ。先ほどよりも刃の数を多くして、相手の足回りへと飛ばした。既に相手は腕を失ったことを気にしているようで、足回りに迫る風の刃に警戒もしていない。障害物もない風の刃は腕の時と同じように、簡単に足の付け根に到達する。そのまま、風の刃は相手の足を切断する。二足歩行をしていた相手はバランスを崩して、地面に転がる。体の衝撃を抑えるために手を地面につこうとしたが、その手は既に失っている。相手はその巨体を地面に叩きつけていた。

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