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狭間に落ちる 5

  メートの体に魔気がまた溜まるまでには一度、戦闘も行わずに休まなければいけない。魔気は生命活動にも少量ではあるが必須のものである。生命活動に使われなかった余剰分で魔法を扱うことができているのだ。当たり前だが、体内の魔気が増えなければ、余剰分の魔気も増えることはない。だからこそ、次に強力な魔法を使うとしても、それを外すことはできないのだ。


 彼は少し頭を回して、作戦を考えるも、できることは限られている。魔法か、超能力か。そのどちらかを使うことでしか、戦闘を行うことはできないのだ。そう考えれば、魔法を簡単に使えない以上は超能力を使うという選択肢をとるしかなかった。


 彼はスリングショットを創造する。剣や槍などでは、相手の攻撃は届かないだろうし、そういったものを投げたとしても、相手に届かないかもしれない。そして、彼の創造できるものの中で一番、遠距離の攻撃をできるものはスリングショットしかなかった。拳銃などは仕組みや構造を詳しく知らないため、創り出すことはできないのだ。


 彼はスリングショットを握りながら、もう片方の手に小さな鉄の球を出現させた。彼はそれをスリングショットに引っ掛けて、相手の方へと向けた。相手は彼が発見できないせいか、振り返って町の方へと向き直ろうとしていた。彼は反転しようとしていた体に向かって、鉄の球を弾く。鉄の球は真っすぐに相手の方へと飛んでいった。そのまま、相手の巨体に小さな鉄の球が当たる。相手はその球には反応して、振り返ったが、辺りを探すような様子を見せただけで、すぐに村の方へと無効としていた。彼は続けて、さらに球を相手に向かって飛ばしていた。球はそれることもなく、相手の方へと飛んでいく。また相手の胴体にそれが当たるが、相手にダメージがあるようには見えなかった。しかし、巨大な鹿にとっては多少気になる程度には攻撃が通っているようで、球を放ってくる相手を探しているようだった。


 相手が森の木々を倒しながら、彼を探している。だが、彼は鹿が村の方へと行かないように森の木々の下を移動して、相手を引き付けていた。木々の下にいる間、相手は彼を見つけることはできずに、延々と探し続けることになるだろう。しかし、森の奥とはいえ、森の木々も無限にあるというわけではない。狭間の壁だってそう遠くにはないため、彼が逃げ回ることができる範囲は限られていた。


 相手はついに、探すのを諦めて、自身の周囲にある木々を全てなぎ倒し始めた。地響きが常に起こり、バキバキと大量に木が折れる音が彼に耳にも連続して聞こえてきていた。相手の周りにあった森の木々は全てなぎ倒されて、森の中に大きな広場ができていた。しかし、平坦で綺麗なものではなく、大量の木々が地面に転がったり、突き刺さったりしている状態の悪い地面があるだけだ。その場所での戦闘は明らかに彼に振りだろう。相手は木々をへし折るほどの力があり、地面の足場の悪さなんてものは関係ないだろう。


 彼はそのまま森の中に隠れていたのだが、相手は突然、巨大な角を地面の方に向けて、頭を大きくふるい始めた。倒れて、地面に転がっている木々が角に弾かれて、木々が、まだ傷ついていない森の中に吹っ飛んでいく。森の中に木にそれらが当たり、大きな音を立てて、森を破壊していく。相手のすぐに攻撃できるように相手に一番近い木々の近くにいた彼のところにも木が吹っ飛んでくる。相手にとっては小枝のようなものかもしれないが、彼にとっては大木だ。そんなものが体に当たれば、死んでしまう可能性も高いだろう。彼は周りの木に守られて飛んできた大木に当たることはなかった。だが、彼を守った木は折れてしまって、彼を上から見つけようとする視線から守るものは一つもなくなっていた。


 相手が頭を振るうのをやめて、周囲を見渡すような様子を見せた。もちろん、彼を視界から守るものがなくなってしまったため、彼を視界の中に収めていた。だが、相手は目が悪いのか、気が付いていないのか。彼には攻撃せずに、彼のいる場所を凝視するだけで、動かなくなった。彼は相手がすぐに攻撃してくるだろうと思ったため、すぐには動けなかった。相手の行動を見てから、動こうとしていたためだ。相手が動かなければ、彼も次の行動をとることができない。思考を切り替えようにも、相手がいつ動くのかわからないため、迂闊に動くことができないのだ。彼も相手に視線を返すだけで、それ以上のことはできない。お互いに視線が交差しているはずなのに、彼は相手と目が合っているとは感じることができなかった。

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