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未知の魔獣 4

 彼は相手を中央にして、円を描くようにして移動し始めた。しかし、この森の中で綺麗な円を描くことができるはずもなく、相手に近づいたり、離れたりしながら移動していた。そして、相手の近くにある風の球から彼に向けて魔法が放たれているのか、彼の後ろや前の草木がいきなり、切れていた。木の幹には綺麗な切り傷を作っていて、葉や草花に関しては刃物で綺麗に切られたかのような切り口になっていた。それを細かく確認する時間もなく、ただただ、その様子を横目に走り続けていた。走っているおかげか、彼に相手の風の魔法は当たらない。掠って体の表面が軽く切れることはあるが、その程度の傷はダメージに入らない。出血量だって大したものではないのだ。


 彼は土の魔気を集めて、その魔気を壁に成形する。相手の攻撃が土の壁の魔法で防ぐことができるのかを調べようとしていた。万が一にも防げずに、自分に当たり大けがをするなんて馬鹿な結果を回収せずに済むように、自身の周りにいくつかの壁を宙に浮かせた状態で生成する。壁とはいえ、魔法である以上はずっと残せるわけではなく、多少時間が過ぎてしまえば、勝手に土の壁は崩れてしまう。その度に、彼は壁を作り直して、相手の見えない刃を壁で何度か受け止めた。その結果、すぐに使用できる程度の土の魔気を集めた程度の土の壁では防ぎきることはできなかったが、多少土の魔気の量を多くして、こげ茶色程度になるまで魔気を集めることで、相手の風の刃を防ぐことができることはわかった。それでも一度、相手の攻撃を防ぐと、こげ茶の土の壁は土の魔気に戻ってしまっていた。彼はそのまま、走り続けて、何とか相手の攻撃を回避し続けてた。


 土の壁で受け止めた結果を見れば、土の壁を黒に近くなるまで、灰色辺りまで土の魔気を圧縮できれば、相手の攻撃は完全に防げることはわかった。防ぐことができるというなら、逃げ続ける必要はないだろう。だが、灰色の土の壁を作るとしても、彼には一瞬でその壁を作り出せるほどの技術はない。魔気の圧縮と吸収を繰り返して使う以上は、少しだけでも時間がかかるのだ。走り続けることはどうあってもできないだろうから、相手の攻撃を防ぐ手段があると分かっただけでも儲けであると考えるしかないだろう。


 彼が逃げ続けていても、相手の攻撃は等間隔で彼の周りを傷つけていた。彼からは相手が移動していないように見えていたが、相手はゆったりと移動していた。歪な円を描きながら走っているせいで、彼はそれに気が付くことはできない。そして、彼が回避し続けている間に、相手の周りにあった風の球が消失した。集めていた全ての風の魔気を使い切ったのだろう。彼も目にもそれは映っていた。だが、そのタイミングですぐに近づくことはしなかった。相手が魔獣であるかもしれないが、未知である以上は、魔法を解除したと思わせて、何か他の方法での攻撃で致命傷を負う可能性があるからだ。彼は走ることもやめずに、相手との距離を少しずつ縮めていく。その際には、相手が見えない刃を使用しているときよりも警戒していた。どこから攻撃が来るかもわからない状況では、あらゆるところに注意を向けなくてはいけない。相手が攻撃しなくなったところは、彼にとって有利に見えるというだけで、相手の取っては油断した足元を掬うチャンスでもある。


 彼は短めの槍を創造する。その槍を逆手で握り、槍投げの選手のように、肩に担いでその先端を球体の方へと向ける。彼のいる場所から投げたところで、相手の大きさが小さいせいで当たるとは彼も思っていない。ただの威嚇というか挑発で、相手の方へと槍を投擲した。彼はその槍に続くように走り出した。相手の攻撃を警戒しないというわけではなく、一気に距離を縮めて何かしらの魔法でいい加減、止めを刺そうと考えたのだ。相手のバリアがいくら強固であっても、ぶち破れないことはないだろう。いくつもの魔法を連続で使用すれば、倒せるかもしれない。彼はその前に自身が持つ魔気が消える可能性もあった。体内の魔気がなくならなくても、負ければ死んでしまうだろう。それを考えれば、魔気の出し惜しみをして負ける方が格好悪い。


 彼は相手の近づきながら、今度は片手で投げられる手斧を創造した。手斧を持った手を後ろに引いて、思い切り手を前に出しながら斧から手を離した。斧は低い放物線を描いて、槍に続いて飛んでいく。槍よりも重いせいで、槍に追いつきそうな勢いで飛んでいく。


 そして、槍の先端が相手の本体に掠り、軌道を軽く変えるだけで、地面に突き刺さりもせずに転がる。槍の後には斧が飛んでいき、それは相手のバリアにぶつかるだけで、本体の真下に落ちていた。

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