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未知の魔獣 1

 彼が不穏な風を集める魔獣に近づきながら、手元に創造した槍を相手の方へと伸ばしていた。相手の不穏な風が強くなり、彼の体にも切り傷が付いていく。それでも、彼はその風に負けずに、魔獣に向けて槍をの伸ばしていた。


 だが、伸ばした槍の先端が相手の本体に当たる前に、何かに当たって止まる。それでも力を入れて、さらに前に伸ばそうとしても、それ以上は槍が伸びていかなかった。その間にも彼の体は風によって、傷つけられていく。その痛みには耐えられるが、それ以上そこでダメージを受けることは無意味だと感じて、槍を手放して、その場所から離れていく。


 彼が離れて、魔獣の周りの風が増えていく。もし、まだその場所にいたなら、体にはさらに傷が増えていただろう。もしかしたら、深い切り傷が付いた可能性もある。だが、相手の周りには再び不穏な色の風の層が作られていた。彼は舌打ちをしたくなるような状況だが、相手の風の層を壊せないわけではないという情報を得ることができただけでも良かったと考えるべきだろう。相手が未知の魔獣である以上は、情報を得ること自体がアドバンテージとなるのだ。


 彼は一度だけ深呼吸をして、相手の攻撃にムキになりそうな自分を制する。力任せに攻撃を続けていても勝てるわけではないのだ。情報を得ることで相手に効果のある攻撃を叩き込めると知り、彼はまずは未知である目の前の魔獣のことを知ることにした。とにかく、今わかっているのは、土の魔法を使えば、相手の風の層を破壊することができるということと、物理的な攻撃は本体には当たらずに手前で止まってしまうということだろう。ただ、物理攻撃も風の層を破壊したところで、すぐに攻撃すれば

効果が多少は出るのあかもしれない。魔法と組み合わせて物理攻撃を叩き込めば、効果があるかどうかはわかるだろう。


 彼は相手の攻撃から身を守るために盾を創造する。その盾は彼の腕の辺りまで守れるくらいの大きさの円形の盾だった。彼が盾を創造するのと同時に、相手の周りには不穏な色の風がさらに集まっていく。彼の肌をなでるようにして、相手を中心にして風が集まっていく。相手から多少距離を空けているせいか、彼の体に傷が増えることはなかった。不穏な風は相手の正面に集まり、一つの球を生成していた。その動作は彼も見覚えのあるものであり、それは魔法が発動する前の過程で作られるものである。彼は相手から魔法が来ることだけはわかったが、どんな魔法が飛んでくるのかはわからないのだ。彼は創造した盾を構えて相手の攻撃を待っていた。前に進んで、相手に近づいてもいいのかもしれないが、相手がどんな攻撃をしてくるかわからないのに近づくというのが、彼には悪手だと感じられたのだ。


 彼が盾を構えたまま相手を観察していると、相手の正面にある不穏な色の球は徐々に大きくなっていく。おそらく、風が集まっているところを見ると、風の魔法なのだろうが、風の魔法だって二、三種類というわけではない。どの魔法が来るかどうかを判断するのは彼ではできないのだ。風の魔法のスペシャリストにでもなれば、この段階でも次に使われる魔法を予想できるのかもしれないが、残念ながら彼は魔法のスペシャリストでもないのだ。


 そして、彼が盾を構えたままでいると、相手の正面にある風の球から、不穏な色の風が彼のいる方に扇状に風が吹いた。最初こそ、よそ風程度のものだったが、すぐに強風となる。彼の構えていた盾に風が当たり、体が後ろに押されそうになる。それでも何とか耐えていると、盾がぴしぴしと音を立てていた。彼からは盾の表面を見ることはできないが、盾の表面には何かに引っかかれたような傷がついていた。そして、風を受け続けていると、盾の表面にさらに傷が増えていく。そして、盾に隠れていない部位にもひっかき傷のようなものがついていく。出血量は少なくとも、ひりひりするような痛みが全身に起こり、今にも悶えたくなるような痛みがあるが、体を縮めて地面に転がるわけにはいかない。相手の風に耐え続けていても、相手の風がさらに強くなる。そして、ついに彼は痛みにもその風にも耐えられなくなって、体を少しだけ屈めたところで、盾の面がほんの少しだけ上に向いた。そのせいで、下の面に風が入り、盾に沿って彼の体に浮力がかかる。そして、彼の体に風が当たり、体が持ち上がってしまった。足が地面から離れてしまえば、踏ん張る場所もなくなり、強風に押されて、森の中を転がっていく。地面を転がりながらも、相手が出す強風をその身に受けて、切り傷も増えていってしまう。

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