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穏やかな森の奥の魔獣 5

 彼の放った火の弾丸の魔法は相手の纏う風に到達した。そして、風にぶつかった瞬間に、火の弾丸と相手の風が反応したのか、火の弾丸が爆発した。爆発とはいっても小規模なもので、爆発の衝撃が彼の方にまで及ぶことはなかった。だが、相手の方にはその爆発の衝撃が届いているだろうと、彼は考えていた。


 しかし、爆発したときの煙がその場所からなくなったとき、その先にあった景色は先ほどとあまり変わっていないように見えた。相手が纏う風の向きが違うような気がするが、それは風を纏っているのだから、その流れが変わること自体は、今の爆発のせいだとは思えなかった。そもそも、爆発する前から、風の流れなど何度も変わっているのだから、今の相手の姿を見れば、あの爆発の中でも無傷なのだ。


 そして、相手を観察している間に、彼は再び足に鋭い痛みを感じた。先ほどと同じ左の太ももの辺りが切れて、出血している。深い傷ではないため、出血量は少ないが、何度も何度も攻撃を受けて出血し続ければ、いずれは血が足りなくなるだろう。だが、相手の攻撃が見えない以上は回避も防御も難しい。そのため、彼は相手の攻撃から身を守る方法よりも相手にダメージを与えられる方法を探しているのだ。少なくとも、相手が纏っている風をどうにかできなければダメージの一つも与えられない。彼は火の弾丸に効果がないと知ると、次には水の魔気を集めて、弾丸を生成する。火の弾丸よりもその数は少ない。


 彼は生成した水の弾丸を相手の方へと飛ばす。着弾するまでは一瞬で、相手の風にぶつかった。その瞬間に風にあおられて、水の弾丸は水の魔気へと戻ってしまっていた。そもそも、水の弾丸の魔法には期待もかけていなかったため、落ち込むこともなく、次の魔法を生成する。次に作り出したのは、土の魔法の弾丸である。そして、土の魔法ではあるものの、生成したのは土というような弱そうな見た目のものではなく、つるつるの岩でできた弾丸であった。その弾丸を彼は火の弾丸よりも生成していた。そして、最初の土の弾丸が相手の方へと飛んでいくと、それに続いて次々と弾丸が彼の近くから相手の方へと飛んでいく。そして、相手の風に触れると同時に、最初に一つは簡単に土の魔気へと戻っていたが、弾丸が次々と風に着弾していくと、ついには、土の魔気へと戻らずに、相手の風を貫通したように見えた。そして、さらにその弾丸の援護をするように土の弾丸が相手の方へと飛んでいく。相手の風の層が小さくなっていき、全ての風が相手の周りから消えた。そして、風に守られていた中身はただの球体であった。その大きさは人の手くらいのもので、周りに風の層がなければ、警戒もされない敵だろう。見た目には魔獣という意識はなく、そういう球体のロボットにも見える。


 彼は風の層を削り切った先にいた球体に向かって、まだ生成していた土の弾丸を球体にぶつけ続けていた。その球体は土の弾丸がぶつかる度に、少しずつ後ろに下がっていたが、ダメージを受けている様子はな。それでも彼はそのまま土の弾丸を相手に当て続けていた。だが、その間に、相手は彼の土の弾丸を避けるように真横に移動していた。そして、彼の土の弾丸を回避したところで、彼の周りにあった不穏な色の風が相手の方へと集まっていく。今までの流れが反転して、森の中を吹いた不穏な風の流れは反転していた。全ての風が相手の方へと流れていく。その流れを阻止することはできるはずもない。全方位から来る風を完全に防ぐ方法などあるわけがないのだ。彼は風が戻っていく間に、魔法の弾丸を叩き込んでみたが、その全てが無意味に終わった。相手へと戻る風が魔法をかき消してしまっているのだ。


 彼は効果がないのは魔法だけかもしれないと思いながら、彼は手の中に片手で持てる剣を作り出した。それを相手の方へとぶん投げる。剣は縦にクルクルと回転しながら、相手の方へと流れる風と共に、球体へと近づいていく。回転する剣が相手の届くかと思ったその時には、球体の手前で透明な何かに阻まれて、剣は回転するのをやめて、地面に落ちた。


 そして、剣を投げるだけではなく、彼はその間に槍を創造して、剣と共に相手に近づいていく。剣が相手の手前で何かに阻まれて落ちるのが見えた。そして、剣が落ちると同時に、足を大きく伸ばして、一歩で相手の近くまで移動する。相手に近づけば、それだけ風は強く吹き荒れる。ただの風ではなく、肌の表面を切るような鋭さをもっていて、彼の体に切り傷が増えていく。それでも、彼は相手の体に向けて、金属の槍を伸ばしていた。

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