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穏やかな森の奥の魔獣 1

 メートは熊のような見た目の魔獣、ビガルパウズと戦っていた。相手の長い爪を避けて、相手のリーチの内側に移動して、相手の腹部に攻撃を当てようとしたのだが、その攻撃は相手の体の表面を滑り、ダメージにはならなかった。相手の腹部の体毛が切れて、下にはら、と落ちていくが、それだけで相手の肉までは到達していなかった。彼はダメージに与えられなかったためにとっさに後ろに飛ぼうとしたが、それが悪手だと飛ぶ前に思い直して、その場から動けなくなった。その動かない隙に相手は彼に体当たりしてくる。


 後ろに引くのをやめたせいで、彼の体は相手の体当たりを認識してもすぐには動けない。前に出て相手の体に近づいてしまったせいで、相手の体が一瞬で自分の目の前に来たと思った時には既に体に衝撃が加わっていた。体がふわりと持ち上がり、その衝撃を体にそのまま受けてしまった。彼が予想していた以上に、体が後ろに飛ばされていた。彼は空中で体を回転させて、足から着地できるように冷静に体勢を整える。そして、着地する前に攻撃されることも予想していた。だが、盾で防御することは意味をなさないだろう。ならば、防御するにも盾を使わなければいいのだ。


 彼は自身の正面に土の壁が出現するのを想像する。彼は空中を飛ばされながら自身の体の正面に土の魔気が集まっていく。土の魔気が集まり、壁を形成していく。そして、彼の体を守り切るくらいの大きさになったところで、土の壁は彼の胸の辺りしか守れないくらいの大きさに縮んでしまった。その大きさの壁にさらに土の魔気が集まっていく。そして、土の壁が再び大きくなったが、また小さくなる。収縮を繰り返して、土の壁が強固になっていく。そして、彼が地面に着地するころには、土の壁は土の色ではなくなって、黒に近い色になっていた。


 彼が着地するときには彼は魔獣の方を見ていた。魔獣は体勢を低くして、長い爪を彼の方に振るう。彼の横から長い爪が迫ってくる。大振りでの攻撃のため、相手の爪の範囲にあった草木は綺麗に切断されていた。木は幹から切断されて大きな音を鳴らしていた。そして、迫ってくる爪を横目に彼は着地する。それとほとんど同時に爪が彼の体を引き裂こうとしていた。だが、相手の爪は彼の作り出した黒い土の壁によって止まっていた。相手は止まっている爪をさらに押し込もうとしていたが、既に勢いもない爪を押しても、それ以上進むことはできなかった。そのまま、土の壁をその場に残して、彼は前に出る。剣を地面に突き立てて、そのまま放置。剣の次に彼が創造したのは槍であった。それも木製のものではなく、槍の先から握る部分まで金属でできているものだ。彼は両手でそれをもって、相手の近づいていく。魔獣は彼が近づいてきているのに反応して、振るった爪を押すのをやめて、最初に振るった爪とは反対の爪を振るうことにしたようだ。彼の視界の中でも相手が反対の手を少し引いて、彼の方へと振るおうとしているのを確実にとらえていた。彼はそのままの速度で、魔獣へと近づいていく。相手が腕を振るう速度は、明らかに彼が相手のリーチよりも内側に入る前に、彼に爪が到達するような速度であった。そして、実際に彼が槍を相手に突き立てる前に、相手の爪が彼の体を引き裂こうとしていた。


 彼は爪が自身の当たるその寸前まで、回避や防御の体勢を一つも取っていなかった。そのせいか、魔獣は勝利を確信したように腕に力を込めて、彼に爪を当てようとしていた。だが、彼はその寸前で槍を地面に突き刺して、縦にした。そして、ぐっと力を入れると、槍は少しだけ地面に入り、地面に垂直になろうとしていた。その力で彼の体は上に上がり、相手の爪は彼の体には当たらなかった。だが、相手の爪は彼の創造した槍の持つ部分より硬いのか、それともそういう技のようなものなのか。彼の槍は綺麗に真っ二つにされた。そのせいで、彼を支えていた一本の棒ずれて、支えを失った彼は地面に落ちる。何とか足で着地したものの、衝撃を抑えるために体が無意識に膝を折り、しゃがんでしまっていた。その状態から彼はさらに前に出る。次の攻撃が来る前に、彼は相手の攻撃範囲のさらに内側に入るために走りだす。相手は今振るった爪を振り切り、最初に振るった腕を元に戻して、彼に攻撃する準備をしている。だが、二度も先に振るってしまった相手の次の攻撃まではほんの少しではあるかもしれにないが、隙があった。その間に、彼は前に全力で走る。その間に、彼は盾を創造していた。彼が出現させた盾は四角形で彼の上半身の半分以上を隠すくらいの大きさの盾だった。

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