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名前のない人生劇

変わり者の王女は旅をする。〜生と死はそこに在るもの〜

作者: ヘチマチ

【シリーズ】【一話完結型】

設定ゆるゆる、ご容赦ください。




この国の王女として生を受けた私は、両親に大層可愛がられて育った。


特に国王である父から、他の兄弟よりも可愛がられたことで、私は特別なのだと優越感を感じていた。


ハッキリ言って性格に難があった。幼少期は癇癪持ちで、メイドたちには随分と手を煩わせた。


「私、知っているのよ。あなたたちは私を監視しているのね!あなたたちが私に良くしてくれるのは仕事だからで、私のことなんてどうでもいいのよ」


などと被害妄想をしたり、トイレに一人で行けずに、


「ドアを閉めたらダメよ!でも見てはダメ!でもそこにいて!」


などと言い、メイドたちを困らせた。

さらには夜になると怖いと言い出し、


「暗いところにいると全てが小さく見える気がするの。私も小さくなって消えてしまいそうだわ。ねぇ、死んでしまったらどうなるの?怖いわ」


とメソメソした。

あまりの起伏の激しさに、侍女長が母の許可を取って教会につれて行ってくれた。


「お嬢様の中には小さい悪魔が住んでいて、その悪魔がお嬢様をイライラさせたり怖がらせたりしているのです。教会に行って追い払ってもらいましょう」


出かける段になって物凄く不機嫌になった私は、教会のお偉い様の前でもずっと不貞腐れていた。


見かねた神官たちが、私と同じ年頃の見習いの子供を呼んだ。しばらく二人で遊んでいなさい、と言って、準備のため別の部屋へ行ってしまった。神官たちがいなくなると、先ほどまで大人しくしていた男の子がニヤリと笑った。


「なんだ、不貞腐れた顔して。お子様だな」


男の子にそう言われた私は顔を真っ赤にして怒った。そんなことを言われたのは初めてだったのだ。


「私を誰だとお思い!?王女よ!レディに対して失礼ね!逮捕するわよ!」


「どこにレディがいるんだ。不貞腐れた顔した鼻垂れレディか?

それに、逮捕だって?何の罪で?

親が偉い人ってだけで、君はただの子供さ!」


猿のようにキーッとなった私は男の子ともみくちゃになってケンカした。侍女長は止めなかった。

しばらくして、ぐちゃぐちゃになったお互いの髪の毛を見て大笑いし、一緒に遊んだ。


「あなたって、ああ言えばこう言うのね。そういうの屁理屈っていうのよ」


「君こそ屁理屈王女だ。

いいか。なんでもかんでも言えばいいってもんじゃない。

言うべき時に、言うべきことを、ビシッと言うのさ」


「言うべき時に、言うべきことを、ビシッと、ねぇ。そういうものかしら」


すっかり機嫌が直った私は、よく分からない儀式を受けて、神官たちの説法を聞いた。説法には男の子も参加していた。


「何か聞きたいことはありますか」


と問われ、


「死とはなんですか」


と聞いた。神官は微笑みながら


「死が怖いですか?」


と言うので、私はこくんと頷いた。

神官は私の目を見ながら言った。


「死が怖いと思うのは、貴女から遠い、未知のものだと感じるからでしょう。

貴女は今、生きていることに恐怖を感じていますか?

感じていませんね?それは、すでに『生』を体験しているからです。

では『死』は?

私はこう思います。『生』と『死』はとても近いものだと。『生』も『死』も変わらないのですよ。ただ、そこに在る」


私は真面目な顔をして聞いていたが、実のところサッパリ理解できなかった。男の子の方をチラッと見たが、彼もポカンとした表情をしていた。


城へ帰ってからは、相変わらず口は達者だが、メイドたちに何でもかんでも要求を突きつけることは止めることにした。メイドたちは「お嬢様が成長なされた」と大いに喜んだ。



-----



私は10歳になった。


東洋の国の血を引く母は、武術と語学に秀でており、兄たちが諸外国の言語を次々と覚えていく様子を尻目に、私は武術に傾倒していった。


忙しい母の代わりに、母方の生家に滞在して武術を教わった。相変わらず『変わり者』の私は、私を理解し尊重してくれるメイドだけを側に付けてた。


ある程度の年頃になると、鍛えた武術を試したくなり、国軍に従事することに決めた。優秀な兄たちがいるので、私が好き勝手しても止められることは無かった。実際は王宮の重鎮たちが私の淑女らしくない行動をよく思っていないのは知っていたが、両親がいいと言ってくれているので気にならなかった。


我が国は表面上は平和な国だったので、私が戦闘には赴くことはなかったが、戦争が起こっている国々の様子は部下や諜報員たちから報告を受けていた。


「私たちは何を守るべきなのだろう」


教会にて、見習いの神官となった男に話しかける。小さい頃に教会でお祓いをしてもらった時に仲良くなり、それから度々訪れていた。


「そりゃあ、国民を守るためだろう?そのための国軍だろ?」


当たり前のように言う男に私は、うーん、と返事をする。


「そうなんだけれど。そこに正義はあるのかなと思って。

お互いに国民を守ると言って始まった戦争は、いつもお互いの国民を傷付けて終わるでしょう。国が勝利しても傷は癒えない。国のために死ぬ人だっている。巻き込まれる民だっている。死んだ人は、帰ってこない。家族はどんな思いで国の勝敗を聞くの?そもそも死んでしまった人はそれを望んでいたの?」


どうどうと話す私に、男はため息をついた。


「俺たちから言わせてもらうと、戦争なんて悪でしかないさ。俺たちの中では国軍を野蛮だと言う人もいる。

でも、俺たちの組織だって似たようなものだ。知ってるだろう?宗教の違いが争いの種となる。人を救うはずの教えが、争いの種になるなんて、神様も望んでいるとは思えないよな。

だけど、正論ではどうにもならないことがある。そうだろう?」



-----



それからしばらくして、私の部下が行方不明となる事件が起きた。幸い無事が確認されたが、他国の諜報員が軍に紛れ込み、王族の情報を探っていたことが発覚した。部下はそれを知ってしまったが故に、巻き込まれたのだ。


私はどこまでいっても王女で、王族で、守られている存在なのだと思い知った。国を、民を守っているなんて、おこがましい考えだった。私は特別な能力がある人間だと過信していたが、特別な地位があるだけの小娘に過ぎなかったのだ。


その後もしばらくは軍で働いていたが、変わり映えのしない毎日に、生きているのか死んでいるのか分からないような気持ちになっていった。

せっかく生きているのに、生きる力が湧いてこない、惰性で生きている、そんな気がしていた。


そんなある日、私の休みを見計らって王妃様が保養所への視察に誘ってくださった。私の母である側妃と王妃様は敵対する勢力だと思われているが、実は彼女たちはお互いのことを認め合っている。その証拠に王妃様の子と側妃の子である私たちは昔から交流があったし、こうして王妃様と二人で会うこともあった。


王妃様はしばらく心の病気で静養されていた経験を活かし、この保養所を造られた。


施設は広い丘の上にあり、庭が整備されている。とても居心地が良さそうだった。何より施設内の絵画に心惹かれた。暴力的なほどの色が重なっている絵は、人間の感情を全面に押し出したような、強烈な『生』をダイレクトに感じられるものだった。


「この絵…」


私が立ち止まって絵を見つめていると、王妃様は微笑まれた。


「あら、その絵が気に入ったの?その絵はね、この施設の利用者だった画家が描いた絵よ。素敵よね。

貴女が彼の絵を気に入ったなら、購入できないか問い合わせてみるわ。購入できるのであれば私にプレゼントさせてちょうだい」


申し訳ないと遠慮する私に、王妃様は真剣な目をして私の手を取った。


「生きるって、簡単なようで難しいわよね。

私は長い間、何のために生きているのか分からない時期があったわ。

だけど、あなたのお母様から学んだの。綺麗事だけでは生きていけない。時には泥臭く、足掻いてみるのよ」


そう言ってから、クスクスと笑い出し、


「あら、泥臭くなんて言ったら、あなたのお母様が怒るわね。私を誰だとお思い?ってね。もちろん、良い意味よ。あの人、何かに突き動かされるように生きているでしょう。疲れるでしょうけれど、羨ましいとも思うわ」


まぁ、真似できませんけれど、と言いながら王妃様は笑った。



-----



教会の男に、王妃様に貰った絵のことを話すと興味深そうに聞いていた。


「強烈な『生』か。俺がこれから行くところは、そういうところかもしれないな」


男は次の年から別の宗教が根付いた遠い大国へ視察の旅に出かける予定にしていた。


「どんなところなの?」


「俺たちとは違う宗教の国さ。神が身近にあって、聖なる河と呼ばれる大きな大河が流れている。聞いた話によると、混沌としていて、生と死がそこにある…そんな場所らしい」


「生と死がそこにある、か。私も行きたいな。…なんて、私には仕事も公務もあるから無理な話ね」


自嘲気味に笑う私に、男が真顔になって答える。


「無理?何が無理なんだ?自分でそうやって決めつけているだけじゃないのか。

変わらないということは楽だもんな。君は変わり者で、口が達者な屁理屈王女だろう?本当に行きたければ、面倒な道を選ぶだろうよ」


私は顔を赤くして絶句してしまった。

城に帰ってからも言い返せなかったことが悔しくて久しぶりに泣いた。


次の日、王宮図書館に行って聖なる国のことを調べてみた。

遠い国のことなので文献は少なかったが、挿絵を見て全く馴染みのない風景に心が惹かれた。


『私のことを誰も知らないところへ行ってみたい』


私はさっそく様々な手続きを踏み、数ヶ月間かけて聖なる国への渡航する権利を手にした。あとは両親である国王と側妃に報告を…まぁ、二人には既にバレているだろうが、全て準備が整ってから話したかった。


『母には怒られそうだな』と思っていたら、あっさりと了承された。


「治安が悪いから行くな、と行っても行くのでしょう。失敗の可能性を幾ら説いても自ら失敗しないと人間は学ばないものよ。生きて帰ってらっしゃい。それからあなたは腐っても王族です。国のためになることを持ち帰りなさい」


母も父も私の性格をよく理解している。確かに私は反対されても行っていただろう。

最後に教会の男に話すと


「ずるいな!先に行くなんて!」


と悔しがっていた。


いよいよ明日出航という時になって、私は豊かな髪を短くカットした。高貴な身分ということが分からないように平民が着ている服も取り寄せた。私のことを王女と認識できないよう、軽い阻害の術をかけてもらい、最後にお守りとして母に貰った小ぶりのピアスを耳に付ける。


メイドは心配して多くの荷物を持たせたがったが、小さなカバンを一つ背負うだけにした。


「文化は違えど、人が住んでいるところへ行くのよ。足りなければ調達すればいいのよ。持って行く必要はないわ」


そうして私は船に乗り、聖なる国を目指して旅立った。

いくつかの国の港町を経由したが、港町に寄る毎に同国の者は減っていった。旅の期間は分からなかったので、お金はあまり使わないように、一日一食にして、小腹が空いたらメイドがくれたドライフルーツを食べて凌いだ。水も大切に飲んだ。

泊まる部屋も数人で共有する部屋を選択した。防犯のため、大事な物が入ったカバンを枕にして寝た。


天気が良い日はデッキで日向ぼっこをした。どこまでも続く海。深い、深い海。

黄昏ていると、布で髪や顔を隠した民族衣装のような服装をした女性と子どもが、私にひとつ、お菓子を渡してくれた。私が一人で寂しそうに見えたのだろうか。

彼女たちがその場を離れてから有難くいただく。なんだかネッチョリして、歯にくっ付く食べ物だった。その日はずっと、その菓子の味が口の中に広がっていた。


途中の国で乗船してきた者の中に自国の者がいて、珍しいなと見ていたら、あちらから声をかけてきた。


「おお〜同じ国のやつと会うなんて久しぶりだ。どこまで行くんだい?」


「聖なる河を見に行こうと思って」


「ああ、教会の関係者か。どうせ孤児院や老人院なんかで施しを行うっていう視察だろ?」


「そういう予定はないけれど、それも素敵ね」


「どうかな。そりゃあ助かる面もあるだろうけれど。なんで隣で困っているやつより、遠くの人を助けたいと思うのかねぇ」


「それはどういうこと?」


「例えば、自国に住んでいる時、同じ地域にお金がなくて困っている老人がいるとしよう。その老人が知り合いでもないのに君の家に来て、お金をくれ、と言ったとする。君はお金を渡すかい?ほとんどの人は怪しんで追い返すだろうよ。

それがどうだい?遠くの国となると、子供や老人がお金を恵んでくれ、というとホイホイ渡すようになる。変だと思わないか?」


「う〜ん。あなたの言いたいことは分かるけれど。それとこれとは別というか…」


「別なことあるもんか。どっちもお金が欲しいって言ってるんだぜ?

ま、こんなことお嬢さんに言っても仕方ないか。

遠くで困ってる人は聖人にでも見えるのかねぇ。奴らはずっと賢いぜ。生きていく逞しさは施してる奴よりもずっとある。お嬢さんも気をつけな。豊かな国の人たちは、自分から遠い国の貧しい人たちの心が清らかに見えるらしい。騙されて金や物を盗られているやつを何人も見たよ。それが現実さ」


うまく反論できない私に手を振って男は去って行った。私はモヤモヤしたまま数日を過ごした。


そうしていよいよ目指す国に着いた時には、既に疲れていた。気を張っていたからか背中や頭の後ろが痛い。


『やっぱり寝る時くらい安心したいわね。陸地では一人部屋を借りよう』


そう心に誓った。

半日かけて陸地を移動し、聖なる河のある街にやってきた。出発前に文献から調べたこの国の単語を書いた紙を出して、指をさしながら意思疎通を行う。母も兄弟も外国の言葉が得意だったが、さすがにこの遠い国の言葉までは知らなかった。


宿を探していると、ある宿の受付に宿泊した人たちが自由に書けるノートがあった。そのノートを見ると、自国の言葉で『この宿は安全だった』と記してある。それが決め手となり、その宿の一室を借りることにした。


一人の部屋で鍵を閉め、安心して仮眠をとる。しかし一時間も経たずに起きた。外の鐘の音がうるさいのだ。気になって宿の屋上に上がる。高い建物がないので、屋上からは街が見渡せた。


カンカンカンカン


ずっと何かの鐘の音が鳴っている。どこからか音楽も、鳴り続けている。自国であれば、うるさい、迷惑だと言われてしまいそうだ。


「なんて、賑やかで、うるさいのかしら」


思わずつぶやく。自国にはないうるさい音、うるさい色、埃っぽい匂いと空気。そして高い空。全部がここにいるよ、と主張してくる。


『生きている』


強烈にそう感じた。


そして遠くには海のようなものが見える。あれが聖なる河。ものすごく大きな大河である。そして、ものすごく茶色い。どう考えても濁っていた。明日は近くまで行ってみよう。そう思って部屋に戻ると、この国の女が訪ねてきた。


何か用かと、単語帳で意思疎通してみると、どうやら女は私を食事に誘っているらしい。


「私も一人で部屋を借りているの。良かったら私の部屋でお食事しませんか?」


要約すると、そういうことらしい。私は咄嗟に身構えた。出国前に調べた情報では、この国の女性は基本的に一人では出歩いたりしない、と書いてあった。ましてや一人で宿に泊まるなんてしないだろう。もちろん、情報が古い可能性もあるが、そもそも何故私がこの部屋に一人でいることを知っているのか。目の前の女性は、とてもじゃないが悪い人には見えない。でも、船で出逢った男の言葉を思い出す。


『騙されて金や物を盗られているやつを何人も見たよ。それが現実さ』


疑いたくは無かったが、どうにも信用できないと思い、丁寧に断った。思いのほか、女はアッサリと帰って行った。私はほっとして、すぐに鍵を閉めた。これからはノックされても容易に開けないようにしよう、そう心に誓った。


次の日、久しぶりに安心してぐっすり寝られたからか、頭がスッキリした感覚があった。さっそく紙とペンを持ち外に出る。この街の地理が分からないので、自分で地図を書きながら進んでいく予定だ。


まずは途中で見つけた小さな食堂で腹拵えをする。側にある厨房では子供が丸いシート状のものを焼いており、私はじっとその様子を見ていた。子供は私の視線に気がつくと、照れたような表情をしたが、どこか得意そうに丸い物を焼き続けていた。店員が注文を聞きに来るがメニューの文字が読めなかったので、子供が焼いている物を指差した。


「これをいただきたいわ」


店員もこちらの言葉は分からない様子だったが、私の指さす方向を見て、分かったと言うような笑顔を見せた。そうして運ばれてきた食事は子供が焼いているパンの薄っぺらいようなものと、炒めた野菜や豆の入ったものが出てきた。自国では嗅いだことのないスパイシーな香りに食欲がそそられる。自国で身についた作法も忘れ、夢中で食べていると、店員と子供がジッとこちらを見ていることに気がついた。


「美味しいわ」


私が笑顔を向けると、彼らもまた嬉しそうに笑った。それからというものの、私は食事の全てをここで食べることにした。ここの食事は安心だ、そう思えたからだ。


文字が読めない私のために、彼らは毎日違うメニューを出してくれた。周りの人の食事を見るに、私の食事として選んでいるものは、香辛料が強すぎたり辛すぎたりするものを除いてくれているようだった。


腹拵えをして、少しずつ自作の地図を拡大していると、若い男に声をかけられた。


「コンニチハ」


どうやら私の国の言葉を知っているらしい。


「あら、こんにちは」


私が挨拶し返すと、彼は嬉しそうに話しかけてきた。


「ワタシ、言葉、デキマス。アナタの、国の、友達イタカラネ」


そう言って、人懐っこい男はすぐ近くの露店でお茶をご馳走してくれた。この地域のお茶は紅茶を煮詰めたようなもので、とても甘かった。小さくて素朴な陶器のような入れ物にお茶を入れ、飲んだらみんなその辺で容器を割っていて驚いた。私は男に素朴な疑問を投げかけた。


「どうして私が、私の国の人間だと分かったの?他にも似たような民族はいるでしょう」


彼はフフンと言って答える。


「まず、歩き方がチガウ。アナタたち、ヒョコヒョコ歩く。オカシイヤン」


「歩き方?そうかしら?」


私が納得できずにいると、彼は実演しだした。


「まず、ワタシタチ」


そう言ってスタスタ歩く。この国の人は歩幅が大きい。足にしなやかな筋肉が付いており、改めて見ると、上半身が固定されたままスルスルと歩いている。


「次、ソッチの人」


そう言って私たちの歩き方を真似する。歩幅が狭く、上半身を上下させて歩いている。確かに、ヒョコヒョコという感じだ。特にこの国を訪れるのは聖職者や、商人など、ある程度金を持った人たちだろう。そういう人は普段から馬車や人力車を利用しているからか、この国の人たちよりも、歩くことに慣れていないのかもしれない。

私は可笑しくなって笑ってしまった。


「あなたたちからは、そう見えているのね。可笑しいわ」


「ソレカラ、もう一つ」


私が笑って気をよくしたのか、男は得意げに続ける。


「オヒトヨシ」


「お人好し?どういうこと?」


「ウーン、無視シナイやん?優しいヤン?騙されやすそうヤン?ソレデ、分かる」


男が言うには、歩き方である程度の国が絞れて、さらにはその人の態度から我が国だと判断したらしい。

つまり、滑稽な歩き方で、騙されやすそうな人が、我が国の人間だと、そう思われているのだろう。そして、それは当たっているのだろう。


「随分な言われようね」


私は呆れたように笑う。その後、男は私に行きたいところはないかと聞いてきた。


「火葬場を見たいの」


この国では亡くなると、河辺で遺体を焼き、骨を聖なる河へ流すという。私の国では人の死は隠され、火葬や土葬の様子を詳しく見ることはないが、この国では河辺というオープンな場所で焼くため、その光景が見られるのだと文献で見た。そして骨になった人間は聖なる大河に還る。


「アー、あそこね。ウーン、行きたくないナー」


男は嫌々ながらも、ついて来いとばかりに歩き出した。しばらく歩くと、塔のような建物に入っていく。塔といっても、いくつもある窓には何もはまっていないので、ほぼ外である。しかし、塔の中に入ると、そこだけ冷たい空気が充満していた。男について階段を登って行くと、少し広い場所に出た。中間地点のようだ。暗闇に目を凝らすと、壁際に小さい塊がある。その塊は私を見つけると、急に叫び出した。


「…!!!」


私はビックリしすぎて固まってしまった。何を言っているのか分からないが、私に向けられていることは分かった。よく見ると、小さな塊の正体はしわくちゃな老婆で、どこからそのエネルギーが出ているんだと思うくらい大声で喚いている。チラッと男を見ると、ものすごく嫌そうな顔をしていた。


「彼女は何と言っているの?」


老婆の叫び声にたじろぎながら、私が男に問うと、男は面倒くさそうに答える。


「ここ通るナラ金ハラエヤって」


「か、金?」


ここは老婆の敷地だったのだろうか?いや、きっと違うだろう。老婆の喚き声に思考が停止した私は、とにかく止めてほしくて、鞄から手探りで金を出し、老婆の前に差し出した。


すると、老婆はものすごい速さで金を取り、ピタッと叫ぶのを止めた。

唖然とする私にもう興味をなくした老婆はまた丸くなって小さな塊と化した。


「……」


私は衝撃の出来事にしばらく立ち尽くしたが、男がさっさと先へ進むので、私も慌てて追いかけた。


ようやく広い屋上に出た。下を見渡すと、広い河辺で細い枝をたくさん重ねた山がたくさんあった。火が付いているのか、枝の山から煙が出ており、枝の山が崩れないように何人かの男が太い棒で枝の位置を調整している。


どうやら、あの枝の山ひとつひとつに亡骸が入っているようだ。


「……」


私は無言でその様子を見続けた。隣にいる男も興味がなさそうに無言を貫いている。火葬場の横では、聖なる河が雄大に流れている。


『人間は自然の一部なのね』


何も特別なことはない。死んだら自然に還るだけのことなのだ。不思議と、可哀想だとか、怖いとは思わなかった。


その後、塔の中を降りて帰ったが、あの老婆は、静かで小さい塊のままだった。


その後は、男が放心状態の私を連れて、布を扱う店へ案内してくれた。そして、あれよあれよと言うまに一枚の滑らかで鮮やかな布を買うように勧められる。


『なるほどね。ここで布を買って、今日の案内は終わりということね』


私は急に現実に戻った気分になった。とはいえ、男が案内してくれなかったら、あの塔に辿り着くことはなかっただろうし、案内料だと思って一枚だけ購入することにした。

お金を払ってから思う。きっと、この価格は上乗せされているのだろう。でも自国の物価にしては安いことに変わりはない。


『まぁ、いいわ。なんだか、そんなことどうでもよくなってしまうくらい疲れたわ』


そう思っていると、こいつはもっと買ってくれそうだと思ったのか、もっと買わないかと次から次へと私の前に生地を出してくる。私は可笑しくなって笑ってしまった。


「あはは、商売上手ね」


そう言って、周りを見渡す。改めて見ると、壁一面に色とりどりの布が陳列されている。私は歩きながらざっと見た。


「あれと、あれと、それから、この布を見せて」


私がそう言うと、数人の男たちがハシゴを使ったりして、急いで布を集めてきた。


「この柄はうちの国でも流行りそうね。この生地は、まぁ、なんて滑らかなの!こちらの生地は滑らかさには劣るけれど、風合いが素敵ね。こちらの国の人たちはどうやって使っているの?」


そうして男たちに布の使い方を教えてもらう。頭に巻いたり、首に巻いたり、大きな布はそのまま服のように纏うらしい。試しに纏うと、とても軽く、サラサラしていて涼しげで心地よい。


「ねぇ、こちらの布を大量に仕入れたいと言ったら、どのくらいの量を確保できるかしら?」


私がそう言うと、私を案内した男は驚いた顔をして、仲間達に通訳する。そして困った顔をして私に問うた。


「ドノクライって、ドレクライ?」



——-



その後、わらわらと集まってきた生地屋の男たちと昼食を交えながら商談した。それが終わると案内してくれた男と別れ、街をぶらぶらする。


男に教えてもらった、街の外から来た人たちがよく行くという大きなガトーを目指す。ガトーとは、この国の言葉で、川の岸に階段を使って降りられる場所のことだ。有名だという大きなガトーにつくと、そこには多くの人がいた。そして、唸るように流れる大河を目の当たりにした。


小舟を浮かべている者。花売りの子ども。よそから来たの人間だろうか、スケッチをしている者もいる。端の方ではこの国の鮮やかな布を纏った女たちが、河で洗濯している。その近くでは、おじいさんが沐浴している。聖なる河とはいえ、ずいぶん濁った水なのに、洗って綺麗になるのだろうか。甚だ疑問である。


「活気がすごいのね」


聖なる河と言う言葉で、神聖な、厳かなものだと思いきや、皆やりたい放題である。聖なる河は彼らにとって、生活の一部なのだと実感した。


ここは賑やかすぎると思って、他のガトーを探すことにした。自前の地図に辿った道を記しながら、大通りから行ったことのない小道へ入る。細い道を歩いていると、突然、若い男が私の前に立ちはだかった。彼は私を通さないように仁王立ちしている。男は私を見たまま何も喋らないし、こちらも背の高い男を見上げ、無言で睨む。しばらくそうしていたが、痺れを切らした私が母国の言葉で男に言う。


「邪魔よ。私はガトーを探しているの。どいてくれないかしら」


至近距離から男を睨み上げると、男は少したじろいだ。そして、『ガトー』という言葉に反応し、何か言って道を譲ってくれた。


そのまま細い小道を進むと、小さなガトーに出た。入り口には上半身裸のおじさんが痩せた犬とともに日陰で涼んでいる。大河へ続く階段の上には東屋のようなところがあり、男たちが何やら話し合いをしているようだった。何か干し草のようなものに火を付けて、煙草のように吸っている。


『合法なのかしら』


ふとそんなことを考える。途中、道を塞いでいた男は、もしかしたら取り締まる人が来ないように見張っていたのでは、とも思った。


話し合いに夢中になっているおじさんたちに背を向けて階段を降りていき、河のほとりに座った。


『なんだか異世界に来ている気分だわ…』


自国の言葉も通じず、私のことを誰も知らず、ただの外国人の女になってみて、自分はこれほどまでにちっぽけな存在だったのかと思い知った。


ボーッと考え事をしていると何やら気配がしたので振り返った。そこには自国では見たことのない色の顔をした大きな猿が座っていた。少しギョッとして、まじまじと猿を見る。こんな大きな猿に襲われたらひとたまりもない。しかし猿は私のことなんか気にもしないで河を眺めている。


なんだかどうでもよくなった私は前に向き直って、再び黄昏る。きっと、この光景を第三者の目線から見たら面白いだろう。猿と王女。この大河を前では同じ、ただの動物同志だ。


『自分の意思で生きているつもりだったけれど、生かされていたのね。それが神の力によるものか、はたまた、いち動物としての命の連鎖か、この際なんでもいいわ。

”生きている“それだけが事実よ』


その時、河上から目の前に花が流れてきた。その後を追うように流れてきたのは、手を組んだ老婆だった。濁った大河を、沢山の花と流れていく老婆はすでに神に召されていた。


『美しい』


素直にそう感じた。しばらくすると、子供達がキャッキャと泳いできた。どうやら一つ河上のガトーから泳いできたようだ。赤ん坊を抱えた女が河上のガトーから足を河に浸し、子供たちに何か言っている。子供たちは笑顔で手を振る。


生と死。


猛烈に『生』を訴える色彩と音と匂い、子供たちの声。

パチパチと焼かれ、たおやかな煙となって天に昇る魂や、たくさんの花と共に大河に身を委ねていた老婆の穏やかな『死』。


不思議と何の畏怖もない。


『生と死は、ただそこにあるもの…』


いつぞや神父が言っていた言葉が、今になってストンと心におりてきた。


『聖なる河…そう呼ぶに相応しいわ。生も死も、何もかも飲み込んでしまうのね。

男女の営みによって生を受け、そして母のお腹の中に存在した瞬間から死へ近づいていく。生も死も思い通りにはならないのね。

その命はその人の心や権力に関係なく、突然奪われる。いえ、奪われるのではないわ。還るのね。母なる大河に、そして大地に』


私の目に涙が溢れてきた。生きていることを許されている。そう感じた。



-----



あれから私は毎日のように小さなガトーに通った。ある日、東屋で昼寝をしていたおじさんと目が合った。おじさんは、足は細いのにお腹がぽっこりしていて何だか愛嬌があった。


「お昼寝できるなんて幸せね」


私が自国の言葉でそう言うと、おじさんは私も昼寝がしたいと思ったのか、無言で枕を貸してくれた。

自国にいるときはこんなことは決してしないが、ありがたく枕を借りて東屋で横になってみた。

チラッとおじさんを見ると、ボーッと聖なる河を見ている。

高い空には雲一つない。


『幸せだわ』


素直にそう思った。

おじさんは、私に何も聞かなかった。ただ、2人でそこに在り続けた。


東家で横になるのが日課になり、いく日が続いたある日、おじさんが家族を紹介してくれた。

息子と娘の3人暮らしで、洞窟のような家に住んでいた。

息子は私に色々聞きたがった。私が持っていた単語帳を使って、娘も一緒に色んなことを話した。


おじさんは相変わらず私に何も聞かなかったが、単語帳を指差し「あなたはお客様」とだけ言った。


おじさんの息子が毎日街を案内してくれて、祈りの儀式を見たり、花を聖なる河に流したりした。


彼らは私に何も求めなかった。特におじさんは、私の存在そのものを認めてくれているような安心感があった。

私は彼らが大好きになっていた。


私が明日、自国へ向けて出発するという日も、おじさんの息子と街をブラブラしていた。

そろそろ帰ろうという段に、彼は単語帳を使ってこう言ってきた。


「父親に楽をさせたい。金が欲しい」



『…ああ、やっぱりそうよね』


私は彼に、「手持ちがないので、明日渡す」と伝えると、泣きながら帰った。

自分でも何に泣いているのか分からなかったが、『やっぱりお金か』とどこか冷静な自分がいた。対等に付き合うことの難しさを思い知った。


でも、あの家族が好きで、過ごした時間は確かに幸せだった。他の人から金を騙し取られたと言われても後悔しない。

そう思って、お金を用意した私は、最終日もおじさんの家へ行き、彼らと別れの抱擁をかわした。

相変わらずおじさんは何も言わなかったが、その優しい微笑みを胸に刻んだ。


私は家の外に出て、こっそり息子に金を渡した。すると、息子はバツの悪そうな顔をして「いらない」と言う。


「どういうこと?」


私が訊ねると、彼は「父から怒られたんだ」と照れたように笑った。

「父は、貴方を客として招いた。

客は、神の導きで出会い、招かれる。

そんな人からお金はもらえない。父は喜ばない」


彼の言葉を聞いて、私はまた泣いた。

彼らと出会わせてくれた神がいるのであれば、感謝しかない。



-----



この国から帰る際に、その国の首都から彼ら一家に郵便を出した。感謝の言葉と共に、両替して余ったお金を全て入れて。

しかし、帰りの船内で、お金は届かない可能性が高いと気がつく。あの国の郵便事情はあまりよくないと文献で読んだことを思い出したからだ。

でも、その方がいいかもしれない。

おじさんは、お金など、喜ばないかもしれないから。

でも、お金があれば助かることも事実。

届いても届かなくてもいい。

そう思った。


帰国したその日に、教会の男に会いに行った。突然の訪問に驚く男の胸に飛び込み、私は泣いた。

驚いたであろう男は、しかしどっしりと私を受け止め、私が落ち着くまで背中をさすってくれた。


あれから、私は歴史や宗教について、神学や他国の歴史に詳しい教師を付けてもらい、がむしゃらに学んだ。

宗教の違いから争いになることも多いが、お互いに尊重できる道もあるのではないかと学び続けた。


教会の男が視察の旅に行ってからは、私も別の国へ視察へ行くなどして学問を極めた。


ーー宗教は人と社会の平穏のためにあるものであり、人や社会を制限するものではないーー


そんな理想とも言える言葉を掲げ、私は各地の歴史と文化をまとめた本を二冊、出版した。

帰国した教会の男から愛の告白を受けたが、私は、


「その話はこの本が無事出版できたらね。ねぇ、立っているならそこの資料を取って」


と目も向けずに言い放ち、彼を呆れさせた。実はかなりドキドキしていたのは内緒だ。


三冊目の本が無事に校了すると、私は母お抱えの商人と相談し、聖なる国の鮮やかで軽く通気性の良い布を我が国に流通させた。布は高値で取引きされ、我が国の流行のひとつとなった。


商人によると、あの国の商売上手な布屋は大層驚いていたという。


「アノヒト、王女サマだったノ!?メッチャ買ってくれるヤン!」


とでも言っているのだろうか。

この布を流通させたことで母の機嫌が良い。聖なる国との貿易も盛んになってお互いに多くの利益が出ているらしい。


私は久しぶりに教会へ、次期神官長候補となった男に会いに行った。男は忙しそうに、しかし優しい笑みを絶やさずに仕事をしていた。男の仕事がひと段落ついて私を見つけると、急に真顔になった。


「あら、さっきまでの神官スマイルはどこへ?」


「なんだよ今更。変わり者の王女様」


男はふてぶてしく答える。私は微笑みながら高飛車に言う。


「ねぇ、貴方のこれからの人生を私に頂戴」


男はびっくりしたような顔をしたが、すぐに呆れたように笑う。


「王女様からプロポーズの言葉を聞けるとはね。ん?もしかして伴侶としてじゃなくて、従者として俺が欲しいって言ってる?」


「いいえ、伴侶として。私、貴方を愛しているの。両親の許可も得たわ。私と一緒になって頂戴。来世もずっと一緒にいたいわ」


堂々と声を張る私を見て、男はたじろいだ。周りにいた男の部下たちもソワソワして目線を彷徨わせている。


「急になんだよ。こんなところで言わなくても…。いや、嬉しいけどさ」


戸惑いながらも照れている男を見て、私は笑ってしまった。


「言うべき時に、言うべきことを、ビシッと。

昔、貴方が教えてくれたことよ。私は今言うべきだと思うから何度でも言うわ。貴方を愛している。どうか一緒になって」


私はそう言って男の胸に飛び込んだ。男はぶつぶつ言いながらも私を強く抱きしめ、「俺も愛してる」と耳元で囁いた。


周りにいた部下たちは嬉しそうにパチパチと拍手をしてくれた。



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変わり者の王女が神官と結婚し王族籍を抜けた。その知らせは他国にも広がった

元王女は神学校で教鞭をとり、後に神官長となる夫と共に、宗教と平和について説き続けた。


国々の歴史と宗教に精通した彼らは、時に兄である国王たちに助言することもあったという。

他国と国際の平和を目指す国同士の連合を立ち上げ、相互理解を促進し、争いを諌める等の活動に尽力した。


さらに、各国の名産を適正価格で取引きする仕組みを作り、貧富の差が激しい途上国の発展にも貢献した。


そんな2人は、いつも仲睦まじく、じゃれあっていたという。


「あなた、愛してるって言ってくれるのは嬉しいけれど、毎日じゃなくてもいいのに」


「言うべき時に言うべきことをビシッと。愛を囁くべき時が毎日ある、ってだけさ」


「ふふ、嬉しいわ。私も愛してる。来世でも言ってね」


「もちろん。今度は俺がビシッとプロポーズするからな」


「あら、まだ言ってるの?残念ね。次も私が先よ」



やっと!やっと10作目!!!

シリーズ内の作品は、全て同じ世界観です!

ぜひ、他の作品も楽しんでください!


この側妃の娘、第一王女の話が書きたかった!!!

やっと書けたー!!!

このシリーズは、ひとまずこれで終わりの予定です。


在るがままを受け入れてもらえる、そんな経験が人生で一度でもできたら、産まれてきた意味があったと思えるのではないか、そう思います。


家族の愛や、恋人、伴侶の愛だけではなく、たまたま隣に座った人でもいい。動物でもいい。そこにいる、そのことを受け入れられていると感じたら、それは生きている、ということではないでしょうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおお絵を買った第一王女!第二王女と平和同盟?組合?を立ち上げた王女様ですね…!! なかなかに痛烈な人生を通過なされた方…結婚した時まだ二十代なかばくらいだったりするんだろうな〜 [一言]…
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