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 「亜美ちゃんも、おばあちゃんも、お母さんも、もう死んじゃったんだ。そのうち委員長も、山田君も、みんな死ぬよ。」

空はもう薄暗いが、立ち込める空気は変わらなかった。

シーツに包まれたままで、無性に吸いたくなった雫のタバコをふかす。

この空気を入れ替えるように、煙を吐き出した。

前吸った時よりも、甘い。形容するなら、子供用に味付けされた粉薬のような味だ。

僕の左側に寝転んでいる雫は、生まれたままの姿で天井のシミをまるで星を見るような目を輝かせながら、死んだ死んだとケラケラ笑った。校舎裏で見たあのわざとらしくも儚い笑いではない。それはとても下品で歪だった。

雫は、壊れてしまった。僕はあの雫を断り切れなくて、取り返しのつかないことをしてしまった。

「雫、これでもう、満足なの?」

不安げに、しかし数少ないプライドの欠片たちがそうさせるようぶっきら棒に、僕は問う。

雫はこちらを向いて、笑った。凡庸で潰れた笑顔は、僕の全てを無為にしていくようで恐ろしい。

「私はもう、これでおしまい。あとはケンジと落ちるだけ。」

「こんなことが、君の全て?」

雫は困ったような顔をして、僕の耳元まで唇を寄せ、ささやいた。

「人が人である以上、人は繋がりを消せない。でも私は弱かった。でもケンジのおかげで、私は今、満ち足りてるよ。」

割れ物を落とした時のように、僕の心は砕かれた。より鋭利に、人をどこまでも傷つけられるような形に砕かれた。

なに一人で楽になってるんだと憤りたい。でもそれは違うのだろう。

やはり彼女は、僕がいないとダメなのだ。

でもそれは、依存ではなく必要になってしまった。

人肌のぬくもりは、僕の想像とはかけ離れた場所へ、雫をいざなった。

彼女は今を必死に生きるために、この世界に作用するために、心中をするんだ。

僕は彼女を創るために心中をする。

僕の中で、ドス黒い色のヘドロがあふれ出しそうになる。

口から出そうになって、飲み込んだ。

「じゃあさ、」

だめだ、いけない。口に出すな。

もうここで、終わらせてもいいじゃないか。

僕ももう、楽になろうよ。

「僕のお願いを一つ、聞いてくれる?」

僕の口から何やら黒い球が出たみたいに、やけにすっきりした。

でもこの球は、どこかで聞いた匂いがする。

彼女が笑った。屈託のない、包容力がある笑み。

僕はあの、赤い首筋を思い出した。

僕の口角が、不思議なほど上がった気がする。

救われたいだけの雫は、僕の中で死んだ。

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