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新生  作者: 髙倉 壮
13/13

新生

 

 白木の部屋の書棚の上から、諒子は白木を見下ろしているのだった。


諒子は白木の仕事ぶりを朝から夕方まで眺めた。


机いっぱいに広げられた大きな白い紙に、

何やら設計図のようなものを描いたり、

書類に目を通したりする度に、

後ろに撫で付けられた白髪が微かに乱れる。

 白いうなじが見える。

午後からは作業場に出てしまったので、

諒子は眠って待った。

 

 そして夕暮れに戻ってきた白木を美しい黒いパンツスーツの女が訪れた。

諒子は彼女をどこかで見た記憶があった。

 

 しかし、どこで見たことがあったかは思い出せなかった。


 諒子は何かに圧されるようにして、その女の上から飛びかかった。


女の自由を奪うのは実に容易いことだった。


ーわたしにとって、難しいことなど何もない。ふと、諒子は思った。


 諒子はすぐに萎れて汗に塗れた白木の身体を、

細くて赤い舌で清め、

艶やかに変えていった。


 それを終えると痺れて動けなくなっている黒いパンツスーツの女の服を脱がし、

白木に捧げるように差し出した。

    


 諒子はすっきりと目覚めた。いつも寝ている白木のベッド。

 

 そこにもう白木はいない。

 

 部屋の中は安堵と静寂で満たされている。


彼女はもう、自分に以前名前があったことさえ覚えていない。

 

 今はただ、細く伸びた真っ白な自分の姿をただ、

眺めている、

満ち足りた気分で。



                 完


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