新生
白木の部屋の書棚の上から、諒子は白木を見下ろしているのだった。
諒子は白木の仕事ぶりを朝から夕方まで眺めた。
机いっぱいに広げられた大きな白い紙に、
何やら設計図のようなものを描いたり、
書類に目を通したりする度に、
後ろに撫で付けられた白髪が微かに乱れる。
白いうなじが見える。
午後からは作業場に出てしまったので、
諒子は眠って待った。
そして夕暮れに戻ってきた白木を美しい黒いパンツスーツの女が訪れた。
諒子は彼女をどこかで見た記憶があった。
しかし、どこで見たことがあったかは思い出せなかった。
諒子は何かに圧されるようにして、その女の上から飛びかかった。
女の自由を奪うのは実に容易いことだった。
ーわたしにとって、難しいことなど何もない。ふと、諒子は思った。
諒子はすぐに萎れて汗に塗れた白木の身体を、
細くて赤い舌で清め、
艶やかに変えていった。
それを終えると痺れて動けなくなっている黒いパンツスーツの女の服を脱がし、
白木に捧げるように差し出した。
諒子はすっきりと目覚めた。いつも寝ている白木のベッド。
そこにもう白木はいない。
部屋の中は安堵と静寂で満たされている。
彼女はもう、自分に以前名前があったことさえ覚えていない。
今はただ、細く伸びた真っ白な自分の姿をただ、
眺めている、
満ち足りた気分で。
完