宝石が輝く時
この世界には伝説がある。
山脈にて生まれし神秘の岩石、宝石。
人々に災いが降りかかる時、石にも意思が宿る。
この世の全てを救い、守るだろう。
「これで伝説の話は全部じゃ。」
ベッドで寝ている少年に告げ、静かに古びた本を閉じ、咳き込む少年の満足げな顔に笑顔で返す。
「これで最後かぁ…この話も良かったよじーちゃん。」
「すまんのうアイン…儂にはこれくらいしかしてやれんのだよ…」
「大丈夫だよ。外で遊べるようになるまでに、良い話はできるだけ聞いておきたいだけだから。」
少年…アインは不治の病であった。
薬も効かず、日に日に弱っていく体を老人は心配し、自分の知っている限りの神話等を聞かせて苦しみを忘れさせる事しかできなかった。
「この腕輪さえあれば一族は安泰なんでしょ?ならきっと良くなるって!」
青白く輝く金剛石の腕輪を見せびらかしながら笑う。
「そうじゃな。祖霊が守ってくださるじゃろう。さて、もうこんな時間じゃ。早くおやすみ。」
老人は蝋燭の火を消し、布団を掛けると部屋から出て行く。
あの腕輪は一族に伝わる救済の秘宝だという話だが、いつまで経っても助けてくれそうにない。
そうだ。本屋へ行って本を買ってこよう。まだ使える金が少しあったはずだ。イーザの体調が新しい話を話してやる事で良くなるかもしれない。
まだ希望を捨てては行けない。
そのようなことを考えながら自分も寝床へ入る。
叶わないことも露知らずに。
「侵略者が来たぞーッ!」
爆発音と悲鳴が響く。
「この街の人は全て排除しろ!鼠一匹見逃すな!」
燃える街の瓦礫の上に立つ1人の男に1人の部下らしき者が報告する。
「ザンダ様、この街の動物は全て排除致しました。次は何処を破壊しますか?」
少しの沈黙の後、声を荒げて言う。
「待て待て、あそこに生き残りがここに居るぞ。すべて殲滅せよとのソルキューブ様からのお達しだ。使えないお前たちに代わって俺が尻拭いをしてやろう。」
家が一瞬にして業火に包まれる。中からは一瞬の悲鳴が上がり、すぐ無くなる。
「よし、撤収するぞ。早くソルキューブ様に報告して褒めて貰うんだ。早く行くぞ。」
「「「「「はっ!!!!」」」」」
街を崩壊させた者たちは翼を生やし、飛んでゆく。
「あ?いまの感じ…なんだ?」
後ろを振りかえり瓦礫を漁ってみるが、なにもなかったようだ。すぐ前を向き、彼も飛び去る。
瓦礫の山の下、腕輪の宝石が光る。




