表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/92

決戦?

「みんな。こいつを見てくれ」


 と言ってレッドはそれをテーブルへと叩きつけた。そしてその勢いに引き込まれるかのようにして私達の視線がそれに集まる……。


 それとは――――果たし状と書かれた1通の書状だった。


「は、果し状?」

 これまた古風な物を……と思いながら私が呟いているとレッドは一つ頷き。

「ああ、今朝方クール宅急便で俺の家に届いた」

「な、なんでわざわざ果し状を冷やして送ってくるかな?」

 っと私が頭に疑問符を浮かべていると横からブルー。

「果し状は鮮度が命ですからな?」

 いや今朝水から上げられた魚か何かなの? うん。まぁ別にいいや。

「あっそ。で? そんな面倒(クール)な方法であんたにケンカ売ってくるヤツって誰なの?」

 私がレッドに問い直すと。

「馬鹿を言え。ケンカを売られたのは俺ではない……『俺達』だ。つまり差出人は忍転道の奴等だ」

『に、忍転道!』

 レッド以外全員の声が揃った。


 それもそのはず。これまで消極的、或いは私闘と言って言い訳が出来る状況でしか動かなかったあの忍転道が立て続けにライダーさん、私達と正義のヒーローにケンカを売ってきたのである。これは即ち忍転道は地球征服の準備が整ったから大胆な動きをしてきたと考えて間違いない。

 ……と全員が認識した中でレッド。

「果たし状の中身を端的に説明すると、忍転道の奴等は都こんぶ、大根乱、長洲力、熊野プー三、マッスル・米田の5人で俺達5人と戦いたいそうだ」

「それはつまり――ライダーやパンストセイントと組む特番ではなく、おかず戦隊ごはんですよの通常放送枠だけで戦いたいという事だな?」

 凄い補足的な説明をありがとう小豆ちゃん。そして私達に援軍を呼ばせないためのメタい作戦って事は良く理解出来た。……良く理解は出来たけどそれはそれとして。

「あのさ、一応中身確認させてもらっていい?」

 と私がレッドに問えば。

「当然だ。というより全員目を通しておいてくれ」

 と言ってレッドは果し状をテーブルの真ん中で広げた。なので私達は素早く目を通し始める。なになに……


 第1問。こんな寿司屋は嫌だ。どんな寿司屋?


「トイレのウォシュレットが水ではなく海水」


 はっや! 答えるのはっやブルー! 私が「何この大喜利のお題みたいなの?」って言おうかと思ったら神速で答えやがったコイツ! ……けど良く考えたらどうでもいいや。気にせず続き読も。


 第2問。こんなウォシュレットは嫌だ。どんなウォシュレット?


「ほぅ? これは難しいお題ですな?」

 うっそでしょ? さっき爆速で海水って答えてたヤツが言うセリフじゃないでしょう? それこそ水の代わりに醤油が出るとかでいいんじゃないの?

 と私が考えていると。

「あの……じゃあ私いいですか?」

 グレーちゃんだった。

「ほう? グレー殿ですか……では大喜利番組のように私がお題を読みましょう。『こんなウォシュレットは嫌だ。どんなウォシュレット?』?」

「シートベルトの着用が義務付けられている」

 そんっっな勢いで水が出るのっ!? もうアトラクションじゃん!! ってゆーか大喜利って言っちゃってるし果たし状はどこ行ったの?

 ……と思ったので果たし状の部分を探して更に読み続ける。


 第3問。写真を見ずに一言。


「エアプか?」


 うん。その通りだね小豆ちゃん。写真で一言を写真を見ずにやったらそりゃエアプだわ。てゆーか大喜利のはずなのにお題の方がボケてくるってどうなのよ? と思って読み進めると――。


 第4問。たかし君とキャサリンは双子の姉妹です。たかし君が時速4キロで豆腐屋さんに向かった1時間後に、キャサリンが時速6キロで追いかけた場合。ゴメスはどこで何をしているでしょうか? 但し豆腐屋の定休日は考えないものとする。……を英語に訳しなさい。


 ほ、本格的に大喜利じゃなくなってる! ――けどっ!


「www」

「草生える」

「大草原不可避」

「おハーブですわ」

 誰がどれを言ったかは割愛するけど。

「ごめんみんな。それは『英語』じゃなくて『ネット用語』なのよ……」

 それに文章量も全然足りてないし、どっちかって言うと訳って言うよりレスだし。

「てゆーかいつまでこんな事やってんの? これのどこが果し状なのよ?」

 これは別にレッドに言ったつもりではなかったんだけど、まあやっぱり自分に言われたと思ったのか答えたのはレッドで。

「心配するな。問題は10問までで、それが終わったら俺がさっき言った旨の内容が書かれている」

 あ、そうなの? どれどれ……

 と私は問題10問をスッとばしてその後の文章に目を通すと――ホントだ。5対5で戦いたいみたいな事が書いてある。しかもその後にまだなんか続いてるけどこれは――?


 尚、決戦当日は大喜利大会ではなく純粋なる暴力。ガチの殴り合いなので予めそのつもりで臨まれよ。但しゴメスは豆腐屋とする。


 ゴメスが豆腐屋だったのっ!


 ……いや違うそこじゃなくて、だったら長々と10問も大喜利のお題みたいなの出す意味はなんだったの? という私の疑問は解消されないまま決戦当日となり……私達は忍転道に大喜利じゃなくて普通に戦ってボロ負けするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ