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ラスト2からラストへ

 ……というワケでレッドまでが倒された私達は残りたったの2人。小豆ちゃんとラスボスのブルーのみとなっていた。


 ――んで。ここで発動された演出が、今までにない最強のザコ怪人が阿部零次達の前に立ちはだかる。……だった。


 これは次の相手が小豆ちゃんだったので、戦闘タイプではない博士タイプの小豆ちゃんが最後の最後に切り札として最強のザコ怪人を造り上げた……という演出で、最高幹部達がやられゆく中で幹部クラスのザコ怪人が出る事によって当初の目的通りストーリーに厚みが出る事となった。まあ、戦闘最強のレッドも殺られてその後に戦闘タイプじゃない小豆ちゃんが出てきてもソッコーで処理されて終わりってのが普通だからね……そう考えれば幹部クラスにして歴代最強のザコ怪人が登場するのは結構いい演出なのかもしれない。


 ……と思っていた時期が私にもありました。

 あ、いや、うん。演出自体は問題なかった。でも出てきた最強ザコ怪人の名前が「尻も腹筋も6つに割れている限界ヲタク」……。

 これはおかし過ぎるでしょっ! 腹筋が6つに割れてるのはいい……けど尻が6つはおかしいでしょっ! 尻は普通2つにしか割れてないっ!

 ……と思っていた時期が私にもありました。

 なんとこの怪人……歴代最強だけあって筋肉ムキムキで本当にお尻の筋肉が6つに割れていた……原理は知らんけど。そして小豆ちゃん曰く「この怪人は原点にして頂点。そして変態の通過点にして到達点だ」。という意味不明な供述をしていた。

 もう全てがデタラメな存在だけど、こいつが歴代最強のザコ怪人である事は間違いなく、当然だけど以前に廃止して弱体化させた殺人級の怪人達を、弱体化させる前の殺人級のままだったとしてもそれらを凌ぐ超殺人級の限界ヲタクだった。


 それが最も顕著に見られたのはこいつの能力。例えば――


 家のトイレットペーパーを常に残り2センチにしてしまったり、池の水を全部抜くなんて朝飯前。点滴の中身をデスソースに替えたり、虎の尾も踏めば龍の逆鱗にも触れる。つまりこれまでの怪人達の全ての能力を網羅した頂点の怪人。…………にして限界ヲタクなのでまー酷い。

 家のトイレットペーパーを常に残り2センチにしてそこに推しの名前を書いたり。池の水を全部推しのグッズに差し替えるなんて朝飯前。推しに点滴ドーピングをしたり、推しの飼っている虎の尾を踏めば推しの飼っている龍の逆鱗にも触れる……そんな厄介にして限界化した変態の到達点ヲタクだった。


 しかしそんな強敵である尻も腹筋も6つに割れている限界ヲタクだけど、最終的にはキュン死……推しのライブ中に推しの必殺技である「萌え萌えビーム(物理)」を自ら喰らいにいって死ぬというヲタクの鑑のような尊死に……レッドの世界では絶賛されるキャラクター、死に様となった。……私にはよくわからない世界だけど。ってゆーかまず戦えよ。


 そしてこれにより残された小豆ちゃんは、まともに戦ったところで勝ち目がないので当初の思惑通り相手レッドに向かい自爆特攻を仕掛ける。しかし相手レッドは無事で何故か私が死ぬ……というのが当初の思惑だったワケだけど、私は既に死んでいたので代わりにラスボスであるブルーが瀕死の大ダメージを負った。……まあ、ありとあらゆる物理法則は無視しているけど結果としてこれが一番良かったのかもしれない。

 小豆ちゃんはやりたかった自爆特攻が出来たし、私は巻き添えを喰らわないで済んだ。相手レッドも無事だったし、ヒーロー達が普通に戦ったら絶対に勝てないラスボスのブルーに瀕死の大ダメージを与える事が出来た。これ以上はない……上々な結果となった。


 ……と思っていた時期が私にもありました。

 うん。いやまぁさ……絶対に勝てない戦力差を埋めるためにラスボスが理不尽な大ダメージを負うのはいいかもしれないけど、さすがにそのまま死んじゃダメでしょ? ラスボスが1ミリも戦わないで死ぬって前代未聞過ぎ。歴代のスーパー戦隊ヒーローなんて、ラスボスが強過ぎてどうやって倒すの? って思ってたら、ただただ奇跡が起きて運よく勝っただけ……っていうスーパー主人公補正だけで勝つ事もあるのに、ラスボスの方が何もしないで死んでくって……じゃあアンタ何しに出てきたの? って言いたくなるわ。まあ、これも主人公補正と言えば主人公補正なのかもしれないけど。


 それとまあ……一応ブルーは瀕死だったから戦いこそしなかったんだけど、せめてものラスボスらしく最後にヒーロー達と会話はしていた。そしてその最後の会話でわかった事なんだけど――

 これは戦隊ヒーローに限った話じゃなくて漫画やゲームでもよくある定番の一つ。ラスボスが主人公の父親だったってパターン。で、このパターンが今回の私達というか標準戦隊阿部零次でも起きた。そう――ちょっとパターンは外れてたんだけど、まさかまさかのブルーの父親が阿部零次ピンクだったっていうね……。ど〜も前から阿部零次ピンクがおじさんにしか見えないんだよなぁ……とは思ってたんだけど、まさかのブルーの父親だったから1人だけおじさんだった、おじさんが紛れ込んでいた……のに納得出来た。まあ最近じゃおじさんの魔法少女とかいるから戦隊ヒーローのピンクがおじさんでも私は別に驚かない。ただ、それなりのピンク、標準的なピンクって何? とは言いたくなった。おじさんの時点で標準戦隊阿部零次ピンクじゃないのよ……。

 あ、因みにブルーってのはウチのブルーじゃなくて阿部零次ブルーの事ね。つまりラスボスとの最後の会話で何故か阿部零次ピンクと阿部零次ブルーが親子だったっていうのが判明した……という謎の最終回を迎えたのがレッドの世界初の戦隊シリーズ。標準戦隊阿部零次だった。

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