続・小豆ちゃんとグレーちゃん
レッドの世界で悪役を演じる事が板に付いてきた私達。急遽怪人を弱体化させたり、幹部である私達を予定より早く殺られるようにしたりとトラブルも色々とあったけど、とりあえず殺人級怪人の弱体化と、私達の殺られる順番も決まったのでようやく少し落ち着いて過ごせるかな? といったところだった。
――んで。いつものファミレスに昼食を摂りに来たら、やっぱり小豆ちゃんとグレーちゃんが居た。この2人はレッドやブルーと違った意味で会話に興味があるので、私は躊躇なく私だけの指定席に腰を下ろした。
――で。
「ようやく一段落したって感じですね?」
「そうだな。これで少しは暇な時間も増えそうだな……」
どうやらグレーちゃんと小豆ちゃんも私と同じような事を考えていたらしく、このタイミングで一息入れている……って感じなのかなぁ?
「そういえば暇な時間で思ったんですけど~小豆さんって休みの日とかって何してるんですか?」
あーそれ私も気になるな。ってか小豆ちゃんとグレーちゃんが休みの日にどんな事してるのかが気になる。同じ戦隊女子として……。んで小豆ちゃんの答えは?
「ん? 私か……? 知っていると思うが私は普段、部屋に籠って何かを造っている事が多いので休みがあれば外に出る事が多いな。休みが長ければ旅行に行くし、1日とかならば近場でイチゴ狩りやぶどう狩りなどを楽しむな」
「あー! フルーツ狩りいいですよね! 私もよくおやじ狩りとかしますよ!」
うん。グレーちゃん。おやじ狩りってフルーツ狩りの1種じゃないのよ……。
――しかし。
「ほ~おやじ狩りか……正に今が季節だな?」
えっ? おやじ狩りに季節ってあんの? おじさんて年中無休で脂が乗っててずっと旬ですって感じがするんだけど?
「ですよねー。今の季節だと山の奥の方のチョイ悪おやじって香りもいいし、彩りも鮮やかですよね?」
「だな」
チョ、チョイ悪おやじって山の奥の方で紅葉でもしてるの? って、これがホントのおやじギャグとか? いや何を言っているんだ私は……。
と私が心中で1人乗りツッコミをしている間に2人の会話は次のフェーズに移行する。なので次は小豆ちゃんのターン。
「そういうお前はどうなのだ? 休みは主に何をしている?」
「私ですか? 私はゲームのキャラクターらしくゲームをしてる事が多いですね!」
あ、なるほど。
「ほ〜ゲームか。正に今が季節だな?」
ゲームにも季節ってあんのっ!?
「そうなんですよ〜。今の季節だと海で獲れるチョイ悪おやじがいい感じなんですよね〜」
なんでまたおやじ狩りの話に戻ってんの! もしかしてグレーちゃんっておやじ狩りをゲーム感覚で楽しんじゃうタイプの若者って事!?
という私の心の声など無視して小豆ちゃんは続ける。
「しかしゲームとなると――やはり出身ゲームであるホラーゲームがメインとなるのか?」
まあ、アレをホラゲと言っていいのか私には甚だ疑問だけど、グレーちゃんの答えは。
「そうですね。面白そうなのならなんでもやりますけど、結局1番やってるのはホラゲですかね? 私が出てるゲームがホラーパズルとかホラー音ゲー、ホラーギャルゲーなんで」
いやなんでホラーと相性悪そうなジャンルばっかり組み合わせちゃうかな? あ、でも前回は無双シリーズに見せかけたRPGだったもんね。RPGならまあそこまでホラーと相性悪くはないか……?
と思っているとグレーちゃんからこんな言葉が。
「あ、そうそう。今度また新作が出るんですよ。スポーツのホラーゲームなんですけど……」
いや、新ジャンル開拓し過ぎでしょ? 聞いた事ないんだけどスポーツホラゲーって……。
「その名も『実況・転生したら悪役令嬢の座布団だったイレブン』っていうサッカーゲームなんです」
イレブン全員お嬢様の座布団に転生しちゃったってどうやってサッカーするのっ!? そして何を実況するの!
っと考えるのは浅はかな私だけだったらしく、天才である小豆ちゃんはタイトルだけで全然違う答えを導き出していた。
「うむ。タイトルからして主人公はサッカーをして試合に勝利。しかしその直後に実は試合に出ていたチームメイト1人が試合前から既に死んでいた事に気づく。じゃあ一緒に試合をしていたあいつは誰なのか……? という始まり方をしつつ、主人公が試合をする度にチームメイトが1人ずつ試合前に死んでいて誰かと入れ替わっている……というホラーサッカーゲームだな?」
それやっぱり実況いらなくない? なんでそのタイトルで普通にサッカーホラゲを全うしようとするの? …………いや違うっ! それもしかして1人ずつ座布団に転生してるっ? あ、だけどそれだと試合に出てる人物が謎のままか……って真剣に悩んだら負けっ! このゲームを買わされる!
危ない危ない。危うくグレーちゃんの罠にかかってクソゲー……まあ、恐らくだけどクソゲーを掴まされるところだった。




