そして不名誉なランキング
というワケで早速レッドが「1番カワイイピンク」と「赤が似合いそうなピンク」で2冠を達成している中で私達の意味不明な人気ランキングは続く。
「じゃあ次のランキングにいこう!」
妙にノリノリなキリンちゃんに。
「キ、キリンちゃん。なるべくまともなランキングでお願いね」
と私が釘を刺すとキリンちゃんは考え込むようにして。
「まとも……ねぇ。う~ん、そうなると〜じゃあ『自分の事を1位だと思っている2位』とかどう?」
「うん。いや、まぁさっきまでと比べると大分まともな部類だと思うんだけど、それ結果発表の時に『自分の事を1位だと思っている2位』の1位は……っていうややこしい状況にならない?」
しかも本当に1位なのか2位なのかよくわからないし……?
しかしキリンちゃんはどこか不服そうに。
「え〜そぅ? それなら『1位の事を1位にしたくなさそうな1位』の方がややこしくない?」
「いや、それはもうややこしいんじゃなくて矛盾レベルの破綻なのよ。そうじゃなくてなるべくまともっていうのは〜〜そうそう! 芸能人とかのランキングでよくある『異性にモテそう』とか『CM出演本数』とか、あとは『ジーンズの似合う人』『上司にしたい人』『からあげが似合う人』みたいなわかり易いヤツはないの?」
「あーそういうの? そういうのだったら『ジーンズの似合うからあげ』とか『上司にしたいからあげ』とか『からあげのCM』とかあるけど、どれの順位聞きたい?」
どれの順位も聞きたくないわ……。てゆーか最後ただのからあげのCMだし。
「いやそれさぁ、私達の順位じゃなくて殆どからあげの順位なのよ。そうじゃなくて〜……あ、そうだ! それならさ、もっと単純に世代別とか男女別に訊いた『ただの人気ランキング』はわからないの?」
するとキリンちゃんは小動物のクセに器用に指をパチンっと鳴らし。
「なるほどっ! つまりなんのランキングかじゃなくて、単純にどの層で誰が人気かだけを調べようって事ね?」
「そそそ」
「オッケー! じゃあ早速だけど『福神漬けしかないカレー屋さんに居た20代女子』567人に訊いた人気ランキングね!」
それは最早カレー屋さんじゃなくて福神漬け屋さんなのよ……。いやそれよりそのお店に20代女子が567人も居た事に驚きだわ。
とか考えていると、キリンちゃんから意外なセリフが飛び出す。
「この層で1位になったのはつみれだね!」
「えっ? 嘘でしょっ!?」
「いや嘘じゃないよ。567票の満票で1位だよ」
ええぇぇ! 満票で1位!! 私その層でそんな人気あったの…………正直あんまり嬉しくないけど。
――と。
「ほぅ? ピンクをそこまで支持する層がいたとは驚きだな?」
突然入ってきたのはレッドだったけど。
「ホントよね。自分でもちょっと驚いちゃった」
掛け値なしで私って不人気キャラだろうから殆どが最下位。んでたまに4位があるくらいかな~って思ってたけどまさかブッチギリの1位があるなんて思わなかった。思わなかったんだけど――キリンちゃんが言うには。
「そう? でもつみれを1位に支持してる層って他にもあるよ?」
「え? ホントに?」
「ホントホント。えっとね『とある小学校付近に居た不審者』171人に訊いてみたランキングでも1位だったよ」
「ちょちょちょっと!! 大丈夫なのその小学校!!」
私の1位なんてどうでもよくなるくらい衝撃的なんですけどっ!
「行列の出来る小学校だな……不審者の」
嫌な感じで嫌な事言うなレッド!
「因みにつみれが獲得したのは171人中168票でぶっちぎりの1位ね」
だからキリンちゃんも……全然嬉しくないのよ。そんな層にばっか絶大な支持を得ても。いやそれより――
「てゆーかよく不審者もワザワザ質問に答えてくれたよね……。まあ、不審者っていっても全員が全員変質者や犯罪者ってワケじゃないんだろうけどさ」
私が後ろ頭に汗を垂らしながら呟いていると。
「その通りだな。しかもあくまで不審者。場合によっては人間ではなくUMAや妖怪、宇宙人や幽霊。或いは変態のUMAや妖怪の変態、変態宇宙人の幽霊という可能性もある」
ねぇよ。
って言いたくなったけどレッドの言う通りかもしれない。けどそれはあくまで不審者の「目撃情報」であるならその可能性もあるけど、今回は質問に答えているから人外共ではないはず……と私が考えているとキリンちゃん。
「レッドの言う通りだね。実際171人中人間だったのは腐女子の3人だけだったらしいよ」
「ちょっ、腐女子を腐審者扱いしないであげてっ! 確かに腐審者っぽい動きしてたのかもしれないけど……。てゆーか人外共真面目に質問答え過ぎでしょっ!」
と私が喚いているとキリンちゃんは小首を捻り。
「そう? でもこれ時間がなくて171人にしか訊けなかったらしいから、時間があればもっといろんな不審者や変態に訊けたらしいよ?」
「なんでそんな豊富に変態不審者が揃ってるのよ! その小学校は人外魔境にでもあんのっ!」
という事でまさかの人外からの支持もあって私が2連続で1位という結果になったところで再びレッド。
「よし。ではもう良いだろう? ピンクを1位に支持している層のランキングはそれくらいにして、ここからはまた層別での普通のランキングに戻せ」
「はいよっ!」
っと元気に返事するキリンちゃんだけど。以降はまぁ……まあまあ普通のランキングを聞いていき、単純にそれだけで決めたワケじゃないけど、それでもランキングを基に私達の殺られる順番を決めた結果。意外な事に殺られるのは――
グレーちゃん
キリンちゃん
寺田さん
私
レッド
の順番になった。




