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闇の宮廷道化師人気投票

 先週は殺人級の怪人達の弱体化を図り、今週のミーティングで何をするかと言えば――それは私達幹部の殺られる順番を決める事だった。正直なところ最初に殺られる人の順番は差し迫っている……とまではいかないけど、そこまでゆとりがあるワケでもないというのが現状。なので私達は今日で殺られる順番……と言う名の後半の大雑把なストーリーを練り上げる事にした。


 で、全員の共通認識として。最後に殺られるのはラスボスである魔王のブルーに決定。

 そしてラス2。つまりブルーの直前に殺られるのは小豆ちゃんに決定した。理由は設定上でも実際でも怪人を造り出しているのが小豆ちゃんで、仮に6人の中で最初に殺られた場合、以降一切のザコ怪人を登場させる事が出来なくなる。つまり逆の言い方をすれば小豆ちゃんをラス2にすれば最終決戦直前までずっとザコ怪人が出てきても不思議ではない状況になる。そうする事によってギリギリまでザコ怪人が登場するのはストーリーに厚みが出るし応用も利くのでラス2は小豆ちゃんという事になった。


 なのでラストとラス前までは順調に順番が決まったワケなんだけど――


 問題はこっから。

「あのさ、ラス3はレッドで良くない? 設定上……まあ実際にもだけどレッドってラスボスであるブルーより戦闘力が高いって設定じゃん? なら真っ先に負けるワケないし、最強が早くに退場しちゃうとその先ヒーロー達を苦戦させるのが難しくなっちゃうと思うんだよね?」

 と意見してみたものの、これに反論してきたのは当のレッド。

「いや、まあ確かに1番最初に負けるのは考え難いが3番目か4番目辺りならありじゃないか? 最強である俺を倒して残りは楽勝……と思わせておいて意外な伏兵。搦め手でルーキー達を苦戦させる、バナナの皮を剥いて皮の方だけを食べるような意外な猛者がいる展開はありだろう?」

 意外過ぎるわ。でもそこを除けばありな展開ではある。

「けど、じゃあどうする? そうなると誰から殺られても問題なさそうじゃない?」

 それ即ち順番を決める決定打がないって事なんだけど――

「なら僕から提案がある」

 キリンちゃんだった。

「残りの5人の順番は人気投票で決めない? 僕らは所詮悪役だけど、それでも人気の高い人がなるべく残った方が視聴率は稼げるんじゃないかな?」

 あーそうか。私達の本懐ってレッドの世界の人達への娯楽提供だもんね。そうなるとこれこそが真理じゃないかな? と思ったのは私だけじゃなかったらしく、残りの殺られる順番は人気の高い……厳密に言えば低い順という事で満場一致となった。


 ――んで。

「じゃあ早速だけど、既にネットで情報は集めてあるから人気ランキングを発表するね。あ、モチロン順番が決まってるブルーと小豆は抜いてあるから!」

 と言ったのは勿論。ウチのチームのマスコットでありスーパーコンピューター化しつつあるキリンちゃんだった。

「ではまず『自分の事を1番カワイイと思っているピンク』ランキング第1位は……」

「ちょっっっと待ったぁ!」

 これはもちろん片手をかざした私。

「いやあのさ、それ私しかあり得なくない? 自分の事を1番カワイイと思っている『ピンク』の時点で私しかエントリー出来ないじゃん」

 しかしキリンちゃんは小首を傾げ。

「え? いやでもこれの1位レッドだよ?」

「なんでっ!? どの層が投票したのっ? てゆーかただの人気投票じゃなかったの?」

「いや、まぁただの人気ランキングだけより、色んなランキングを集めた方がどの層に需要があって、どの層が人気を支えているかわかり易いと思ったからさ」

 うん。まあ理屈はわかったけど――

「じゃあ他にもまだランキングがあるのね?」

「そうだね。例えば『赤が1番似合いそうな人』とかあるよ」

「だからそれレッドしかあり得ないじゃん!」

 と私がキリンちゃんに突っ込むも、透かさず小豆ちゃんがカットイン。

「……とは限らないぞつみれ。そもそもうめぼしは変身をしないし、普段から赤い服を着ているのや赤いアイテムを装備しているのを見た事がない。なので実際に似合うかどうかは想像するしかないので票を獲得出来ているかどうかは別の話だ」

 あ、そう言えばこいつが赤い服とか着てるの見た事なかったな? とレッドに視線を向ければ。

「当然だな。俺は赤が大嫌いだからな!」

「うめぼしの分際でっ!? 赤が大嫌いなレッドって前代未聞過ぎるでしょ!」

「それにこれは俺の世界の人間の票。つまり俺達が本当はおかず戦隊ごはんですよだとは知らない。俺がレッドだとは知らないで投票しているという事だ」

 あ、そっか。あ〜だから1番カワイイピンクも私じゃなくてレッドだったのか。じゃあ実際は投票先もコードネームで投票されてたのかな?


 というところで戻ってキリンちゃん。

「因みに『赤が1番似合いそうなピンク』の1位もレッドだったよ」

 結局ぅ? しかもさっきと若干ランキング内容変わってるし……

「うむ。俺のファンは良くわかっている。ファンに感謝だな」

 と一人しみじみと頷くレッドだけど。

 ホント……あんたのファンてよく調教されてるわ。ってかあんたってレッドだとは知られてなかったとしても、世界を救った勇者としては知られてないの? まあ別にどっちでもいいけど。

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