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秘密基地 間取り

「良し。とりあえず建設予定地は決まった事だし、次は間取りについて話し合おう」

 小豆ちゃんの言葉に無言で頷く私達。

「まずラスボスの秘密基地に絶対的に必要なものと言えば――謎の覆面レスラー専用のタイツ売り場だろうな?」

 私以外全員が無言で頷く。

「えっ? ちょっと待って。あの新種の変態でラスボスだったスク水兄弟の実家に謎の覆面レスラー専用のタイツ売り場があったけど、あれってラスボスが居るところに必ずあるものなの?」

 これまた私以外全員が無言で頷く。


 えぇ〜。そうだったの……初めて知ったんだけど?


 しかし多勢に無勢。そして反論の材料がなかったので私達の秘密基地にも謎の覆面レスラー専用のタイツ売り場が設置される事になった。

 続いてまた小豆ちゃん。

「では謎の覆面レスラー専用のタイツ売り場以外を決めたいと思うが――。あくまで防衛拠点のようなものであり、居住する訳ではないがそれでも風呂とトイレはあって良いと私は思っているが皆はどうだ?」

 そうだよね。トイレは当然としてお風呂は本格的じゃなくてもシャワーくらいはあってもいいよね。ただ私はユニットバスによくある「浴室内にトイレがある」というアレが嫌いなので一応確認のため。

「あの小豆ちゃん。私もトイレとお風呂は賛成なんだけど、トイレとお風呂が一緒って事はないよね?」

 すると小豆ちゃんは眼をまん丸にし。

「つみれお前……トイレとお風呂が一緒って浴槽でウンコをするという事か?」

「ちがっっ! トイレとお風呂が一緒ってそういう意味じゃな……」

 と言いかけていると私の言葉を遮ってブルー。

「そうですぞ博士殿。ピンク殿は便器を浴槽にするタイプの方に決まっているではないですか?」

「あぁ、そっちのタイプか」

「いやそっちのタイプじゃないし! てかどっちのタイプでもないしっ!」


 ――結局。トイレとお風呂はちゃんと別々でした。


 で。小豆ちゃん。

「よし。あとは私としては軽食を摂ったりする事もあるだろうと踏んでキッチンも作っておいて問題ないと思っている。なのでそれ以外で皆の意見をくれ」

 あーそうだよね。結局は生活出来そうなくらいの環境にしちゃった方が快適ってモンだよね。そう考えるとキッチンはありだね……としていると脇からレッドが。

「博士。どうせならドッグランやキャットタワーもあった方が良いのではないか?」

「おお! それもそうだな!」

 え? ちょっと待って。

「ド、ドッグランにキャットタワーって犬と猫を飼うって事?」

 私としては小豆ちゃんとレッドのどちらが答えてくれても構わなかったんだけど、答えたのはレッドで。

「飼うも何も基地の内部にドッグカフェと猫カフェがあるんだからあった方が良いだろう?」

「ドッグカフェと猫カフェあんのっ!? いつの間に確定したのその2つ?」

 と私が驚いているのを尻目にレッドは鼻で笑い。

「2つ? バカを言え、ドッグカフェと猫カフェ以外にも人間(ひと)カフェが確定しているだろうが!」

「ええっ? なに人間(ひと)カフェって……初耳なんだけど?」

「なんだ知らないのか? カフェ内に数匹の坊さんが放し飼いになっていて、走ったりゴロゴロしたりしているので好きなだけ坊さんと触れ合う事が出来る。そして金さえ払えば坊さんに托鉢(エサ)を与える事が出来る夢のようなカフェだ!」

「夢のようなカフェっていうより失礼だけど悪夢のようなカフェね」

 と私はレッドに言ったワケだけど。

「魔王の秘密基地に悪夢のカフェはピッタリですな? はっはっはっ!」

 と高らかに笑い声を上げたのはブルー。

「いや魔王の秘密基地にお坊さんっていうか僧侶が複数人普通に居るのがまず問題でしょっ! てゆーか人間カフェっていうよりボウズカフェじゃん!」

 っと叫んだ時に気が付いた。


 こ、これが……寺田さんのやりたかったボウズカフェ!?


 私が素早く視線を這わせれば、寺田さんが口角を釣り上げサムズアップをしている。

「て、寺田さんがやりたかったボウズカフェの業務形態ってメイドカフェのお坊さんバージョンじゃなくて、猫カフェのお坊さんバージョンだったんだ……」

 私が誰となしに呟くとレッドが続く。

「ああ。俺もメイドカフェという名前を初めて聞いた時、野生のメイドが放し飼いになっているカフェだとばかり思っていたからな」

「いや今そんな(はな)…………野生のメイド? なに野生のメイドって?」

 するとレッドは何故か得意気に。

「おいおい、まさか知らないのか? 草原や砂漠、或いは山や川や海に棲んでいるメイドで別名『野良メイド』。そして山に棲んでいれば山メイド、海に棲んでいれば海メイドなんて呼ばれ方もしている野生に生きるメイドの事だぞ?」

「だから知らないっての。天然記念物より珍しいんじゃないの?」

「そんなバカな。テレビで『浜に打ち上げられた海メイドを地元の漁師達が海に還した』とか『海メイドがダイオウイカを捕食するシーン』とか『海メイドが山の生態系を荒らしている』とか良く見るだろう?」

「いや最後! なんで山メイドじゃなくて海メイドが山荒らしてんのっ? 海メイドだけやたらアグレッシブじゃない?」

「理解したようだな? そんなアグレッシブな野生のメイドを放し飼いにするカフェだと流行らないから寺田はボウズカフェをやりたいと言ったんだ。坊さんは野生でも基本大人しいからな」

 そーゆー事なのっ? いやまあアグレッシブなお坊さんも嫌だけどさ……。


 んで結局。私達の秘密基地は謎の覆面レスラー専用のタイツ売り場、トイレ、お風呂、キッチン、ドッグカフェ、猫カフェ(キャットタワーはここに収納された)、人間カフェ、ドッグラン、あとついでで玉座の間という謎だらけの間取りになった。

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