表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/92

新怪人

 とりあえず寺田さんも仲間に加わり、闇の宮廷道化師の最高幹部である7つの大便……じゃなかった7つの美徳が揃った私達。なので今日はその7人で初のミーティングなワケだけど――


「みんな聞いてくれ。知っての通りルーキー達も序盤の最弱怪人達を倒し、戦隊ヒーローとして確実にステップアップしていると思う。なのでそろそろ次の段階……怪人の戦闘力を少し上げても良いのではないかと俺は思うのだが?」

 というレッド。

 う〜ん。まあそうだよね。標準戦隊阿部零次だっけ? 彼等も戦隊ヒーローとしてそろそろ慣れてきただろうからレッドの言う通りかもね……と思った私は口を開く。

「いいんじゃない? 私は賛成だけど?」

 と。

「私も賛成だな。というより正直なところ、これ以上戦闘力0の怪人を造り続けると不自然で奴等に何か勘付かれる恐れがある」

 という別角度からの意見を出してきたのは言うまでもなく頭脳&怪人製造担当の小豆ちゃんだった。

 そしてこの言葉があまりに説得力が高かったため、私達は全員の意見を纏めるまでもなく1段階上の怪人を造る事に決めた。


 ――ので。

「では早速だが俺が考えてきた怪人がいる」

 と早速前のめりなのはやはりレッド。

「今までの怪人は戦闘力が皆無なのはもちろん。人間への害意も低く設定されていたのは知っての通りだ。なので『戦闘力を上げる=害意を上げる』と考えてもらって構わない。それを踏まえた上でこの怪人を基準として皆の意見をくれ」

 なるほど。わかり易い……と頷く私達。

「では俺が考えてきた怪人だが。怪人『池の水ぜんぶ抜く』だ」


 ど、どっかで聞いた事あるーっ! てゆーかテレビで見た事あるーっ!


 ……でもそっか。単純に池の水を抜くだけだったらそこそこの悪行か。……と私が納得していると。

「なるほど。それが基準となるレベルですか……では私からも宜しいですか?」

 と片手を上げたのはブルー。

「構わん。遠慮なく言ってくれ」

「ふむ。実は前もって『人のふんどしで相撲を取る力士』という怪人を考えていたのですが……」

 うん。別に力士は必要ないけど『人のふんどしで相撲を取る』って、あまりいい意味では使われない言葉だから小物だけどそこそこの怪人にはなりそう――って考えると基準にピッタリの気がする。そんで?

「今のレッド殿の基準に合わせると『人のふんどしで池の水ぜんぶ抜く力士』という怪人は如何か?」

「ほぅ? 悪くないな……」

 どこがっ!? 何やってんのその力士? 逆にそれをテレビで見てみた…………あ、そっか。よく考えたら私達がその怪人造ったらテレビになるのか。

「なるほど……では私からも良いか?」

 と片手を上げたのは小豆ちゃん。

「構わん。どんどん言ってくれ」

「今の怪人と対になる怪人で『池の水ぜんぶ力士』というのはどうだろうか?」

「それも良いな?」

 いいのっ? 私には何がどう対なのかわからないんだけど? だってギュウギュウよ? 力士が池にすし詰めよ?

 ――と。


「すまん! みな少し静かにしてくれっ!」


 急にレッドが突き立てた人差し指を自分の口に宛がう。

「うむ……うむ……なるほど」

 なんかブツブツ言いながら小さく頷いてるけど……何してんの? っと考えているとレッドは指を外し。

「実は今、寺田から念話が送られてきた」

 あ~そういう事? っと私は寺田さんに視線を泳がし一瞬で戻す。

「そして寺田は『ふんどし池』と『ふんどし水』で迷っているそうだ」

 どっちでもよくないっ? その怪人達に大差ないでしょう?


「あの……ちょっといいですか?」

 と、ここで申し訳なさそうに手を上げたのはグレーちゃんだった。

「えっと『池の水ぜんぶ抜く』と同レベルの怪人だと『父のしり毛ぜんぶ抜く』辺りが妥当かなって思うんですけど?」

 斜め上から急角度で飛び道具撃ってきたと思ったらそれが更に変化球だった!! なのに怪人のレベルは同じくらい!?

 しかしレッドは納得いかなかったのかアゴに手を当て首を捻る。

「う~む『親父のケツ毛ぜんぶ抜く』だと池に比べて少し規模が小さくないか? インパクトにも欠けるので――『親父のケツ毛ぜんぶテロリスト』とかはどうだ?」

 インパクト出過ぎでしょうぅ? というかテロリストどこから出てきた!


 ――と。


「――んっ!? どうした寺田ッ!?」

 寺田さんからのテレパシーかレッドが急に片手で顔を覆うけど……そのポーズなんか意味あんの? 厨二っぽいけど受信側としてはある程度集中しないとよく聞こえないからそうなっちゃうの?

 ……という疑問はさて置いて、独りブツブツ呟くレッド。

「うむ。うむ……なるほど。『ふんどしテロリスト』略して『ふんどリスト』だな? わかった」

 あ……もう結構です。喋らなくてもわかりました。

「みな聞いてくれ。今、寺田からまた念話がきたのだが『ふんどしテロ』を追加して欲しいそうだ」

 なに飯テロみたいにサラッと嘘吐いてんのこいつ!


 しかしレッドは知らんぷりか涼しい顔で。

「とりあえず新ステップの怪人としてこれだけの案が出れば十分だろう。あとは被り気味の奴を省くのと博士が造りたい奴に絞る作業で良いんじゃないか?」

 うん。まあ確かにね。


 ――というワケでこのあと私達は選定を行い『池の水ぜんぶ抜く』『人のふんどしで相撲を取る力士』『池の水ぜんぶ力士』『ふんどし水』『父のケツ毛ぜんぶテロリスト』『ふんどリスト』辺りを新怪人として抽出した……確か。よく覚えてないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ