表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/92

小豆ちゃんとグレーちゃん

 なるほど。第3シーズンの平日にいつものファミレスに来ると小豆ちゃんとグレーちゃんが居るのね……?


 ――というワケで。私はたまの小さな贅沢であるファミレスでの昼食を摂りに来たワケだけど、どうやら第3シーズンでは小豆ちゃんとグレーちゃんが居る……という事をたった今確認したところだった。

 まあ正直この2人ならレッドとブルーの会話ほど興味はないというか、女子2人だしどんな会話しててもいいとは思うんだけど……やっぱ今までの流れからすると聞かずにはいられない。なので私はコッソリと指定席に腰を下ろした。


 ――んで。

「それにしても、まさか私達が異世界を侵略する魔王一味になるとは思いませんでしたね?」

 これはグレーちゃん。

「そうだな。嘘侵略とは言え戦隊ヒーローが悪役だからな……数奇な話ではある」

 そしてこれは小豆ちゃん。

 まあ、いつもみたいなレッドやブルーのおふざけ話じゃなくて神様の依頼だもんね。私も奇妙な話だとは思ってた。


 それはそれとしてグレーちゃん。

「そういえば自分達が魔王の立場になって思ったというか思い出したというか――。よくRPGでラスボスの魔王が1番最初に直々に勇者を殺しに行かないのってなんでなんですかね? まあ私達は嘘侵略だからいきなりヒーロー達を全滅させに行くなんて事しませんが、普通の魔王ならわざわざ勇者が強くなるの待ってないでレベル1の時に倒しちゃえばそれでめでたし、めでたしですよね?」

 いや、それは全然めでたくない気がするんですけど? まあ、それは置いといて小豆ちゃんの答えは。

「まあ、そういう作品がない訳でもないが一先ずそれは置いておくとして。理由はいくつか考えられる。例えばそもそも魔王が勇者を殺す気などなかった。他には殺しに行かないのではなく殺しに行けない。あとは最初から勇者は死んでいて、勇者だと思っていた奴は自分の事を勇者だと思い込んでいただけの野菜ソムリエだったから魔王は無視していた……といったパターンだな」

 最後のヤツそんな事ある? …………あ、あるか。野菜ソムリエじゃなくてただの一般人だったってパターンで。

 と私が考えているけどグレーちゃんと小豆ちゃんの会話は続く。

「えっと? 殺す気がないのと殺しに行けないっていうのが良くわからないんですけど具体的にはどういう感じなんですか?」

「そうだな。まず魔王が勇者を殺す気がないパターン。これは魔王が如何なる目的でもって人類を侵略しているかによる。例えば人間を絶滅させるのが目的なら最初に勇者を殺しに行くだろう。だが、魔王が農耕民族で田んぼ……要は石高を増やすために土地を支配しようとしているならば無駄に人を殺したりはしない。なので最初に勇者も殺さない……となる」

 魔族じゃなくて農耕民族の魔王……ねぇ。せめて狩猟民族であって欲しかったけど、でもまあ戦国武将が石高増やすためによその土地を攻める感覚って事ね?

 という事はグレーちゃんも当然理解したようで。

「なるほど。魔王は体の9割がお米で出来ている。魔王を斬れば血じゃなくて餅が出る。そして魔王はおはぎさえあればごはん何杯でもイケる! って言われているくらいお米好きで有名ですからね! 領地拡大が目的なら十分あり得そうです!」

「だろう? 魔王は3日もおむすびが食えないと禁断症状が現れるくらいのお米中毒者だからな。パン派のくせに……」

 そこまで言っといてパン派なのっ!

「え? 魔王ってパン派だったんですか? 魔王の名前が『うどん』だからてっきりごはん派だと思ってました」


 魔王うどん……農耕民族。主食はごはんだけどパン派。


 あーもう支離滅裂だよ……。でもまあ確かにそんな魔王が居たら最初に勇者を倒しに行くとは考え難いのかな……で? もう1個のパターンは?

「じゃあもう1個の殺しに行かないんじゃなくて殺しに行けないっていうのはどういう場合なんですか?」

「うむ。これはこれでいくつかあるが、その内の1つとして――勇者が住んでいる地を治めている王。この王が世界最強でハッキリ言って魔王ですら歯が立たない。だから魔王もその地に手が出せないでいる……というパターンだな」

 え? それもう勇者じゃなくて王様が魔王を倒しに行った方が良くない?

 けどそれは置いといてグレーちゃん。

「それは確かに勇者を殺しに行けませんね? しかもその王様が城付近の凶悪なモンスターを狩りまくっていると考えれば、勇者が冒険を始めた時に最初はザコモンスターしかいないのも納得です!」

 うんまあ……腑に落ちないけど辻褄は合うね……?

「そうだな。モンスターの首を刎ねている時が一番楽しい……モンスターの首を3日も刎ねないと禁断症状が現れると王は言っていたからな。パン派のくせに……」

 実際に言ってたのっ! 大丈夫その王様っ? 明らかに精神どこか病んでない? パン派のクセに!!


 ……けれど王様の言葉と言う名の小豆ちゃんのセリフは続く。

「そして出来る事なら農耕民族の魔王は直接手にかけるのではなく……兵糧攻めで落としたいとも言っていた」

 魔王うどんと同じゲームの王様だったのっ!? ロールプレイングゲームでラスボスの魔王を兵糧攻めするって聞いた事ないんだけどっ!! しかもあの魔王お米ないと3日で禁断症状出るから寧ろ兵糧攻めが1番有効かもしれないけど王様もその間モンスターの首を撥ねないといい勝負になりそう!?


 とか考えているとグレーちゃん。

「う〜ん。なるほど〜こうやってちゃんと考えると魔王が最初に勇者を殺しに行かない理由って結構あるんですね? 今度私が出てるゲーム『転生したら悪役令嬢の座布団だった件』のRPG版『真・転生したら悪役令嬢の座布団だった無双』が製作されるんですけど。それのラスボスを魔王うどんにしてもらって最初に私達を殺しに来ないようにした方がよさそうですね?」

 そ、そのタイトルで無双シリーズじゃなくてRPGなの?

 相変わらずタイトル詐欺も甚だしいゲームばっかり作ってるのね?


 ……あ! でも私、無双シリーズよりRPGの方が出来るから気が向いたら買ってみよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ