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怪人というより道化ばっかりな気が……?

「みんな聞いてくれ」

 これを言ったのは――明日いよいよ異世界への嘘侵略を始める前日のミーティングでの小豆ちゃんだった。

「先週話した怪人『常にMPが足りない魔法使い』が完成した。なので明日の嘘侵略には何も問題ないのだが、ただ残念な事にこいつが人を殴ると地面から食パンが生える、砂漠が緑になる、は出来たのだが私の力量不足故にジジィの曲がった腰が治るだけはジジィを直接殴らないと治せない仕様になってしまった……。すまない、私の技術力ではこれが限界だった」

 非常に口惜しそうに下唇を噛む小豆ちゃんだけど……


 ええっ?? 食パン生やせたり砂漠を緑に出来るのに腰だけは直接じゃないとダメってどんなオーバーテクノロジー?


 と私が頭に疑問符を浮かべているとレッド。

「いや、博士は良くやってくれた。博士の言う通り現状それでも問題ないはずだ。なので明日は予定通りそいつで嘘侵略を開始しよう!」

 まあ特段反対意見はないか、みんな無言で頷いていた。


 というワケで気を取り直して小豆ちゃん。

「――でだ。私からの提案なのだが早速次の怪人を決めたい。というより、これからの毎回のミーティングは常に次の怪人を決める→私が造る→決める→造るの流れになると理解しておいてもらいたい」

 ま、そりゃそうだよね。

「なので今日のミーティングは次の怪人を決める。それとレッド、グレー、つみれのコードネームを決める。この2つを話し合いたいが、まず次の怪人を決め余った時間でコードネームを決めたい……皆それで良いか?」

 とりあえずコードネームは最悪来週のミーティングでも間に合うもんね。となれば次の怪人を優先……というのは全員が理解していたので、まずは怪人から決めるという事がスムーズに決まった。


 そして怪人決めで最初に口を開いたのはレッド。

「まず俺からいいか? 次の怪人は第1の怪人より多少強くなっても問題ないとは思うが、第2話目と考えるとまだまだ弱い怪人でなくてはならない。そこで俺が提案するのは怪人『人をダメにするクッション』だ」

 ヨ、ヨギボー?

「こいつは名前の通りクッションなので戦闘力は皆無。但しターゲットとなる人間の思考を読み取り、その人間の理想の異性に変身し恋人となる。しかもその際に金を無制限に工面してくれるという怪人だ」

 あ~……っと思いながら私は重く口を開く。

「うん。いや、あのさ……人を堕落させる怪人ってコンセプトはいいと思うんだ……。けどそれクッションである必要ある? ただの『人をダメにする怪人』で良くない?」

「はっ!?」

 目を丸くして驚くレッドだけど――。ウソでしょう!? このリアクション……こいつ本当に気付いてなかった? いつもなら絶対ワザとなのにっ!

 しかしそんなレッドにいらん助け舟を出す男……ブルー。

「なるほど。ではピンク殿。こういうのは如何か? 怪人『人をダメにするクッションをダメにするクッション』というのは?」

「いやだからそれ結局クッションじゃん! しかも端的に言えばクッションをダメにするクッションでしょ? 人を堕落させない時点で怪人としても失格じゃん!」

 ホント助け舟というより泥舟を出す男ね……。としているところに遠慮がちに片手を上げたのはグレーちゃんで。

「あの……クッションにこだわる必要がないなら――怪人『人をダメにするクッション。ダメ、ゼッタイ』とかどうですか?」

 薬物乱用防止の標語みたいになってる!

「た、確かにクッションを否定はしているんだけども……でも人をダメにするクッションをダメ、ゼッタイとしたら。ただの健全を推奨するだけの怪人みたいになっちゃってるから結局ブルーと一緒で怪人としては失敗じゃない?」

 ――と。

「なら堕落を誘発するなどではなく、ちゃんと人に嫌がらせをする怪人ならいいんだな?」

 と突如として話に復帰してきたのはレッドだった。

「うん。まあその方がわかり易くていいんじゃない? それでいて序盤の怪人は戦闘力が低いのが理想なんでしょ?」

「ああ、その通りだ。ならば俺が新たに提案するのは――カツカレーのカツをカレーにすり替える怪人。その名も『チャーハン』だ!」

 紛らわしい……名前が紛らわしい。けど、レッドにしてはまだマシな怪人なのかな~?

 と思っているとやはり横からしゃしゃり出てくるブルー。

「私も1人思い付きました。常に家のトイレットペーパーを残り2センチにしてしまう『怪人3センチ』というのは如何ですかな?」

 その能力で名前が3センチ? 何がどう3センチなのかお前には説明する義務がある。但し私にその説明を聞く義務はない。


 なので気持ちを切り替えていると――


「ふむ。とりあえずは十分なのではないか? というより私としては今挙がった怪人達を順次発進させていけばしばらく保つと思っているので、残りの時間はつみれ達のコードネームを決める時間に当ててもらって問題ないぞ?」

 と。一旦話を切り上げてくれたのは小豆ちゃんだった。


 うん。まあ正直。怪人としては3流ばっかりな気がするけど、まだまだ序盤の弱い怪人としては上出来なのかな……?

 とりあえず怪人製造係りの小豆ちゃんが大丈夫と言っているから次の議題に移ろう。

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