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最初の怪人

「で? どーするの? とりあえず私達の軍団名が『ダーク宮廷道化師ジェスター』に決まったのはいいけど。出来たら今日中に私とレッドとグレーちゃんのコードネームも決めといた方がいいよね?」

 と私が誰となしに問いかけるも。

「いや待てつみれ。それよりも先に第1話に登場させる怪人を決める方が先だ。恐らくその方が良い」

 と返してきたのは小豆ちゃんだった。

「え? そうなの?」

「ああ。これは私の推測だが神は悪の怪人を創造出来ないとレッドは言っていた。つまりある程度――ギリギリ悪の怪人と呼んでいいのかわからないレベルの者なら神でも創造出来るのだろうが、まともな悪の怪人となると本当に私が造らなければならない……と私は読んだのだが、どうなのだレッド?」

 この言葉に全員がレッドに視線を向けると。

「さすがは博士。魔王の頭脳と呼ばれる事はある……博士の推測通り神は本格的な怪人は創れない。精々人間に悪戯や嫌がらせをする程度の奴だ。なので本格的な怪人を造るのであれば博士の手を借りるより他はない。だが俺としては初めは弱い怪人からスタートさせるべきだと判断したので博士の手を借りず神に任せようかと思ったが……博士はどうしたい?」

 あ、なるほど。つまり神様に任せるなら別にいいけど小豆ちゃんが造る場合は今からどんなヤツにするか決めて、来週までに仕上げたいって事ね? そしてそれを提案するって事は小豆ちゃんの答えは――

「やはりそうだったか。ならば私が引き受けよう。おかず戦隊ごはんですよとしての活動はなくなったので週1で怪人1人を造るなど造作もなければ面白そうだしな」

 ぞ、造作もないんだ。


 そして小豆ちゃんはここで全員を一望し。

「差し当たっては最初の怪人を今から決めたい。最悪第1週目はこいつさえいれば、私達は声とシルエットの出演だけで済むだろう?」

 ああ! なるほど! 確かに軍団名さえあれば後は怪人に任せて、私達はいざとなったら「????」のシルエットで出演しとけばコードネームは急いで決める必要がない……だから怪人を先に決めようって事ね。じゃあ――

「了解了解。じゃあやっぱり第1話目だから小豆ちゃんが造るにしても弱めの怪人の方がいいよね?」

 するとレッドが。

「その方が良いだろうな。俺は一応『標準戦隊阿部零次』のステータスを見させてもらったが、ブラック以外は戦隊名の通り標準的な奴等だったな。唯一の特徴はブラック以外全員に『10年に1人の逸材』と注釈が付いていた事くらいだ」

 10年に1人の逸材が4人同時に出てきたってボジョレーヌーボーもビックリね。

 ――と。

「なるほど弱い怪人ですか……。では宜しいか?」

 と軽く片手を上げたのはブルー。これに小豆ちゃんは上半身だけ身を乗り出し。

「ほぅ? もう思いついたのか……聞かせてもらおうか?」

「ふむ。怪人『常にMPが足りない魔法使い』は如何か?」

 弱っ!

「ほほぅ? つまりMP0の魔法使いを造れば良い訳か……MP0で良いなら造るのも楽だな。悪くない」

 小豆ちゃんは満足そうに頷いているけど、念のため釘刺しておこう。

「あのさMP0の魔法使いは割といいと思うんだけど、代わりに物理攻撃がアホみたいに強いとか良くあるパターンじゃないよね?」

 するとブルーは朗らかに笑い。

「はっはっはっ。まさか! どちらかと言えば物理攻撃も最弱の部類。人間を殴れば地面から食パンが生えてくるような魔法使いです」

「MP0なのにそんな事出来んのっ!」

 ――と。

「俺からも1つ良いか?」

 と片手を上げて話に割り込んできたのはレッド。

「俺的にはもっと弱くても良いと思っている。なのでコイツが人を殴ったら砂漠に緑が増えるというのはどうだ?」

「だからなんでMP0なのにそんな事出来るのよっ! もう悪の怪人のはずなのに、こいつ1人居れば食料問題も環境問題も解決出来そうじゃん!」

 と私は思ったんだけど小豆ちゃんは違ったらしく。

「いや、正義のヒーローなら人を殴らずに食パンを出し砂漠を緑に変える。なのにこいつは人を殴ってそれをやるんだから凶悪……紛れもなく悪の怪人だ」

 うん。まあ確かにそれはそうなんだけども……というところでレッド。

「そう考えるとこいつはもっと弱体化するべきだな? 例えばコイツが人を殴るとジジィの曲がった腰が治るというのはどうだ?」

「いやどうだ? じゃなくてそもそもとして殴るの止めないと根本的な解決にはならなくない?」

 私の言葉にレッドはアゴを撫でつつ。

「確かに言われてみれば……ならコイツが人を殴らないでも攻撃出来るように魔法でも使えるようにするか?」

「魔法が使えない魔法使いだから最弱の怪人だったんじゃないのっ!? それだったらもう大した攻撃力じゃないだろうから殴る攻撃でいいよ。地球とお爺さんには優しいし……」

「そうか……ならばそれでいくか」

 とレッドはここで小豆ちゃんとブルーの方へと体を向け。

「では博士『常にMPが足りない魔法使い』はその方向で頼む。ブルーも問題ないな?」

「無論」

「任せておけ」

 そしてブルーと小豆ちゃんが順番に返事をするけど――


 うん。まあ……第1話に登場する弱々怪人としてはいいんじゃないかな……? ただコイツを造るのは小豆ちゃんだけど、本当にまんまコイツを造れるなら小豆ちゃんって1人で食料問題や環境問題解決出来るって事だよね?

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