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銀幕のスター?

 レッドの話では追加の56人が揃い次第映画に切り替わるって話だったけど――

「でもさ、おおよそでいいんだけどいつ頃から映画に切り替わるとか聞いてないのレッド? キリンちゃん? その方が心構えし易いんだけど?」

 私の質問にレッドとキリンちゃんは1度顔を見合わせると、口を開いたのはレッドだった。

「そうだな? まず明日だが明日は総集編を挟むからバトルは休みだそうだ」

 それを聞いた途端。私は派手に頭からテーブルへと突っ伏した。が、すぐに顔を起こし。

「ちょっと待って。私達まだ1週しか戦ってないのに総集編ってそれただの1週目の再放送じゃん!」

 だってそうでしょう? 新規アニメが第2話目で総集編始めたら第1話分しか話ないんだから同じ尺で垂れ流さないと時間足りなくなるじゃん! それ即ちただの再放送ぢぃゃん!

 するとレッドはアゴに手を当て。

「再放送? 別に問題ないだろうギリシャ語に吹き替えれば」

 どーゆー理屈ぅ? どの層をターゲットにした再放送なのっ? いやギリシャの人達なんだろーけども……。

「因みに次の週は人気投票の発表だそうだ」

 もう人気投票やってるのっ!? 1週と再放送しかしてないのに人気投票発表って早過ぎないっ? しかもキャラクターの半分以上が脱落してる状態だし!

「――で、更に次の週が人気投票発表の再放送だそうだ」

「なんの意味があんの! その再放送になんのドキドキもないじゃん順位わかってんだからっ!」

「スペイン語、アラビア語、アゼルバイジャン語! どの言語で再放送されるのかドキドキ出来るだろうがっ!!」

 なんで私が怒鳴られてるのッ! 私なんか間違った事言ってる? いやまあレッドからすれば監督の言葉をそのまま述べてるだけだから、なんで俺が怒られなきゃいけないんだって思ってるんだろうけども!


 ――という。私とレッドがお互い理不尽な目に遭う謎現象を鎮めるか。

「まあまあ2人とも。とりあえずそうやって3週間ほど時間を稼いで56人揃ったら映画に突入……って流れらしいよ」

 と。間を取り持ってくれたのはキリンちゃんだった。

 うん。まあ私も少し大人気なかったな……と冷静さを取り戻しているとレッドの方も冷静さを取り戻したのか。

「そういえばさっき言い忘れたが、監督は映画の主役はピンクでいくと言っていた」

「え? なんで? 私達で20人くらい倒して欲しいっていうから私達メインなんだろうとは思ってたけど、それならリーダーであるレッドが主役じゃないの?」

 しかしレッドは静かに首を左右に振り。

「いや。俺が主役の場合、俺1人で戦っても20人倒すのにバトルシーンが10分にも満たない。仮に10分としても5時間映画でバトルシーンが10分、日常シーンが4時間50分ではバトルロイヤル映画とは言えんだろう?」

 いやいやいやいやいや。今時5時間映画? 昔ならともかく今のご時世5時間映画なら前後編とかちょっと尺足して3部作にしない? その方が収益的にも良いんじゃないの? って思うんだけど監督はそうでもないらしく。

「それに比べ1番弱いピンクが主役ならば俺やブルー、グレーが1人か2人しか倒さない脇役に徹すればバトルシーンも長くなる。だからお前が主役なのだ。お前ならバトルシーン2時間半、日常シーン2時間半くらいに調節し易いだろう?」

「いやまあ、そうかもしれないけど……」

 けど1番弱いから主役ってなんかスッキリしないなぁ。それに――

「でもさぁ。バトルシーンは調整し易いかもしれないけど、1番弱い普通のOLの日常シーン2時間半も割と地獄じゃない?」

 自分で言うのもなんだけど……。

「それよりも例えばレッドだと、異世界から来た勇者が高校生してる日常の方がよっぽどいい画になりそうだけど?」

 と意見してみるも。

「そこだけ聞けばな。だが俺が8時間オムライスを眺めてるだけの画なんてそれこそ地獄だぞ?」


 あ、そういやこいつオムライサーだった。レッドがオムライス眺めてるだけの8時間映画とか地獄過ぎるな……。となるとケツバット信者のグレーちゃんもダメか。結局ケツバット信者も8時間オムライス眺めるだけだもんね。


 じゃあ。

「じゃあ小豆ちゃんは? 天才エンジニアの日常と私と同等の強さの戦闘シーンならバッチリなんじゃない?」

 と小豆ちゃんに体を向けると。

「無理だな。私の場合はレッドと逆でエンジニアとしての日常シーンに見所があり過ぎて既にオファーがきている」

「へ?」

「つまり私は私で、私の日常シーンだけの別映画『戦国武将 あの人は今』の主役に抜擢されているので無理だという事だ」

『戦国武将 あの人は今』……ね。誰であれ死んでるよね? 小豆ちゃんと全く関係なさそうなタイトルだし。


 まあ小豆ちゃんもダメなら――

「じゃあブルーは? 異世界から転生してきた元魔王とかもいい画になりそうだけど?」

 するとブルーはアゴに手を当て。

「私ですか? 残念ですが医者に止められていまして……」

「医者に?」

 怪我はしてないよね? っつーかコイツら怪我しても回復魔法で秒で治しちゃうから怪我じゃなくて病気なんだろーけど魔王って病気になるの? っという疑問から。

「なんかの病気?」

「ええ、水虫です」

「なんで水虫で止めたかなその医者! ヤブ医者なの?」

 するとブルーは笑い声を上げ。

「はっはっはっ。まさか! 由緒あるシャチ専門の獣医と言っていましたのでそれはないかと」

「シャチ専門! あんた絶対水虫じゃないでしょう!?」

 ってゆーか病気ですらなさそう!


 ……という事でなんだかんだで結局。監督が私を主役でと推すので映画の主役はそのまま私になった。

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