↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/92

運動会

『スーパー戦隊ヒーロー大運動会っ!?』

 目を丸くする私達に、レッドは口の端を釣り上げる。

「ああ、その通りだ」

 うん。まぁそれなら敵も必要ないし、正直ちょっと観てみたい気もするんだけど……でも自分が出場する立場だと複雑な気分……不安でしかない。

 しかし私の心境なんて知ったこっちゃないかレッドは続ける。

「歴代のスーパー戦隊ヒーローを全員集結させ紅組と白組に分けて争う。無論、紅組はレッドのみで構成され白組はベージュだけで構成される」

「なんでベージュッ! 白組はホワイトだけで構成されるんじゃないのっ?」って思わず叫びそうになったけど良く考えるとホワイトってかなり少ないか。そしてそれ以上にベージュって少なくない? ってかいるの? 


 ……と考えながら冷静さを取り戻した私はゆっくりと口を開く。

「いやそれ白組不利過ぎない? そしてあぶれまくる多色である私達はなんのために召集されるの?」

「そりゃ主役(レッド)が勝つための出来レースだからな? 大人の事情というやつだ。そしてレッドとベージュ以外は放送部での実況だな」

 そんな出来レースでチョリッ酢☆彡かずをは満足するの? まあ、それを私が気にする必要はないんだけどさ……それより。

「いやいや実況が1番人数が多い運動会ってどんな運動会なのよ……?」

 するとレッドは軽く首を捻り。

「それは――誰が次の種目の実況をするのか? それを騎馬戦や徒競走で決める運動会だ」

「騎馬戦や徒競走で実況者を決めるって、もうそれが運動会じゃん! 本末転倒になってないっ?」

「本末転倒などではない。実際に紅組と白組が戦う本戦はそんな一般人でも出来る競技にはなっていないからな。本戦は戦隊ヒーローでなければ出来ない競技になっている」

 あ~まぁそれならチョリッ酢☆彡かずをも満足かな?

「例えばハイパー玉入れ。これは玉が砲丸投げ用の砲丸になっている。つまりヒーロー達が砲丸を民家に投げ込む競技だな」

 ちょっ、ええっ?

「なんで正義のヒーローが民家に砲丸投げ込むのよっ!?」

「得点になるからに決まっているだろう! 因みに1球1点だ」

「点低っ! ってそーゆー事言ってんじゃないわよ! なんで正義のヒーローが破壊活動なんかすんのよって言ってんの!」

「バカがっ! 悪の怪人が破壊活動をしたら問題だが、俺達ヒーローならギリギリ、ギリギリ許される。だからヒーローにしか出来ない競技なんだろうがっ!」

「そーゆー意味だったのっ!」

「だが安心しろ。一般人を巻き込む競技はこれだけだ」

 いや全然安心出来ない。そして一般人を巻き込んでいる自覚があんならもっと穏やかな競技にしろっ! ……って主催者でもないコイツに言っても意味ないんだろーな。


 と考えているとレッドは続ける。

「例えばハイパー綱引き。これは一般人を巻き込まない。こいつは大人数でやる普通の綱引きとは違いヒーローがタイマンで綱引きをやる」

 お? ヒーロー同士の1対1の綱引きは楽しそう。純粋な力比べは見てみたいな。

「但し特殊ルールとして事前に相手の家族や恋人を人質に取っても良しとされている」

「やっぱり一般人巻き込んでんじゃん! さっきからヒーローの風上にも風下にも置けないルールばっかじゃん!」

 私が頭の血管がキレそうなくらい叫んでいると、脇から小豆ちゃんがひょっこり顔を覗かせる。

「落ち着けつみれ。あくまで人質を取っても良いというだけのルールだ。ヒーローなら人質など取らずに正々堂々と戦うはずだ」

「そっか、そうだよね」

 と私がひと息吐いているとレッド。

「因みにこの競技は勝つと10点。人質は取るだけで100点入る」

「なら人質は取るべきだな」

 小豆ちゃんが爆速で寝返った!

「更に因みにだが負けた方の人質は当然処刑される」

「なんでっ! 戦隊ヒーロー大運動会とは思えない所業なんですけどっ! なんで急にデスゲームみたいなルールになるのっ!」

「デスゲーム?」

 レッドが首を捻る。

「勘違いするな。処刑と言っても本当に殺す訳ではない。人質の秘密や黒歴史を暴露する……いわゆる公開処刑というやつだ」

「なんだ……それならば問題ないな」

 と頻りに頷く小豆ちゃんだけど。

「いや、そうでもないでしょ」

 うん。正義のヒーローの罰ゲームとしてはちょっと趣味が悪い。


 ……ので私は意見してみる。

「てゆーか、もうちょっと健全な競技はないの? でないと安心して運動会に臨めないんだけど?」

 まあ、私は本戦に参加するワケじゃないからいいんだけど。でも見るだけにしても、もうちょっとどうにかして欲しいというのが本音かな。

 しかしレッドは些か不服なのか両腕を組み「むっ?」と唸り声を上げてから。

「まるで今までの競技が健全ではないような言い方だが――まあ良いだろう。そしてもっと健全な競技がない訳でもない。例えばハイパー400メートルリレー。これは1周400メートルあるトラックをバトンにしてリレーをする」

 400メートルのトラックを走るんじゃなくてバトンにするだとっ! バカなんじゃないの? でもそんなバカ力だからこそ人質のいないハイパー綱引きが見てみたい!

「あと他にはハイパー組体操だな。これは勝った方に1万点が入る」

「組体操に得点あんのっ!? そしてどうやったら勝ちなのっ?」

 思わず声に出しちゃったけど、けどだいぶ健全になってきた気はする。――と。

「どうやったら勝ちって……そりゃ賄賂が多い方に決まってるだろう?」

 全然健全じゃなかった! 芸術点とかじゃなくて賄賂(おかね)なのっ? しかも組体操だけ点数の桁が違うって事は結局この競技で勝った方……お金積んだ方が勝ちじゃん! そういう意味で出来レースとか?


 ――とまあこの時は思ったんだけど。そしてこれは先の話になるんだけど……実際に行われたこの運動会はお金を積むもクソもなく、結局のところウチのレッド(梅干し)1人がいれば紅組は十分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。